ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

部屋の布団に吉音を優しく横たわらせ、覆いかぶさるように吉音と見つめ合う。

吉音「えーと……どうすればいいのかな?」

悠「どうって……そりゃ、まずは準備をしないとな」

吉音が顔をみられるのは恥ずかしいという理由で部屋の電気は消している。

しかし、差し込む月明かりが吉音の身体を神秘的に照らしだし、結果こっちの方がエロ……恥ずかしいような気もする。

吉音もそのことに気がついたようで、みるみると頬を赤らませていく。

吉音「わ、うわっ……これ、だめだ。恥ずかしい。凄く、はずかしい……」

悠「っていわれてもなぁ。……やめにはしないんだろ?」

吉音「うん。……でも、それはそれだよ。う~~、ゃっぱり恥ずかしいよォ~」

悠「こら。暴れんなって」

吉音が体をよじっておれの視線から逃げようとするたび、月明かりに照らされた鮮やかな真紅の髪が乱れる。

おぉー、すっごい色っぽい……。

いつもは元気で屈託のない吉音が、きっと誰にも見せたことのない表情で恥ずかしがる様に心惹かれる。

悠「絶対に優しくする、可能な限り痛くしない……だから、な?」

吉音「ほんと?」

悠「あたりまえだろ。おれを信じろ」

精いっぱいの親愛と、あらん限りの優しさを込めて吉音の頭を撫でる。

吉音「うん……」

悠「うん」

さて、此処からじっくりかつ、吉音が安心できるように最大現にテクニックを……

吉音「でも……」

悠「ん、なんだ?」

吉音「でも、悠だって……その、初めて……なんでしょ?」

悠「あ?えーと、なんていうか……」

吉音「ずぶのしろーとどーてーで、脳内でもーそーするだけが精一杯なちぇりーくんなんでしょ?」

おかしい。吉音の口から異世界の言葉が飛び出したような気がした。

それとも殴られ過ぎておれの聴覚が壊れてしまったのだろうか……。

悠「あの、吉音さん?」

吉音「どうしたの?」

特に疑問も持たずにかわいらしく小首を傾げる。

悠「さっきのはいったい……」

吉音「えーとね。初めての女の子相手に痛くしないっていうのは、夢見がちなちぇりーくんだけなんだって」

悠「……えーと」

そりゃおれだって痛くせずに行為が出来るとは思っていない。我が息子の事を自分がよく知っているし……だけどそもそもチェリー君ではないし優しくするっていうのは本当だ。

吉音「そういう人ほどエッチな本とか呼んで変な勘違いしちゃってるから気をつけろって……金ちゃんが」

朱金……あとでぶっ飛ばす。

少しは落ち着いていた吉音の表情に、また不安の影が見え始める。

ええい!これ以上うだうだしていてもきっとお互いにいいことなんかひとつもない。

照れ隠しの無駄話もここまでだ。

男は酔狂。じゃなくて度胸。その男のおれがリードしてやらないでどうする。

悠「吉音!」

吉音「は、はい!」

悠「おれは上手だ!安心しろ!今から服を脱がすからな」

吉音「えっ、ちょ、ふぇっ」

吉音が目をまん丸にしながら、思わずといった風に息を吐く。

その呼吸にあわせて上下する胸元にそっと手を添え、ガラス細工を扱うように丁寧に着物をはだけていく。

着物と一緒にそのまま下着もたくしあげる。

そして……

吉音「っう~~~」

吉音の上半身を隠すものは何もなくなった。
目の前に現れた陶磁器のように白い素肌に言葉も無く引きこまれる。

予想を遥かに超える女性特有の胸のふくらみに目を奪われ、頭がしびれたかのように思考が働かない。

あらわになった吉音の身体は、それほどまでに魅力的だった。
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