ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました弐幕

ー大江戸学園:エレベーター前広場ー

雷太郎「……相当な実力だな」

風太郎「あの二人がコンビ組んでた理由がなんとなくわかるね。」

紅蓮鬼状態(アカオニモード)と橙竜の共通項は圧倒的な超々連打。一方的に敵を殴り続ける、蹴り続けるのに特化した戦い方なのだ。

魁人「……しかし、雷太郎君。きみなら分かるだろう?今、私の方がこの馬鹿よりも六発も多かったと!私の勝ちだ」

伊万里「ちょっと待てやボケ!数よりも有効打で採点するのが今の世界のスタンダードだろ!!」

「「「「……」」」」

伊万里「ちっ。わかったよ。ほら、六発これであいこ」

倒れている禍に容赦なく蹴りを繰り出す伊万里。

魁人「笑止。今もまた十発、お前と俺の差は広がる一方だな。」

魁人は魁人で禍をスタンピングする。

久秀「あの意味のない意地の張り合いのせいで今まで何人の人間がああして火だるまになったのかしらね…」

想「そうですね…」

雷太郎「しかし、あの二人…」

風太郎「強い……。」

天「くっ……」

禍「……ぐはっ、ぐっ…はあっ、な、天なめやがって……クソ……なめやっ……クソがっ!!なめんじゃねぞド糞カスがあぁぁぁ!!」

魁人「ほぅ。まだ立ちましたか」

伊万里「ふんっ。」

禍は立ち上がり咆哮する。

魁人「天、禍。君たちは確かに……全てを支配するに足る力を持っている。しかし今、君たちが戦っているのは鬼と竜の炎。」

伊万里「この世界を焼きつくす極限の破壊。」

禍が何か行動をしかけるよりも先に鬼と竜が動いた。伊万里は高く跳び上がり、魁人は抉りこむように懐に飛び込み、腹部に拳を打ち上げる。宙に舞う禍の巨体めがけ伊万里のとび蹴りが貫いた。

【獄鬼劫竜セントエルモスクロスファイア!!】

禍「…コレがっ…コレがっ……おまえ達の……真の……力っ……か……!!」

禍は今度こそ大地に伏せた。その様子を垣間見た天は唇を噛みしめ血が噴き出している。

魁人「天、大人しく投降してもらおう。」

伊万里「貴様の罪、例え他が許しても」

久秀「この私が許さないわ!」

魁人と伊万里の間に割りこんで久秀がビシッと決めた。

雷太郎「なんでお前が!」

風太郎「偉そうにしてる!」

想「あはは…」

天は膝から崩れ落ちる。

天「……もう…終わりゃ……もう…アカン…!こんな…ワイっ……やめ……ありえへん……!」

「「「……」」」

天「ひゃひゃひゃ!!もう頼むわ。やめてくれやぁぁあっっ!!あひゃひゃひゃ、これ以上ワイの腹筋鍛えさせんといてっ!し、しっしぃ死ぬぅ!もうアカンて!ヤバいって!!ハラるじきれてっ……ふひっ、けひょひょ!!」

天は嘆いていたかと思うと突然腹を抱えて大笑いしはじめる。

魁人「……どうやらあまりのことに精神が耐えられなかったようですね。哀れな」

しかし、次の瞬間…

禍「ぶはっ!!おまっ……アホォ!!なんやもうこんなんガマンできるわけあらへん!」

「「「!!?」」」

意識を失っていたはずの禍が吹きだして大笑いする。

天「いや最高やったでエエもん見させてもろた!!起きあがってからの台詞とかもう堂にいった三下っぷりやったでいや負けたわ!!ホンマ。我慢しすぎてワイ唇ブチ切れおったし。」

魁人達を無視して天は禍にヅカヅカと近づく。すぐ近くを通っていくも呆気に取られて自由にさせしまう。

禍「阿呆お前ちゃんと動画とったんやろな!めったに見れん珍生物の群れなんゃぞ!!」

天「スマン!笑い堪えるんで必死でわすれとった!!」

伊万里「馬鹿な……手応えは……あった。」

魁人「アレだけの攻撃を受けて……無傷だと?」

天「っーかお前は人がよすぎんのが欠点やわ、禍」

禍「ええやん、仮にも「鬼と竜」を使う人間をバカスカ殺してもーたらもったいないと思うゃろフツー。せやけどあんなんが「本気の本気」……なら、確かにいらへんわコイツラ。」
5/100ページ
スキ