ｰ茶屋ｰ小鳥遊堂はじめました【10】
ｰ大江戸学園:スカイツリー頂上ｰ
エヴァ「バッカじゃない、そんな見え見えの囮に引っかかるとでも思ってた?しっかり無視してネズミを潰させていただきま～す♪」
寅「なっ……!?」
エヴァ「ひゃはははははーーー!!」
「そこまでに願いますよ」
エヴァの背後にいつの間にか人影が立ち、そののど元に刃をあてがっている。
エヴァ「な、なにっ!?」
往水「実は援軍はもうひとりいたんでさぁ。ちびっ子たちはいい囮になってくれましたよ?」
寅「中村!」
エヴァ「も、戻れ……キュウビっ!」
往水「お、おおっと……!?」
エヴァは慌ててキュウビを戻す。
キュウビの尾が仲村へと殺到する。仲村はさっとエヴァから身を離して避ける。
秘密同心:に「はぁ……はぁ……ま、間にあいましたぁ」
往水「ふああ……あたし、実は高いところって苦手なんですよねぇ」
由真「ええいっ!!」
キュウビ『コ、コオォォオオオッ!!!』
エヴァ「な、なんだ……と!?」
吉音「やったっ!!」
由真「よぉし、封印完了っ!!」
結花「お父さん、これでいいのですね」
唯「ざまぁ見ろっ!!」
エヴァ「おのれ、カスどもがぁあああ!!」
悠「へへっ、あっちはやったよう……だばっ?!」
白フード「……」
悠「っ……全然きかねぇぞ!」
奴の龍剄連打はパパン、パパンっと音を立てて顔面に当たり続けるが、本当にそれだけだ多少痛いがダメージは普通に殴られるのの十分の一の刺激もない。
白フード「……風の拳といえど受け続けて、目は見えるか?」
悠「あー……?」
言われて漸く気がついた。涙や充血であたりがぼやけていることに……。
ｰ大江戸学園:地下コアルームｰ
シオン「ぐうぅあ!!」
桃子「ふぅ……これで一体何度目だよ」
シオン「なぜだ……なぜだ……なぜ私はお前に勝てないっ……!」
ため息を吐きつつ見下ろす桃子に、シオンは幽鬼の如くユラリと立ち上がり、憎々しげな視線を向けた。
桃子「前にもいったか知らんが、お前、戦うたびに弱くなってんぞ。今日なんていつもの輪月殺法にすらなってねぇぜ」
シオン「そ、そんなはずは、ない。私の心は鏡のように澄み切っていた……はず……」
桃子「なに言ってやがんだ。最高にカリカリ頭に来てたじゃねーか。おい、一体何があったんだ?そういや、やり合う前になんか妙なこといってなかったか?」
シオン「……お前には関係ない。つまらん、身内の事情だ」
桃子「身内の事情?なんだよ、それ?」
シオンは暫し、ぽかんと気の抜けた顔で宙を見上げてから、自嘲めいた笑みをこぼした。
シオン「フ……フフ……身内の事情……か。そんな腐れたことを私が口走るとはな」
桃子「ひとりでぶつぶつ言ってて意味わかんねぇ。勝っても負けても気持ち悪いやつだな、お前は。身内の話し、だろ?こんだけくされ縁が続いてんだ。そろそろお前の話もちょっとは聞かせてくれたってよかねぇか?」
シオン「ふ、ふふ。いいだろう、くだらん話さ。父はオランダの貿易商、ジョアン･ヘルマンド。母は眠利志津。つまり私の姓、眠利は母方のものだ。眠利家は日本の由緒ある華族だった。ただし実際に力があったのは戦前までだがな。事業を広げるべく日本へと乗り込んで来た父が接触したのが眠利家だ。地盤を持たないジョアンには眠利家の名前が……戦後凋落していた眠利家にはジョアンの財力が、それぞれ魅力的だった。父は眠利家の令嬢だった母を娶り、両家は今後の協力体制を約束し合うことになった。完全な政略結婚。そしてそんな二人の間に生まれたのが私さ、より大きな事業の発展を目指す父は私を大江戸学園へと送り込んだ。私は政略結婚で生み出され大江戸学園卒という肩書を得るためだけに此処にいる。私は父の事業拡大だけのためのただの道具さ。この世では愛も義理も無意味。すべては刹那の欲望によって回っている。。私が私である必要なんてどこにもない。空っぽの器なのさ」
桃子「なんだ、そんなことか」
シオン「そんなことだ……と?」
桃子「ああそうさ。ちょいとばかし、いいとこに生まれちまった奴なら、誰だって一度は考えるこった。だがな、みんなそこから自分の価値を見出していくんだ。他の何者でもない自分自身の価値でな。それをお前ひとりがなにをグダグダ言ってんだよ。甘えてんじゃねぇよ」
シオン「頭が空っぽなのはいいなぁ……考えが単純で……」
桃子「ああ?羨ましけりゃお前もそうすりゃいいだろ。そもそも輪月殺法ってのはそうやって使うモンじゃなかったのかよ?」
シオン「クククハハッ……!そうだったな。まさかお前から、輪月殺法の手ほどきを受けるとはな」
桃子「何回、見せられたと思ってんだよ……」
シオン「そうか、それが私とお前との差だったか。なるほど私が弱くなっていくわけだな、ハハハ……決着はついた。お前の好きなようにするがいいさ」
桃子「……命令って、やっぱり飛鳥鼎からなのか?」
シオン「正確にはエヴァと利害関係で結びついている、私の実家からだったがな」
