ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸城:堀周辺ー

寅「……ふぅ、朝はこんなもんか」

雲山「おはよう」

寅「あぁ、おは……」

雲山「朝から走り込みか……。私も昔はよくやったよ。」

寅「いや、アンタどうした?」

雲山「どうしたというと?」

寅「いや、なんでずぶ濡れてる」

雲山「あぁ、これか。実はな……船が出ていなかった」

寅「船?」

雲山「あぁ、大江戸学園行きの定期船だ」

寅「そういえばまだ時間じゃねーな」

雲山「だから泳いできた」

寅「……は?」

雲山「だから、泳いできたんだ。」

寅「いや」

雲山「ん?」

寅「いやいやいやいや、ここ(大江戸学園)から本土までどれだけの距離があると思ってる」

雲山「なかなかの距離だった」

寅「……マジかよ」

雲山「私は水難事故救助の訓練も受けている問題ない」

寅「そういうレベルじゃないだろ。」

雲山「真似はしたらだめだぞ。水というのは舐めてかかると恐ろしい。」

寅「俺は陸専門だ。ってーか、そんな距離を泳げるか」

雲山「そうか…」

寅「なんでちょっと残念な顔してんだよ…」

雲山「興味があるならそういう訓練も有ったのだが……と思ってな」

寅「興味ねぇよ。」

雲山「そうか。ところで着替えてもいいか」

寅「着替えあるのかよ」

雲山「このバックは完全防水でな」

寅「はなっから泳いでくる気だったのか…」

雲山「いや、万が一のための準備だ」

寅「どうだか……」

雲山「ふぅ…」
グッ

寅「なんだ……」

雲山「どうかしたか?」

寅「どんな腹筋の割れ方しているかと興味があったが……普通だな」

雲山「あぁ……私は父ほど筋肉を背負っていないからな」

寅「なのにアレと殴り合えるのか」

雲山「変わりという訳ではないが私は父よりも筋肉の柔らかさには自信があってな」

寅「柔らかさ?瞬発力ってことか」

雲山「いや、例えばこう……拳を放つ時」
ズバッ!メキッ!

寅「!!」

雲山「寅君の目なら捕えられていただろう。」

寅「……ああ。拳が伸びきる寸前、腕が膨らんだ。いや、筋肉が絞られて必要な個所に凝縮した……感じか。」

雲山「その通り…。必要なときに必要な個所のみビルドアップさせる。それが私流だ」

寅「成るほど……鬼角で洒落にならねぇ一撃がガスガス打てたのはそれか……カウンター+局的筋肉ビルド。」
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