ｰ大江戸学園:頂上ｰ

場面は移り、地上が激戦苛烈の最中……

エヴァ「あら、びっくり……落ちちゃわなかったんだ?」

詠美「エヴァ……学園の敵」

吉音「…………お前、お前さえ居なければみんな死ななくて済んだ!お前はみんなを泣かせる。あたしは、お前を、絶対に、許さないっ!」

寅「俺は他人をどうこう言える生き方はしてねぇ。けど……テメェみたいな外道はへどが出る。」

悠「うおおおおおおっ!!」

おれ達は雄たけびをあげて突進した。

「駄目、小鳥遊!今のキュウビには絶対に勝てないっ!」

この声は……。

悠「ゆ、由真!?」

詠美「怪盗猫目?」

悠「由真……お前、本土に帰ったんじゃないのか?」

由真「はぁ?大事な仕事を残して逃げるわけ無いでしょ!」

悠「大事な、仕事?」

唯「あの剣魂はプログラムを弄ったズルなんだ゜。だから由真姉の言う通りこのままじゃ絶対に勝てないよ!」

結花「だから、私たちがプログラムを正常に修正します」

吉音「プログラム?いったいどういうこと?」

唯「剣魂システムは元々ボクらのお父さんが作ったシステムなんだ。お父さんがボクらに遺してくれたこの剣には、システムに異常が起きたときにそれを修正する力があるんだ」

由真「お父さんの剣魂を悪用する人間は許さない!だからわたしたち猫目がキュウビを止める!」

悠「由真……」

結花「小鳥遊くん、あなたが今持っているその剣……」

悠「これは、師匠が……」

唯「悠さんが持ってるってことは、十兵衛さん取り返せたんだ!」

結花「小鳥遊くん、柳宮さんは?」

悠「師匠は……」

由真「あ……」

結花「そう……」

おれの沈黙で由真たちには通じてしまう。

悠「あの、師匠がいったい?」

由真「剣や剣魂システムのことを教えてくれたのは十兵衛さんなのよ」

結花「柳宮さんは、前将軍の手から奪われた父の最後の剣を取り戻すといってました。その剣にはキュウビの力を止める剣魂が宿されているそうです」

由真「小鳥遊。あんたが今持っているその刀こそ将軍の剣よ」

詠美「キュウビを止める剣魂の力とは一体?」

唯「それはボクらにも分からないんだ。ただ剣が鞘から抜けたときイエヤスと呼ばれる伝説の剣魂が蘇るって」

悠「けどこの剣、さっきからどうにも抜けなくて……」

師匠から受け取ったとき以来、いくら力を籠めても抜けてくれない。あの時はなんの抵抗もなく、滑るように抜けたのに……。

結花「その刀は将軍の資格ある者にしか抜けないと言われています。いえ、それどころか初代将軍の徳河出雲しか抜いた者はいないとまで……」

悠「ならおれじゃなく吉音や詠美に……」

結花「いえ、柳宮さんは彼女らではなくあなたにその刀を託したのは、必ず何か意味が有るはずです」

悠「師匠……」

エヴァ「はいはいはい。お話しはゆっくり聞かせていただきましたよ～♪」

由真「え、どうしてあんな遠くまで聞こえるの?」

悠「キュウビの尾は剣魂の力をコピーするんだ……だからおそらく」

おれは由真たちの剣魂、ヒトミたちを見る。

由真「え、じゃあこの子の能力を!?」

詠美「だから、この戦いではうかつに剣魂を使うことは出来ないの」

唯「な、なんて剣魂なんだ!」

エヴァ「そういうこと♪リミッタープログラムか。油断ならないわね、そんな機能が隠してあったとは。ま、子住ほどのプログラマならやりかねないか。あたしだってそうするしね♪だもぉ、させると思う～?そんなプログラムを走らされる前に剣の主を潰しちゃえばいいわけだしぃ」

詠美「来るわ……」

エヴァ「ひゃははぁ～!キュウビ、小賢しいネズミ三匹……ぶっつぶしてやりなさい」

悠「く……おれたちは、一体どうしたらいい?」

結花「とにかく。まずは私たちの剣でキュウビの力を弱めます」

悠「どうやって!」

唯「あのキュウビを真ん中にして私たち三人の剣を地面に突き立てて、正三角形の封印陣を作るの」

由真「その陣を張る時間が欲しい。フォローして!」

悠「分かった!」

吉音「や、やってみる!」

エヴァ「ひゃははぁ～!」