桃子「はぁ……どこもかしこもめんどくさいことばっかだなぁ」
エヴァ「バッカじゃない、そんな見え見えの囮に引っかかるとでも思ってた?しっかり無視してネズミを潰させていただきま～す♪」
寅「なっ……!?」
エヴァ「ひゃはははははーーー!!」
「そこまでに願いますよ」
エヴァの背後にいつの間にか人影が立ち、そののど元に刃をあてがっている。
エヴァ「な、なにっ!?」
往水「実は援軍はもうひとりいたんでさぁ。ちびっ子たちはいい囮になってくれましたよ?」
寅「中村!」
エヴァ「も、戻れ……キュウビっ!」
往水「お、おおっと……!?」
エヴァは慌ててキュウビを戻す。
キュウビの尾が仲村へと殺到する。仲村はさっとエヴァから身を離して避ける。
秘密同心:に「はぁ……はぁ……ま、間にあいましたぁ」
往水「ふああ……あたし、実は高いところって苦手なんですよねぇ」
由真「ええいっ!!」
キュウビ『コ、コオォォオオオッ!!!』
エヴァ「な、なんだ……と!?」
吉音「やったっ!!」
由真「よぉし、封印完了っ!!」
結花「お父さん、これでいいのですね」
唯「ざまぁ見ろっ!!」
エヴァ「おのれ、カスどもがぁあああ!!」
悠「へへっ、あっちはやったよう……だばっ?!」
白フード「……」
悠「っ……全然きかねぇぞ!」
奴の龍剄連打はパパン、パパンっと音を立てて顔面に当たり続けるが、本当にそれだけだ多少痛いがダメージは普通に殴られるのの十分の一の刺激もない。
白フード「……風の拳といえど受け続けて、目は見えるか?」
悠「あー……?」
言われて漸く気がついた。涙や充血であたりがぼやけていることに……。
ｰ大江戸学園:地下コアルームｰ
シオン「ぐうぅあ!!」
桃子「ふぅ……これで一体何度目だよ」
シオン「なぜだ……なぜだ……なぜ私はお前に勝てないっ……!」
ため息を吐きつつ見下ろす桃子に、シオンは幽鬼の如くユラリと立ち上がり、憎々しげな視線を向けた。
桃子「前にもいったか知らんが、お前、戦うたびに弱くなってんぞ。今日なんていつもの輪月殺法にすらなってねぇぜ」
シオン「そ、そんなはずは、ない。私の心は鏡のように澄み切っていた……はず……」
桃子「なに言ってやがんだ。最高にカリカリ頭に来てたじゃねーか。おい、一体何があったんだ?そういや、やり合う前になんか妙なこといってなかったか?」
シオン「……お前には関係ない。つまらん、身内の事情だ」
桃子「身内の事情?なんだよ、それ?」
シオンは暫し、ぽかんと気の抜けた顔で宙を見上げてから、自嘲めいた笑みをこぼした。
シオン「フ……フフ……身内の事情……か。そんな腐れたことを私が口走るとはな」
桃子「ひとりでぶつぶつ言ってて意味わかんねぇ。勝っても負けても気持ち悪いやつだな、お前は。身内の話し、だろ?こんだけくされ縁が続いてんだ。そろそろお前の話もちょっとは聞かせてくれたってよかねぇか?」
シオン「ふ、ふふ。いいだろう、くだらん話さ。父はオランダの貿易商、ジョアン･ヘルマンド。母は眠利志津。つまり私の姓、眠利は母方のものだ。眠利家は日本の由緒ある華族だった。ただし実際に力があったのは戦前までだがな。事業を広げるべく日本へと乗り込んで来た父が接触したのが眠利家だ。地盤を持たないジョアンには眠利家の名前が……戦後凋落していた眠利家にはジョアンの財力が、それぞれ魅力的だった。父は眠利家の令嬢だった母を娶り、両家は今後の協力体制を約束し合うことになった。完全な政略結婚。そしてそんな二人の間に生まれたのが私さ、より大きな事業の発展を目指す父は私を大江戸学園へと送り込んだ。私は政略結婚で生み出され大江戸学園卒という肩書を得るためだけに此処にいる。私は父の事業拡大だけのためのただの道具さ。この世では愛も義理も無意味。すべては刹那の欲望によって回っている。。私が私である必要なんてどこにもない。空っぽの器なのさ」
桃子「なんだ、そんなことか」
シオン「そんなことだ……と?」
桃子「ああそうさ。ちょいとばかし、いいとこに生まれちまった奴なら、誰だって一度は考えるこった。だがな、みんなそこから自分の価値を見出していくんだ。他の何者でもない自分自身の価値でな。それをお前ひとりがなにをグダグダ言ってんだよ。甘えてんじゃねぇよ」
シオン「頭が空っぽなのはいいなぁ……考えが単純で……」
桃子「ああ?羨ましけりゃお前もそうすりゃいいだろ。そもそも輪月殺法ってのはそうやって使うモンじゃなかったのかよ?」
シオン「クククハハッ……!そうだったな。まさかお前から、輪月殺法の手ほどきを受けるとはな」
桃子「何回、見せられたと思ってんだよ……」
シオン「そうか、それが私とお前との差だったか。なるほど私が弱くなっていくわけだな、ハハハ……決着はついた。お前の好きなようにするがいいさ」
桃子「……命令って、やっぱり飛鳥鼎からなのか?」
シオン「正確にはエヴァと利害関係で結びついている、私の実家からだったがな」
桃子「はぁ……どこもかしこもめんどくさいことばっかだなぁ」
