第拾夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ラム「……むっ」

幽香「あらっ。」

福太郎「どうかしました?」

幽香「来たみたいよ」

ラム「何かが入った気配…」

クロ「ん?」

首のない女『うらめしやぁ~』

ラム「悪霊!」

福太郎「表は?」

首のない女『ソバ屋~』

ラム「……は?」

福太郎「いらっしゃい」

首のない女『どうもー』

ラム「……」

福太郎「この人がラムさんに話聞いて欲しいっていうひとです」

首のない女『どうも、はじめまして』

ラム「すぅぅ……ひとじゃねぇぇ!」

福太郎「幽霊」

首のない女『はい、そこそこ年季の入った幽霊です』

幽香「一目だと悪霊よね」

福太郎「まぁでもひとは見かけによらんといいますし」

ラム「だからひとじゃないし」

福太郎「……ひとだったひと?」

お仙『解脱者』

クロ「幽霊でいいだろ」

ラム「頭痛くなってきた」

首のない女『ああ、頭痛は辛いですよね』

ラム「それ冗談?」

首のない女『首なしジョークです。』

ラム「笑えないわぁ」

首のない女『残念』

ラム「で、なに?」

首のない女『はい、頭を探してもらえませんか?』

ラム「…………」

幽香「頭を抱えたわよ」

首のない女『あ、「私」の頭の事です』

福太郎「上手い」

ラム「やかましい!」

福太郎「怒られた」

ラム「なによ頭探せって!」

福太郎「このひとの頭が見つかったら成仏できる……かもしれんて話で」

クロ「それでまぁ、仕方なく探すかってノリになったのはいいけど」

お仙『探す……といっても、りんねみたいにその辺に転がってたり、抜け首みたいに取り外し可能なわけでもなシ』

ラム「それで私に探してみろと?」

福太郎「幽霊関係やからラムさんが適役かと思って」

首のない女『無理ですか?』

ラム「……一応霊視してみるけど、期待しないで」

お仙『アウトレイジ?』

ラム「コイツの首じゃだめ?」

首のない女『うーん……』

福太郎「まぁまぁ、落ち着いて」

幽香「切り落とすのなら手伝ってあげるわよ」
ヒュンヒュン

お仙『助けてクロ』

クロ「私に頼るな」

ラム「ったく、ちよっと触るわよ」

首のない女『はい』

ラム「……」
スッ
首のない女『……』

ラム「…………ダメね。」

首のない女『ダメですか』

ラム「貴女、幽霊になってから相当経ってるわよね?」

首のない女『ええ、大分』

ラム「こんな言い方はアレだけどもう霊視できないくらい記憶が薄れてるのよ。」

幽香「つまり死にたてで有利位になったばかりなら大丈夫だったと」

ラム「そうだけども……言い方」
92/100ページ
スキ