第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「……」

福太郎「おかえり、はい、お茶」

悠「ゴクッゴクッ……ぷはっ」

クロ「それで?」

悠「うーん……」

福太郎「どしてん?」

悠「いや、なんていうかな……」

福太郎「分からんかったん?」

悠「いや、色々と分かった。わかったんだが……言っててのかな。」

ラム「言いにくいことなの?」

悠「まぁいいか、ハッキリ言うと……頭は見つかった」

首のない女『え?』

福太郎「マジで?」

悠「マジ。っか、名前も分かった。名前は三倉やすな、享年21歳。」

首のない女『みつくらやすな……私の名前?』

福太郎「ピンッときてない感じやな」

ラム「で、頭は何処に?」

悠「骨壺の中、そして墓の中だ」

メリー「え?」

悠「ボケ従兄がいうには事件が起こったの21年前。ストーカーに殺されたのが彼女だ。」

福太郎「ストーカーに……でも、21年も前ってことは」

悠「まだストーカーなんてのがメジャーじゃなかったから猟奇殺人ってことで処理されたらしい。」

首のない女『猟奇殺人…』

福太郎「首を切断しとるんやしな」

悠「首は切断されるが……どうやら、それしか見つかってないらしい」

福太郎「へ?」

悠「首から下、つまり身体が見つかってないとのことだ」

福太郎「……」
ラム「……」
幽香「……」
クロ「……」
メリー「……」
お仙『……』

首のない女『私は……この身体が見つかってない、の?』

福太郎「待って、悠。犯人は捕まったんやろ?ほんなら、その体のありかを言うたりは?」

悠「言う前に死んだそうだ。死因は自殺。刑務所の中で」

福太郎「マジ……で?」

悠「らしい。」

ラム「なるほどね。ようやくわかったレイ氏ができなかった理由。」

お仙『なんでダ?』

ラム「頭は既に埋葬されてる。つまり一足先に天に昇ったのよ。そして、記憶もあいまいになった。残ったのは思念は身体という霊体。いくら霊視しても頭がどこにあるか分からないわけよ」

福太郎「ほんなら、今でも身体がどこかに隠されとると?」

悠「だろうな。さすがに体までバラバラにされてはないと思うけど……。それを知る反落人は自殺してるし」

ラム「多分、身体に欠損はないはずよ。そのまま霊体になってるし、まぁでも白骨化しているのは確かでしょうけどね」

福太郎「これはなかなか難しいことになってきたな」
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