ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ふあぁぁ……結局昨日はこっちに泊まってしまった……。痛っ……あー、もー首、完全に痣ンなってるよ……。これじゃあ、まるで首つりしたみたいじゃん……いや、したけど。」

こんこん
灯「おはようございます。悠くん、起きてますか?灯です。」

悠「あ?灯?どうしたこんな朝早く。ちょっとまて今開ける」
ガララ

灯「すいません、朝早くにおはようございます」

悠「おは……よう。」

少し乱れた艶髪、汗ばんでうっすらと肌に張り付く白い寝間着、どこか儚げで眠たげな瞳の女性……もとい、灯の姿。

灯「すみません。実は恥ずかしながらお借りした家に食べるものがなくて。もしよかったら朝食をご一緒させてくださいませんか?」

悠「……」

灯「悠くん?」

悠「あ、ああ。朝飯な……いいよ。入ってくれ。」

灯「ありがとうございます。」

悠「ただ、アンタ……その格好でうろうろしないほうがいいぞ」

灯「えっ、ああ、すいませんお見苦しくて」

悠「いや、見とれるから」

灯「あはは。冗談がお上手ですね」

悠「アッハイ……。まぁいいや、洋食と和食どっちが好きだ?」

灯「どちらでも大丈夫です。お任せします」

悠「あぁ、わかった。」

灯「図々しいお願いをすいません。」

悠「いいよ。それにこの程度じゃ図々しくないし。図々しい見本がもうすぐ来るから」

灯「はい?」

吉音「おっはよーー!」

悠「はい、おはよう」

吉音「ごはんまだー?」

灯「……」

悠「すぐ出来るから大人しく座ってろ。」

吉音「はーい。あ、えーと、灯ちゃん。灯ちゃんだったよね?おはよう!」

灯「お、おはようございます。」

吉音「朝ご飯食べに来たの?」

灯「はい、そんなところです。迷惑を……」

吉音「分かるわかる。悠のご飯美味しいもんね!私も時間があるときは毎回来てるよ!」

灯「ま、毎回ですか?」

吉音「うん。将軍になってからは毎日じゃなくなったから残念なんだけどねぇ」

悠「お陰でおれの負担は大分楽になったよ」

吉音「でも、安心して。時間があるときは必ず食べにくるから!朝でも昼でも夜でも!」

悠「どうよ。これが本当の図々しいだぜ?」

灯「あ、あはは。」

吉音「え?なに?」

悠「なんでもないよ。はい、吉音は山もりの握り飯とどんぶりでトン汁とドデカ卵焼きと漬け物」

吉音「おにぎり♪おにぎり♪」

灯「え、それ朝ご飯ですか?」

吉音「ちょっと少ないけど朝だからね。」

灯「少ない……」

悠「吉音の胃袋はブラック……いや、銀河級だ」

灯「はぁ……すごいですね。」

吉音「はぐはぐ♪」

灯「あぁ……三口で巨大なおにぎりを片づけている…」
71/100ページ
スキ