ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「はー、ようやく静かになったな」

久秀「そうねぇ。んー……やっぱり剣魂みたいに自動自律型の方がいいのかしら」
カタカタ

吉音「もぐもぐ、わーなにこれ。」

久秀「剣魂システムのOSよ」

吉音「おーえす……もぐもぐ?」

悠「……なに自然と団子食ってんの?!」

吉音「えっ、デザート?食後の」

悠「なんでやねん」

吉音「美味しいよ?」

悠「味を聞いてるんじゃないんですけど!」

久秀「これで……良し。あとはコレにつないで……と」
ポチッ
カチャ!
頭部『……』

悠「うぉ?!」

吉音「わっ、何それ?!」

久秀「木偶人形の頭部だけを取り外して中身を取り変えたもの。見てなさい」
カタカタ

頭部『起動シマス、起動シマス』

吉音「喋った!ねぇ、悠今喋ったよ」

悠「聞いてたよ。」

頭部『全権ロックoff……データ更新完了シマシタ』

悠「……めっちゃ怖い?!」

吉音「わぁ……頭だけで喋ってるぅ。なんだっけサラシ首?」

久秀「面白いでしょ?」

悠「悪趣味過ぎる」

頭部『悪趣味デショウカ?』

悠「え……言葉を理解してるのか?」

久秀「イエヤスだって会話機能が付いていたでしょ。」

吉音「あー、え、でもアレは剣魂だよ?」

悠「いや、剣魂でも会話できるのはレアだっただろ」

久秀「ええ。これは剣魂コアをベースにしてこのパソコンのデータと半人工知能の……」

吉音「え?なにっ?え?」

悠「馬鹿にも分かるように説明してくれ」

久秀「なまらすげー技術で喋ってるのよ」

悠「ニャル子ほど…」

吉音「へー、名前は?」

頭部『物ヤ人物二与エラレタ言葉ノコトデ、対象ヲ呼ンダリスル際二使ワレル。名称、アルイハ単二名トモ言ウ。名前ヲツケルコトヲ「名付ケル」「命名スル」トイウ。名前トシテ使ワレル言葉ヲ名詞トイウ。』

吉音「はにゃ?」

悠「これは?」

久秀「実際に会話しているわけじゃないからね。「名前は?」って質問に対して「名前」という単語の意味を答えてるのよ」

悠「さっき、おれの質問には返事しただろ」

久秀「返事をしたというよりは言葉を繰り返しただけよ。人工無能は知ってる?」

悠「なるほど、納得だ」

吉音「なになに?分かんないよ」

久秀「人間が持っている知能をコンピューター上で実現することを目的とする人工知能に対して、自然な会話を行わせることによって「人間らしさ」を実現しようとするアプローチで作成されているものよ。」

吉音「ふんふん」

久秀「基本的に「役に立つ」プログラムではないため、「人工知能」という言葉に対して「人工無能」という言葉が当てられ、現在は「人工無脳」と併用されているわね。」

吉音「なるほど。」

悠「分かってるか?」

吉音「全然!」

久秀「……」

悠「ようするに人間の言葉に対して何らかの返答をするんだが、それは考えていってるんじゃなくてプログラムされてる言葉をランダムに選んだり、「A」って言葉に対しては「B」って言葉を返すように登録されてたりするってことだ。こいつの場合はネットから情報を拾って答えてるみたいだけど……」

吉音「…………」
ぷしゅー

久秀「頭が煙が出てるわ」

悠「……適当にお返事するってことだ」

吉音「成るほどすごい!」

久秀「アンタの頭のが凄いわよ。ポンコツすぎて」

悠「吉音は野生の感があるから大丈夫だよ……多分」
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