ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:南町奉行所ー

悠「どもー、出前に来ました」

往水「おや、小鳥遊さん。ついに茶屋が潰れて……」

悠「茶菓子の出前だよ」

往水「あっはは。冗談ですよ。」

悠「全然、冗談でなかっただろ。」

往水「ささ、そんなことより中へどうぞ」

悠「……別にここで受け取って金さえ払ってくれれば良いんだけど」

往水「いやですよぉ。私がそんなお金持ってるとお思いですか?」

悠「このくらいの金はもってなさいよ……」

往水「たまたま手もちが無いだけですって」

悠「言ってることが二転三転してないか?」

往水「細かいことはいいじゃないですか。それに、どうせならお奉行様の顔も見ていきたいでしょ?」

悠「そりゃ……まぁ」

往水「スケベですねぇ」

悠「どういう意味だ!!」

想「いったい何を騒いでいるのですか?」

往水「あ、ちょうど良かった。茶菓子が届きましたよ」

想「あ、悠君」

悠「どもっす。色々と持って来ましたよ」

想「急に無理をいってスイマセン」

悠「いやいや。大きな注文なんて久しぶりだったからありがたいっすよ。」

想「仲村さん、皆さんにお菓子を配膳してください。」

往水「えっ、あたしがですか?」

想「そのかわり、好きなものを選んでいいですから」

往水「そういうことなら、やらせていただきますよ。」

悠「んじゃあ、ほい」

往水「はいはい、後でこちらにも届けますね」

想「よろしく頼みます」

悠「あの、お代の方なんですけど」

想「はい、このくらいで足りますか?」

悠「へい、毎度です。」

想「お店の方は……」

悠「はは、まぁちょっと閑古鳥が鳴いている程度ですよ」

想「そうですか…。もう少し顔を出せたらいいんですけど」

悠「いやいや、逢岡さんには十分お世話になってますって、今だってこんな大きな注文してくださってますし」

想「あの…」

悠「はい?」

想「お、想でいいですよ…」

悠「……想。」

想「はい」

悠「あ、ヤバい」

想「どうかしましたか?」

悠「想が可愛くてきゅんきゅん来ました。」

想「も、もう、なにいってるんですか」

悠「いや、はは」

往水「ズズズっ」

想「な、仲村さん!?」

悠「おのれ……いつのまに」

往水「お菓子を届けに来るってさっきいったじゃないですか。しかし、これもひとつの春ですかねぇ」

想「仲村さん!!」

往水「あっはっは。お茶とお菓子置いときますんで、ごゆっくり」

悠「うるさいよ!」

往水「んも~、そんなこといっちゃってぇ~。ボソッ(あたしのことも構ってくれないと妬いちゃいますよ?)」

悠「ごほっ!」

想「どうかしました?」

悠「い、いぇ……」
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