ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕
ー大江戸学園:通りー
おれと吉音は、越後屋が開いた祝勝会の場からこっそり抜け出して、小鳥遊堂へと向かっていた。
吉音「みんな盛り上がってたね~」
悠「騒ぎ過ぎって気もするけどな」
共に戦った仲間たち全員を巻き込んで、飲めや歌えの大騒ぎ。あと、崇の伝説が増えたりとか、おれと寅のマネージメントとか……。後半はロクな話しじゃないな。
「まぁ気持はわからなくもないが、さすがに疲れた……」
吉音「だね~」
悠「お前はよかったのか?まだまだごちそう食べてても良かったんだぞ」
吉音「……うん。今夜は悠と二人きりでいられるほうがいい」
悠「……そうか。だったらいいけど」
吉音の何気ないひとこにキュンっと胸が高鳴ったのが分かった。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
吉音「とーちゃく!」
長いようで短かった帰路を辿り、小鳥遊堂へと帰ってきた。
本当に色々あった一日だった。今朝小鳥遊堂を出たのがもう随分昔のように思う。
激動の一日を思い返す。
悠「吉音、本当に頑張ったな」
吉音「悠も、でしょ?」
悠「どうだかな……まぁでも、頑張れたって言うなら、吉音が居たからかな」
吉音が居なかったらおれはきっと何もしようとは思わないまま終わっていた。
どんなに傷ついても……。それでも前に進もうとする吉音が隣に立っていたからこそ、おれはその力になりたいと思ったのだ。
吉音「それならあたしだって、悠がとなりに居てくれたから頑張れたんだよ」
悠「……そうか」
吉音「そうだよ」
言葉に出来ないこそばゆさが背中を駆けあがる。
落ち着かない感覚に戸惑うけど、それは決して嫌なものじゃなくて。
悠「……とりあえず、お茶でも飲んで落ち着くか」
それでも少し居た堪れなくなり吉音に背を向ける。
吉音「待って!」
慌てて店に向かうおれの背中に優しい衝撃が走った。
悠「……」
吉音「ねぇ悠……」
吉音の手が背中から回され、ぎゅっと抱きつかれる。背中に当たるふたつの柔らかい感触に身体が強張る。
今まであまり意識しないようにしてきた、女の子としての吉音を身体全体に感じる。
吉音のヤツ……なんか甘くていい香りがする。
悠「吉音?」
吉音「今日は、お茶はいい」
悠「そうなのか?」
吉音「うん。今はこの気持を落ち着かせたくないから」
バクバクバクと、鼓動の音がだんだん大きくなっていく。この鼓動はおれのものか吉音のものか。
ふたり分の重なった鼓動が嫌というほど身体の芯から響き渡り、心臓が破裂してしまうのではないかとすら思う。
悠「……」
吉音「そのかわり、こないだお預けになった続き……して、ほしいな」
逃がさないというように力強くぎゅっと抱きしめる腕とは裏腹に、吉音の声には震えが混じっている。
ったく……さんな態度見せたら、どんな願いだって叶えてやりたくなるだろうが。
まぁ、元からおれの答えは決まってるんだけどな。
悠「……おれの部屋、行くか」
吉音「うんっ!」
おれと吉音は、越後屋が開いた祝勝会の場からこっそり抜け出して、小鳥遊堂へと向かっていた。
吉音「みんな盛り上がってたね~」
悠「騒ぎ過ぎって気もするけどな」
共に戦った仲間たち全員を巻き込んで、飲めや歌えの大騒ぎ。あと、崇の伝説が増えたりとか、おれと寅のマネージメントとか……。後半はロクな話しじゃないな。
「まぁ気持はわからなくもないが、さすがに疲れた……」
吉音「だね~」
悠「お前はよかったのか?まだまだごちそう食べてても良かったんだぞ」
吉音「……うん。今夜は悠と二人きりでいられるほうがいい」
悠「……そうか。だったらいいけど」
吉音の何気ないひとこにキュンっと胸が高鳴ったのが分かった。
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
吉音「とーちゃく!」
長いようで短かった帰路を辿り、小鳥遊堂へと帰ってきた。
本当に色々あった一日だった。今朝小鳥遊堂を出たのがもう随分昔のように思う。
激動の一日を思い返す。
悠「吉音、本当に頑張ったな」
吉音「悠も、でしょ?」
悠「どうだかな……まぁでも、頑張れたって言うなら、吉音が居たからかな」
吉音が居なかったらおれはきっと何もしようとは思わないまま終わっていた。
どんなに傷ついても……。それでも前に進もうとする吉音が隣に立っていたからこそ、おれはその力になりたいと思ったのだ。
吉音「それならあたしだって、悠がとなりに居てくれたから頑張れたんだよ」
悠「……そうか」
吉音「そうだよ」
言葉に出来ないこそばゆさが背中を駆けあがる。
落ち着かない感覚に戸惑うけど、それは決して嫌なものじゃなくて。
悠「……とりあえず、お茶でも飲んで落ち着くか」
それでも少し居た堪れなくなり吉音に背を向ける。
吉音「待って!」
慌てて店に向かうおれの背中に優しい衝撃が走った。
悠「……」
吉音「ねぇ悠……」
吉音の手が背中から回され、ぎゅっと抱きつかれる。背中に当たるふたつの柔らかい感触に身体が強張る。
今まであまり意識しないようにしてきた、女の子としての吉音を身体全体に感じる。
吉音のヤツ……なんか甘くていい香りがする。
悠「吉音?」
吉音「今日は、お茶はいい」
悠「そうなのか?」
吉音「うん。今はこの気持を落ち着かせたくないから」
バクバクバクと、鼓動の音がだんだん大きくなっていく。この鼓動はおれのものか吉音のものか。
ふたり分の重なった鼓動が嫌というほど身体の芯から響き渡り、心臓が破裂してしまうのではないかとすら思う。
悠「……」
吉音「そのかわり、こないだお預けになった続き……して、ほしいな」
逃がさないというように力強くぎゅっと抱きしめる腕とは裏腹に、吉音の声には震えが混じっている。
ったく……さんな態度見せたら、どんな願いだって叶えてやりたくなるだろうが。
まぁ、元からおれの答えは決まってるんだけどな。
悠「……おれの部屋、行くか」
吉音「うんっ!」