第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー郊外某所-

悠「でーい!」
ガキン!

クロ「火花散ってんぞ」

悠「手に衝撃が跳ね返ってめっちゃ痛い」

お仙『石だらけで掘れないナ』

悠「これだったら久秀ででも連れてきたらよかった」

福太郎「連れてきとったらどうなっとる?」

悠「爆破」

ラム「火事になるわよ」

悠「ですよね」

福太郎「ここはひとつ、悠のパワーでどうにかしてください」

悠「ふむ……」

ラム「いや、無理でしょ」

悠「龍剄気功弾針剄」
チュドン!

ラム「……」

悠「あんまり吹っ飛ばなかったな。もう少し剄を練り込んで……」
チュドーン!
チュドーン!
チュドーン!

福太郎「剄って凄いな」

ラム「いやいや、いやいやいやいや。」

悠「ぜぇぜぇっ……」

クロ「ずいぶん疲労してるな」

悠「おれは……連射型じゃなくて溜め撃ち型なんだ。そもそも本家の奴らほど高威力のは撃てない。あと、この通り手がずたずたになる」
ダラダラ

クロ「なぜ連射した……」

福太郎「でも、石が砕け散ったしいけそうやな」

悠「よっしゃ掘るぜー」

ラム「傷は?」

悠「もう塞がった」

ラム「化け物?」

お仙『あ、なんか出てきたゾ』

悠「骨か」

福太郎「骨やね」

悠「全身掘り起こせ」

お仙『アイアイサー』
ザッザッ

~~

悠「掘り起こせた。この骨盤の形は女のものだな」

福太郎「ってことは……」

悠「首のない女の白骨死体」

ラム「ホントにあったわね。」

骨犬『もう一つの方はええんか?』

福太郎「どないしよか?」

悠「年末だし、これぐらいにしとこう。」

ラム「どんな理由よ」

骨犬『もうひとつの死体は「男」のもんやで。傍に男の幽霊が居ったから』

福太郎「もうひとつの死体は男の死体らしいで」

悠「マジか。なら、これ当たりなんじゃね?」

クロ「だといいけどな」

悠「よし!なら、さっさと持っていこう!」

骨犬『兄さん、兄さん』

福太郎「んっ、ご苦労さん。手持ちに食べもん言うたらビスケットくらいしか……」

骨犬『いや、ちゃうねん。ワイも連れってってーな。』

福太郎「……え?」

骨犬『頼むわー。この森、気味悪いねん。』

福太郎「気味悪いって……今まで暮らしとったんやろ?」

骨犬『今までは永眠(寝)てたけど起きてしもたし』

悠「どした?」

福太郎「この骨犬が連れてってほしいって」

悠「そうか。……え?」

福太郎「どないしょ」

悠「……まぁいいや、連れていっちまおう」
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