ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:旧工場施設ー

久秀「ここね」

大江戸学園内でも寂れて人の手が入らなくなり打ち捨てらた工場施設。だが、ボロボロの建物からはガシャガシャと機械が駆動している音が漏れている。

雲山「明らかに稼働していますね。」

久秀「ここらは人も来ないから音がしてても気が付かないと高をくくってたんでしょうね。入口は……ここだったみたいね。」

人が出入りしていたと思われる扉には板が打ちつけられ封鎖されている。

雲山「目立つ場所は封鎖されたままですね。」

久秀「開けてくださる?」

雲山「ふむ……」

雲山は打ちつけられている板を掴むと力づくで引っぺがした。一枚、二枚、三枚とラベルでもはがすように取り除いていく。

封鎖が取り払われた扉のノブを回すが、当然鍵がかかっている。

するとドアに両手を突いてグッと力を込めた。木材が軋むいびつな音が手をついた部分から聞こえた瞬間バキリッと音を立ててドアを突き破った。ガチャガチャと内側から解錠してドアを開いた。

久秀「大胆な解錠ね。」

雲山「ドア諸共吹き飛ばさないところが知的でしょう?」

久秀「……さぁ、中に入りましょうか」

雲山「スルーが一番つらいのだけどなぁ」

二人が中に入るとむわっとした熱気が身を包んだ。埃と油の匂いが鼻を突き、外より激しい作業音が耳をつんざく。

久秀「長いはしたくないわね。」

雲山「そうですね。さて、どう進みます?」

久秀「音がうるさい方へ行けばいいのよ」

雲山「なるほど」

乱雑に積まれた机や椅子を掻い潜って音のする方、する方へと進んでいく。

すると「作業場」と書かれたプレートのドアが見つかった。封鎖こそはされていない。

雲山「どれ、私が先に行きましょう。」

久秀「ええ、よろしく。」

雲山はドアノブに手を伸ばした。それと同時にバチンっと爆ぜる音。後ろで見ていた久秀は警戒して四方を見渡すがなんの変化もない。

雲山「むっ……。罠か」

久秀「なに今の?」

雲山「どうやらドアノブに電線を仕掛けていたらしい。すこし痺れた」

引き千切ったと思われるドアノブを投げ捨て、手を開いては閉じ、開いては閉じしていた。

久秀「平気?」

雲山「うむ、問題ない。拳も握れる」

久秀「そう、よかったわ。ところで、雷に耐性でもあるの?」

雲山「耐性というか、まぁ、耐えられるようには鍛えてありますよ。普通のスタンガン程度までなら我慢出来ます」

久秀「我慢なのね。」

雲山「えぇ、痛いのは痛いですよ。さぁ、行きましょう」

久秀「そうね。その扉は……蹴破りましょうか」

雲山「うむ…。」

勢いをつけた鬼の前蹴りは扉を番いの部分から破壊して吹き飛んでいった。

久秀「御見事」

雲山「トラップがあるかもしれませんので……気を着けて」

久秀「アナタもね」
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