ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:とある施設二階ー

「ぁ……がっ……?!」

息が出来なくなった。

突然、突然息が出来なくなった。何が起ったのか……道玄のおっさんたちが木偶人形を解体し始めた。おれもその様子を見ようとした瞬間、首に何かが掛かった。そして、いきなり宙に舞った。

相当な高さまで吊り上げられている。このままでは出来立てほやほやの首つり死体になってしまう。指を無理矢理首にかかっている縄……というよりはベルト(?)状のものの隙間にねじ込んでいく。

「はぁ……すぅっ、はかぁ……!」

空気を吸い、ほんの少し余裕が出来た。このベルト状のものは引き千切るのは無理そうだ。だが逆にいえば……。

「どりゃぁぁ!」

手をねじ込ませて力いっぱい引っ張れば首を引っこ抜くことが出来る。

顔の皮膚少々、髪の毛数十本を犠牲に首吊りの輪から抜けだすことに成功した。とっととこの不吉な輪から手を離して、地面に着地する。

「げほっげほっ……ここは二階か?」

おれが引きづりあげられたらしき穴からは散々ブッ壊した木偶人形の残骸が見えている。

「ククククッ」

突然の笑い声、おれは薄暗い部屋を見渡した。

「お前か!」

天井からコウモリのようにぶら下がっている人間。薄暗いせいで顔までは分からないが声の感じからして男だとはわかる。

「クククッ。不思議、摩訶不思議。首を吊って生きている。不可思議。」

「死にかけたわボケ!」

足元に落ちていた何かをぶら下がり野郎めがけて蹴り飛ばした。ガンっと何かにぶつかり阻まれた。薄暗く気がつかなかったが何か透明の壁がある。

「クククッ。徒労よ。」

「だったら、コレはどうだ。龍剄気こおおぉぉおおおぉぉ?!」

不意に足に何か締め付けた。そして、再び空に舞う……。首吊りの次は逆さづり…。

「クククッ、ハハハッ。なんとも愉快。滑稽。」

「てめぇ……!」

「今回は挨拶。また会おうぞ。」

そう言い終ると男の姿が消えた。そして不意に訪れる自由落下……。




ー大江戸学園:とある施設内部ー

悠「ぎゃぁぁぁあ!」

道玄「むっ!」
ガッシ!
悠「た、助かった…」

道玄「居なくなったと思ったら何している?」

悠「殺されかけてたんだよ!」

道玄「そうか。」

悠「……それだけかい!」

道玄「うるさい。」
パッ
どでっ!
悠「痛い!捕まえたんならちゃんとおろせよ!」

道玄「ここの施設は調べ終わった。次に行くぞ」

悠「次って……いや、それよりさ、おれ今殺されかけたんだよ?首つりだよ首吊り?」

道玄「生きているだろ」

悠「生きてるよ!」

道玄「ならば問題ない」

悠「ヤダこの人、会話できない……」

久秀「なにをドタバッタやっているの?暇ならコレを運びだして」

悠「いや、今ね、おれ死にかけたの」

久秀「生きてるじゃない」

悠「生きてるよ」

久秀「なら問題ないでしょ」

悠「……あれ、おれがおかしいのかな?」
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