第拾壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー郊外某所-

福太郎「ラムさん」

ラム「なによ。」

福太郎「トークお願いします」

ラム「私が?!」

幽香「幽霊担当でしょ?」

ラム「そんなのになった覚えないけども……。はぁ、ちょっとそこのアンタ」

首吊り死体「……」
男の霊『うぅ、な、なんだ……』

ラム「短刀直入に、どうしてほしい?」

首吊り死体「……」
男の霊『うぅ、ほっ、ほっておいてくれ、おれはもうしずかにねむりたい……』

福太郎「永眠した後ですやん」

クロ「おい、上手いこと言うなよ」

首吊り死体「……」
男の霊『うぅ』

ラム「どうするのこれ」

福太郎「そのままって訳にはアカンですよね。やっぱり」

クロ「でも、降ろしたところでどうするんだよ」

福太郎「……どうしよか」

幽香「想定外の死体が見つかった場合の事を考えてなさすぎでしょ」

福太郎「そんなホイホイ死体とか見つかるおもてませんもん」

ラム「あのヤクザみたいなひとに連絡してみたら?」

福太郎「ヤクザやで。」

ラム「ああそう……」

福太郎「とりあえず、電話してみますわ」
プルルルッ

拳二『誰だ』

福太郎「どうも、福太郎です」

拳二『おお、兄さんかどした?』

福太郎「想定外の首吊り死体をみつけたんですけど、どないしましょ?」

拳二『その死体、財布は持ってるか?』

福太郎「ちょっと待ってくださいね」

拳二『あ、ちゃんと手袋しろよ』

福太郎「はいはい。んーと、降ろさな調べれんかな」

拳二『肩車何なんなりしてポケットとか調べられねぇか?』

福太郎「ちょっと待ってくださいね。……ポケット調べてみたいんやけど、ラムさん。肩車されてくれます?」

ラム「なんで私……って、軽いからか」

幽香「そんなことしなくても飛べばいいじゃない」

福太郎「飛ぶて?」

幽香「こうやってよ」
ふわっ……

クロ「飛べるのか!?」

幽香「飛べるでしょ」

福太郎「幽香さん、すんません、手袋着けてその死体のポケット調べてくれません?」

幽香「しかたないわね。……何かあるわ。投げるわよ」
ポイっ

福太郎「んっ、財布やね。もしもし?」

拳二『おう。』

福太郎「財布ありました。」

拳二「身分証明できるもんはあるか?」

福太郎「ええと……あ、免許ありましたわ。名前は×××」

拳二『チッ』

福太郎「どしたんすか?」

拳二『そいつはうちでも借金してる奴だ。雲隠れしたと思ったら首つってやがったか』

福太郎「うわぉ……」
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