ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸学園:ツリー直通エレベーター前ー
髑髏柄フードの風貌がようやく明らかになった。ハリネズミのような長髪、メイクだろうか目の下には深いくまのような紫色のアイシャドウ。口元にはさらにそれよりも深く暗い紫色の紅が塗られている。
ついでに髑髏のオブジェを無数につけているその姿はヴィジュアル系デスロックバンドのボーカルでもやっていそうだった。
風太郎「悪趣味だ」
雷太郎「まったくだな。」
風太郎「おい、お前……名前はなんだ?」
雷太郎「病院に送った後だと困るから」
「「今聞いといてやる」」
王蟲「…………峨嵋刺(がびし)……通称王蟲(オーム)。」
雷太郎「峨嵋刺……。中国武術における暗器?」
風太郎「オームって……ナウシカかよ。」
王蟲「貴様らを……殺す!」
その発言と同時、つま先の髑髏が発光し始める。
雷太郎「風!」
風太郎「応!」
ふたりは左右に分かれて飛んだ。チュドンッと音を立てて例の攻撃が炸裂するも当たりはしない。
そのかんに間合いを詰めたのは風太郎だった。ぴたりと張り付くように王蟲の真正面に立ちはだかる。
王蟲「……」
風太郎「どしたの?この距離だとお得意の真空の砲弾は撃てない?」
車のレースは見たことあるだろうか?
時速何百キロものスピードで走る車がフルブレーキングを行うとブレーキには何百トンもの負荷がかかりその一部は熱エネルギーに変換される。
その温度は実に二千度!!真っ白になって光り輝く。
雷太郎「例の技を撃つ前、つま先の髑髏が光っていた。それの中に仕掛けがあるんだろう。とんでもない回転を放つ器具か何かが。そう考えたら、全ての謎は解ける。単に俺達に見えてないだけ……とんでもないスピードの蹴りや拳が何発も繰り出され。その急加速、急停止の摩擦が髑髏を光らせている。」
風太郎「真空の砲弾に真空の刃……原理は蒼龍の爪と同じ。いや、道玄さんや神姫嬢はそんな玩具無しで撃てる。つまり新世代龍剄使い……なんて大層なのは名前だけの……」
王蟲「ッ……」
峨嵋刺が動こうとした刹那、パパン!パパン!っと二発ずつ破裂音。膝のあたりの布が粉々に散った。
雷太郎「どうだ。風太郎の蹴りは?」
王蟲「……ぐっ…」
風太郎「距離をつめその蹴りの出鼻さえ止めてしまえば、当然紛い物でも「蒼龍剄」は生まれない。」
雷太郎「大したことねぇな!」
風太郎「新世代の龍剄使い!」
王蟲「ちっ……わかったもういいよ……ウゼェ。帰る」
峨嵋刺は興味を無くしたように頭を振った。
風太郎「残念ながらその提案は」
雷太郎「時すでに遅し、却下だ」
王蟲「はっ……ギャグに決まってんだろがそんなん本気にすんなよ♪」
王蟲の拳が風太郎の顔面を打った。ガッと鈍い音が峨嵋刺の顔から鳴る。まっすぐに立ったままの状態で風太郎と峨嵋刺は同じように拳を突き出していて、片方はしっかりと相手の顔面に、片方は紙一重の距離で拳が届いていない。
風太郎「俺達は風と」
雷太郎「雷の鬼だ」
王蟲「ご……らああッ!!」
打ちだそうとした拳は、放たれる前に風太郎の打撃にたたき落とされる。
風太郎「貴様は疾風を掴めるか?」
雷太郎「貴様は迅雷を追えるか?」
王蟲「ぐぉのっ!」
疾風迅雷、雷迅風疾……二対の鬼を前に王蟲は憎しみの咆哮をあげるのだった。
髑髏柄フードの風貌がようやく明らかになった。ハリネズミのような長髪、メイクだろうか目の下には深いくまのような紫色のアイシャドウ。口元にはさらにそれよりも深く暗い紫色の紅が塗られている。
ついでに髑髏のオブジェを無数につけているその姿はヴィジュアル系デスロックバンドのボーカルでもやっていそうだった。
風太郎「悪趣味だ」
雷太郎「まったくだな。」
風太郎「おい、お前……名前はなんだ?」
雷太郎「病院に送った後だと困るから」
「「今聞いといてやる」」
王蟲「…………峨嵋刺(がびし)……通称王蟲(オーム)。」
雷太郎「峨嵋刺……。中国武術における暗器?」
風太郎「オームって……ナウシカかよ。」
王蟲「貴様らを……殺す!」
その発言と同時、つま先の髑髏が発光し始める。
雷太郎「風!」
風太郎「応!」
ふたりは左右に分かれて飛んだ。チュドンッと音を立てて例の攻撃が炸裂するも当たりはしない。
そのかんに間合いを詰めたのは風太郎だった。ぴたりと張り付くように王蟲の真正面に立ちはだかる。
王蟲「……」
風太郎「どしたの?この距離だとお得意の真空の砲弾は撃てない?」
車のレースは見たことあるだろうか?
時速何百キロものスピードで走る車がフルブレーキングを行うとブレーキには何百トンもの負荷がかかりその一部は熱エネルギーに変換される。
その温度は実に二千度!!真っ白になって光り輝く。
雷太郎「例の技を撃つ前、つま先の髑髏が光っていた。それの中に仕掛けがあるんだろう。とんでもない回転を放つ器具か何かが。そう考えたら、全ての謎は解ける。単に俺達に見えてないだけ……とんでもないスピードの蹴りや拳が何発も繰り出され。その急加速、急停止の摩擦が髑髏を光らせている。」
風太郎「真空の砲弾に真空の刃……原理は蒼龍の爪と同じ。いや、道玄さんや神姫嬢はそんな玩具無しで撃てる。つまり新世代龍剄使い……なんて大層なのは名前だけの……」
王蟲「ッ……」
峨嵋刺が動こうとした刹那、パパン!パパン!っと二発ずつ破裂音。膝のあたりの布が粉々に散った。
雷太郎「どうだ。風太郎の蹴りは?」
王蟲「……ぐっ…」
風太郎「距離をつめその蹴りの出鼻さえ止めてしまえば、当然紛い物でも「蒼龍剄」は生まれない。」
雷太郎「大したことねぇな!」
風太郎「新世代の龍剄使い!」
王蟲「ちっ……わかったもういいよ……ウゼェ。帰る」
峨嵋刺は興味を無くしたように頭を振った。
風太郎「残念ながらその提案は」
雷太郎「時すでに遅し、却下だ」
王蟲「はっ……ギャグに決まってんだろがそんなん本気にすんなよ♪」
王蟲の拳が風太郎の顔面を打った。ガッと鈍い音が峨嵋刺の顔から鳴る。まっすぐに立ったままの状態で風太郎と峨嵋刺は同じように拳を突き出していて、片方はしっかりと相手の顔面に、片方は紙一重の距離で拳が届いていない。
風太郎「俺達は風と」
雷太郎「雷の鬼だ」
王蟲「ご……らああッ!!」
打ちだそうとした拳は、放たれる前に風太郎の打撃にたたき落とされる。
風太郎「貴様は疾風を掴めるか?」
雷太郎「貴様は迅雷を追えるか?」
王蟲「ぐぉのっ!」
疾風迅雷、雷迅風疾……二対の鬼を前に王蟲は憎しみの咆哮をあげるのだった。