ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:裏路地ー

左近「ええと、こっち……かな。」

崇達の前を走る左近はキョロキョロと辺りを見回してから次の道へと歩みを進める。

崇「迷っては無いんだろうな」

左近「えぇ、迷っていませんよ。ただ、大通りは歩行者天国以上に混雑していますからねぇ。どうしてもこうやって回り道をするしか……」

崇「……待て」

不意に立ち止まった崇に左近は聞いた。

左近「おっと。どうしたんですかい?」

崇「…………」

左近「虎狗琥さん?」

崇「……なにか居る。本郷」

本郷「ふっ」

崇に呼ばれると本郷がひとり前に踏みだした。すると、人ではない何かが本郷目がけ襲いかかってきた。

下級剣魂『キューー!』

本郷「ふっ…」

獣のような輪郭をした生き物っぽい何かの突撃を本郷は難なく避ける。

左近「下級剣魂……まさか、こんなところにまで来てるとは。っていうか、虎狗琥さん、よく気がつきましたね。」

生き物ではあるが電子生物である剣魂の気配を感じることは普通はない。

崇「そんなことより、あれは何だ。数が増えてきてるぞ」

下級剣魂A『キューー!』
下級剣魂B『キューー!』
下級剣魂C『キューー!』

左近「ありゃりゃ……。簡単にいえば敵です」

崇「そうか。なら、本郷」

本郷「ふっ」

左近「あぁ、ダメですよ。剣魂は剣魂じゃないと……」

本郷「ふっ……」

次の瞬間、本郷の回し蹴りで数匹の下級剣魂が霧散した。

左近「わぉ…」

崇「本郷を先行させる。左近、お前はどっちに進めばいいか指示しろ」

左近「あ、はい。分かりました。そんじゃ、真っ直ぐ突き進んでください」

本郷「ふっ」

スカイタワーは少しずつではあるが近くなって来ている。

左近「しかし、予想以上に被害が出てますねぇ」

崇「あの下級剣魂のことか?」

左近「ええ、他の同心の皆さんが抑えているはずなのに、こうやってこぼれ湧いてますからねぇ」

崇「それも大本を断てば終了だろ」

左近「それはそうなんですけどね……おっと、本郷さん。もう此処からは大通りにでましょう」

本郷「ふっ」

左近の声を聞いて本郷は進路を細道から開けた方へと移した。これまでに少なくとも十数匹の下級剣魂が襲ってきたが息をするように叩き伏せていた。

左近「思った通り、此処まで来たら人もいませんねぇ」

崇「タワーも大分近くなったな」

左近「ええ、この橋を渡ればすぐですよ……おや?」

朱金「どりゃー!」

下級剣魂『きゅーー!』

真留「二、三、七!行けー!」
ガラッ八『ギョー!』

下級剣魂『きゅーー!』

平良「はぁぁー!」

下級剣魂『きゅーー!』

崇「どうやら、橋で防衛線を張っているようだな」

左近「ははぁ……三人で防衛線張ってるは流石ですなぁ。」
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