ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:大通りー

左近「そこのお三方」

朱金「あん?左近じゃねーか。なにしてやがる」

左近「いやー、ちょっとね。ここを通らせてほしいんですけど」

朱金「あぁン?」

平良「今はどうみても人が通り抜けられる状況じゃないのは見たら分かるだろう」

左近「そうなんですけどねぇ……ん?」

真留「どうかしましたか?」

崇「……アレはなんだ?」

不意に崇が指さしたほうを皆が見た。スカイタワーのそばに柱のようなものが立ち上りゆらゆらと揺れている。

朱金「なんだありゃ……竜巻か?」

左近「竜巻っぽいですねぇ」

崇「アレも剣魂の能力か?」

左近「まさか、あんなドデカイ竜巻を出せる剣魂なんてありゃしませんよ」

崇「ならあそこに問題があるみたいだな。本郷、左近いくぞ」

本郷「ふっ」

左近「えっあっ!ちょっと!」

朱金「おい!」

左近「いやー、すいません!通らせていただきますんでーーー!」

平良「いってしまったな。」

真留「大丈夫でしょうか……」


~~


ー大江戸学園:直通エレベーター前ー

ようやくたどり着いたスカイタワー直通のエレベーター前だが吹き荒ぶる風に阻まれて近づくことができない。

崇「……」

本郷「……」

左近は手ごろな石を竜巻に向かって投げてみたがミキサーの如く石は細かく分解され粉々に砕けてしまった。

左近「コイツは無理ですねぇ」

崇「お前のそのでかい刀を投げ込んでみろ」

左近「勘弁してくださいよォ」

崇「冗談だ。だが、この先に何かいるのは確定だな。」

左近「みたいですねぇ。だけど、こいつはどうしょうもないですよ。」

崇「……走るか」

左近「は?」

崇「本郷」

本郷「ふっ」

崇「左近。本郷の手伝いをしろ」

左近「え?え?いったいなにを?」

崇「いいから行け」

左近「は、はぁ……」

言われるがままに左近は本郷の手伝いを始めた。内容は近くの民家からタンスなどを引っ張り出して並べるという泥棒ではないが、理由が分からない謎の行為。

本郷「ふっ」

左近「はぁはぁ……はー、終わりましたよ。いったいどーする気ですかい?」

軽く柔軟体操をして崇が壁を背に立つ。

崇「いっただろ。軽く走るだけだ。一直線にな」

本郷「ふっ…」

左近「いやいやいやいや、走るだけって……えっと……最後まで見てていいですかい?」

崇「あまり期待はするなよ。」

コッコッとつま先で地面を蹴りながら微笑む王様……。その笑みはとても無邪気で恐ろしく見えた。
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