第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

すっきー『福さんて怖いものないんすか?』

福太郎「藪から……いや、隙間から隙間女やな」

ようよう「兄さん、そりゃ無理矢理すぎんぞ。」

福太郎「まぁ、今のはこっちにないないしといて……なに?」

すっきー『いや、今さら何ですけど……私らのことも一切怖がらなかったすよねぇーって思って』

福太郎「んー……驚くンと怖がるっていうんが同じやったらこわがっとるよ」

すっきー『驚いてるようにも見えないし……』

福太郎「んー……なに?俺のこと怖がらせたいん?」

すっきー『いや、そういうんじゃないんスけどね』

福太郎「あ、けど、ジェイソンとかフレディ的なもんは目のまえ現れたら怖いと思う」

ようよう「ありゃバケモンではあるけど殺人鬼でもあるしな」

すっきー『お化け的なのは平気なんすか?』

福太郎「お岩さんみたいなんやったら怖いけどすっきーみたいに美人やったら別に怖がる必要ないやろ。普通に意思の通達も出来とるわけやし」

すっきー『っ///』

ようよう「不意打ちによえぇなぁ」

すっきー『この口は何をいうんですかねぇ~っ!』

ぎゅっー
ようよう「おいおい、いくらおいらのやわ肌がうらやましいからってひっぱんなって」

福太郎「よう伸びるなぁ」

メリー「ご主人様は霊感強いから平気なのかな?」

福太郎「霊感や今の今までホンマになかったんやけどなぁ……けど、別に俺は妖怪退治とかできる系のひとちゃうし」

メリー「河童とかなら倒せない?」

福太郎「なぜに河童チョイス……というか、妖怪や幽霊って状況によって全然強さとかちゃうんちゃうの?」

すっきー『?』

ようよう「?」

メリー「?」

福太郎「なんで人外の皆皆が?マーク浮かべるんよ……。えーとな、例えば河童は河の中でこそ、人魚は海のなかでこそみたいに土地柄で強さの補正とかかかるんちゃうのん?」

悠「あり得る話だな」

福太郎「あっ、やっぱそうなんや」

メリー「きゃー!」

すっきー『い、いつのまに……』

悠「ホント驚かないな」

福太郎「ん、驚いとおよ」

悠「……まぁいいや、話を続けるとだな「力が強くて魔法を使い賢くて万能……」なんてラスボスみたいな妖怪は案外いないのかもしれない……そのかわり縄張りをもつから妖怪は強いんだとおれは独自理論を展開する」

福太郎「具体的には?」

悠「例えば貞子とかは「ビデオを見て七日後に死ぬ」って凶悪な呪いだけど……ビデオさえみなけりゃ呪いも何も発生しないだろ。メリーちゃんだって電話に出なかったら「私何処何処に居るの」攻撃が出来ないわけだし」

福太郎「なるほど」

悠「落ちついて対処すれば勝てない相手じゃない、けど、こっちからわざわざ手を出しに行くには部が悪い……そういう存在じゃないのかとおれは思う」

すっきー『あのー、そしたら私はどうなんです?』

福太郎「すっきーはどうなん?」

悠「隙間から覗いてくるだけで害は無いだろ。むしろ同棲キャッ♪みたいな」

すっきー『このひとの家に居なくて本当に良かった……』

福太郎「せやけど鵼とか鬼とかはどないしても無理ゲーやない?」

悠「そりゃあれだ……触らぬ神に祟りなし」

福太郎「……今のはイマイチやけど納得しといたげるな」

悠「わーい、けっこう傷ついたぁ」
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