ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:ねずみ屋ー

悠「……しかし、これで終わったんだよな」

寅「なんだ急に」

悠「いや、色々あったと思ってな」

崇「おもに女関連でだろ」

悠「それだけじゃねーよ」

「「「「……」」」」
ジロッ

悠「うっ……なんだろう。背筋がゾクッとした」

雷太郎「お前、今絶対に」

風太郎「後ろを向くなよ」

崇「それより寅。」

寅「なんだ」

崇「お前はここに残るのか?」

寅「なに?」

崇「俺が口出しすることじゃないがお前の最終目標はボクサーだろ。」

寅「そうだがなんだ」

崇「鬼オヤジが随分とお前を買っててな。」

寅「……」

崇「相撲部屋以外にもボクシングジムをやってるらしい。お前に気があるなら席を空けておくそうだが?」

寅「…………」

崇「まぁ、考えておけ」

悠「なんかお前、おれよりおっさん達と交流してねぇ?」

崇「情報は交換してこそ幅が広がる。お前の場合はいざ必要になってからしか動かないのが悪い」

悠「知ったような事を……」

寅「事実だろ」

悠「うるせーやい!」

雷太郎「そういえば……アンタに聞きたいことがあったんだ」

崇「なんだ?」

風太郎「なんでアンタ、あのとき動けた?」

崇「質問の意味が分からん」

魁人「その話は私の方から……禍の龍剄。灰翠龍の剄(ジエドオブドラゴン)は水晶振動(クリスタルクォーツ)の効果であらゆる物体の動きを停止します。あの時は私がある程度、振動の波を反射していたとはいえ伊万里及び雷太郎君。風太郎君すら動ける状態ではなかった。しかし虎狗琥さんは天の龍巻結界を突破して、灰翠剄の領域に踏み込んでも動けていた……どうしてですか……という質問です。」

崇「あぁ、そういえば途中で速度が格段に下がった気がしたが……そのせいか」

悠「下がった程度で済むんだな…」

崇「ただ、どうしてといわれても俺にはわからん。ただ走って殴りつけただけだ」

雷太郎「……」

風太郎「……」

悠「レベルをあげて物理で殴るの見本みたいなやつに技術云々を聞いても無駄だぞ」

魁人「まぁ、目星は付いているんですけどね」

寅「どういうことだ」

魁人「恐らく虎狗琥さんは二つのことを偶然的に行ったのですよ。その一つは……振動の波を掻い潜った。」

雷太郎「…ン?」

魁人「振動波というのは波です。その波が細かく当たることによって同調して動けなくなります。想像してください波の動きを、その波にも必ず平らな部分がありますよね。虎狗琥さんはそこを踏んでいた」

風太郎「見えもしないし細かく振動している波の平らな部分を?」

魁人「はい。そしてその二、踏み込んだ時の衝撃。地面は小さくしかしとても深く凹んでいました。その踏みこんだ際に生まれる衝撃が禍の衝撃を打ち消した。」

「「「……」」」

魁人「私が鬼状態かつ両足を半犠牲にしても相殺できなかった衝撃波を生み、さらに敵の衝撃の波が一番弱いところを踏みつけて動く。おおよそ人間に出来る所業ではありませんが……彼はそれをしたのでしょう。あくまでも私の推測ですが」

悠「……お前も大概チートだな」

崇「ククッ」
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