ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸城:お堀近くー

久秀「アナタ、思っていたより優秀ね」

楓子「それはありがとうございますやよ」
ガラガラ

久秀「黙って荷物持ちするなんてホント優秀」

楓子「いえ、このくらいなら余裕ですやよ」
ガラガラ

久秀「久秀のSPにならない?」

楓子「ご遠慮しておきますやよ」
ガラガラ

久秀「あら、即答ね。給金は弾むわよ?」

楓子「給金に不満はありませんやよ。」
ガラガラ

久秀「ふーん。っていうか、根本的に悠にSPって必要?」

楓子「万が一のためのSPですからやよ」
~柄

久秀「でも、アナタ悠の側にそんなに居ないわよね。」

楓子「はいやよ。私も出来ることなら起床から就寝までキッチリ警護したいのですが、師匠はそれを嫌いますから仕方ないのですやよ」
ガラガラ

久秀「それじゃあ、なんの仕事するのよ」

楓子「……」
ガラガラ

久秀「……」

楓子「……荷物運びやよ?」
ガラガラ

久秀「あのねぇ……」

楓子「後は掃除や草むしり、買い物でしょうかやよ」
ガラガラ

久秀「それはSPじゃなくてヘルパーとか家政婦でしょ」

楓子「仕事には変わりないですやよ」
ガラガラ

久秀「やっぱり久秀のSPやりなさいよ。もっとSPらしい仕事を用意するわよ」

楓子「充実していますので大丈夫ですやよ」
ガラガラ

久秀「もったいないわねぇ。」

楓子「最近はゆうな嬢ゆえ嬢の警護についていますしやよ」
ガラガラ

久秀「悠にしてもあの姉妹にしても警護なんていらないでしょ」

楓子「そうでもないですやよ。師匠はともかくゆうな嬢たちに悪い狸が近づいてお金を借りようとするのを止めたりと大忙しですやよ」
ガラガラ

久秀「それは金を貸さないように親がしつけるか、狸を駆除しなさいよ」

楓子「後楽殿は……残念ながら私でどうにかできる範疇ではないと理解していますやよ」
ガラガラ

久秀「っていうか、なんであの狸は居座っての?」

楓子「さぁ、私にはさっぱりやよ」
ガラガラ

久秀「わけわからずね」

楓子「そういうことも有りますやよ」
ガラガラ

久秀「あんた達と話してると疲れるわ…」

楓子「すわって休みますかやよ?」
ガラガラ

久秀「問題ないわ。それにそろそろ……居たわ」

楓子「ん?」

寅「はぁはぁ…」

雲山「見事。蹴りを受けても、骨の芯が痺れる威力、いや、実に見事」

楓子「あれは、寅殿と……」

久秀「百目鬼御仁の息子よ」

楓子「あぁ、言われてみれば似てますねやよ」

久秀「どこがよ…」
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