ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:城前広場ー

銀次「ん~。それは我が輩が受けた指令は大江戸学園の様子を報告する、だけだったからな」

光姫「それにアメリカの間者については出雲殿より連絡を受けていたのじゃ。そいつは見つけても見逃せ……とな」

銀次「うへぇ……最初っからスルー推奨だったってわけか。こいつはぁ、我が輩の頭の上で国同士での話しがついてたってことかい」

十兵衛「それに……お前は光姫をよく守ってくれたからな」

銀次「ふむ。我が輩は個人的にお嬢のことを気にいっておるからな」

光姫「わしはお前が苦手じゃ」

銀次「相変わらずつれねぇなぁ、お嬢は」

十兵衛「それで、もう母国には報告を?」

銀次「もちろん。このあと最後の報告をさせてもらうつもりだ」

光姫「最後の報告?お主、国に帰るのか?それはめでたい」

銀次「いんや、逆さ。我が輩はスパイをやめてこの国に残るのさ」

十兵衛「何……?」

銀次「我が輩はこのサムライとニンジャの国が気にいってしまってね。正式に帰化して日本人としていきることに決めたのさ」

光姫「そ、それは……思い切ったことをしたもんじゃな」

銀次「柳宮、お前さんはどうするつもりだ?」

十兵衛「ああ。私はこのまま学園を出るつもりだ。光姫以外には私がこうして無事でいることは伝えていない」

光姫「うむ」

銀次「え、学園を離れてどこへ行くつもりだ?」

左近「偶然にも、銀次の旦那と入れ替わりにアメリカですよねぇ」

光姫「む?お主は……」

左近「へへっ。どうも、十兵衛さんを迎えに来たんですがちぃーと早かったですかね。」

銀次「迎え?」

左近「ええと、私の雇い主が十兵衛さんとお知り合いでしてねぇ。ねぇ、柏さん、光臣の旦那」

柏「十兵衛。久しぶりだな」

光臣「……」

十兵衛「柏殿も変わらぬご様子で。光姫、こちらは小鳥遊柏殿、悠の従兄弟だ。」

光姫「ほう。水都光姫じゃ」

柏「水都のお嬢さん。初めまして」

銀次「へー、左近ちゃんが真の雇い主ってのはこの人か?」

左近「えぇ、正確に言うと柏さんが大ボス、それで柏の旦那の右腕が石田光臣の旦那。私は将来的に光成の旦那の部下になる予定なんですよ」

柏「エヴァの一件は俺の方からも感謝しておく。」

光姫「ほっほっ、それは従弟殿に言ってやってくれんか」

柏「……」

十兵衛「光姫、ダメだ。柏殿と悠は犬猿の仲なんだ」

光姫「なんとまぁ……」

柏「ふんっ」

十兵衛「ふふっ、話を戻すが父から新たな指令が下ってな。銀次と違ってアメリカ人になるわけじゃあないがな。これからの学園は悠や吉音たちが作り上げていくだろう。そして柳宮が……私がいなくともその平和を守れなくてはならないのだ」

銀次「お前さんは、それでいいのかよ。悠たちに顔を見せてやらないのか?」

十兵衛「ああ。会えばまた情けも甘えもでる。このまま去るのが最善なのだ。」

光姫「……それが柳宮。それが忠義というものじゃ。お主もこの国に残るというのなら覚えておくがいい」

銀次「……グレート」

十兵衛「ふふ……」
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