ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸城:廊下ー
光姫「それは置いといてわしが大江戸学園に入学する前じゃからな。もう十年近くになるかの。付き合いの長さだけなら幼なじみといってもいいのかも知れんな」
詠美「ですが、光姫さんと指南役は偶に執行部で顔を合わせられてもいつも素っ気なく……」
光姫「あれは互いに申し合わせてのことじゃ真の敵を見極められるまではわしらの繋がりを気とられるわけにはいかんかったのでな。わしと十兵衛はそれぞれ別方向から学園に入り込んだ邪悪を追っておった。しかし大御所の正体を突き止めることができたのはつい最近のことじゃ。大御所の正体を教頭だと気付いたのは十兵衛じゃった。しかし吉彦と将軍の剣を人質にとられていることで自由には動けぬ。そこで十兵衛は野望を演じて大御所へと接近したのじゃ。学園のためにはあえて汚名を被ることもいとわなかった奴こそ侍。真に忠義の士じゃよ」
悠「師匠……」
吉音「ホントは仲が良かったんだね」
光姫「戦友じゃからな。わしと十兵衛の歳月は全てエヴァとの戦いのなかにあった。今、このとき、エヴァと戦うため、あの日わしらは引き合わされたのじゃ。父親に伴われて現れたあやつと初めて顔を合わせたのは大江戸学園入学の直前じゃった。お父上はわしに協力を求めた。それも大人が幼い子供に対等に手を差し出してくれたのじゃ。わしが本来の姿を偽っていることも見抜かれておったのじゃろう。わしは申し出を受け、十兵衛を紹介された。あやつはわしと同じ年じゃったが、すでに多くの修羅場をくぐり抜けてきておった。そしてあやつはわしにとって初めての友となった。」
詠美「なんて長い戦い……」
光姫「大江戸学園のみならず、いずれ日本をも手中に収めんとする恐るべきエヴァの野望。あの女はその実現のため長い時間をかけて狡猾な策を学園に張り巡らせてきたのじゃ」
詠美「エヴァとは一体何者なのですか?」
詠美の声は心なしか震えているように聞こえた。
光姫「うむ。今こそお主らも知るべきじゃろう。全ての災いの元凶。学園の……いや、日本の敵の正体を……」
西欧諸国は戦後も日本に対して水面下で様々な工作活動を仕掛けていた。
それは世界大戦での経験、そして猛烈な速度で進む戦後復興への脅威とある人物の存在から、日本が力をつけすぎるのを避けたいという思惑があったからである。
バブル崩壊も西欧諸国の工作がその一因となったといわれている。しかしバブルが崩壊、そのまま弱体化すると思われた日本だが、ある財閥の本格始動と大江戸学園が建設されたことで再び勢いを取り戻す。
このことが再び西欧諸国の危機感を刺激した。
当然学園とある財閥への工作活動が行われたが、初代将軍出雲と柳生家とひとりの男の活躍により防がれた。
中でも日本の力に恐れを抱いていたのが西欧の技術立国オランダであった。
世界有数の文化・技術先進国であるオランダは、大戦後17世紀以来の黄金時代を迎えていた。
同じく技術立国である日本とは交流の深い国でありライバルでもある。オランダは技術立国であると同時に世界トップレベルの情報立国でもあった。
強大な軍事力を持たない代わり、優秀な諜報機関を運用して他の国と張り合っているのだ。
エヴァは元々はそのオランダのスパイだった。オランダ人の技師の娘として生まれたエヴァ・ヨーステンは、素行は悪かったものの知能の高さとクラック技術を買われてオランダ政府のスカウトを受ける。
諜報機関でさらに技術を学んだ彼女は優秀な工作員となるが自己中心的な性格はそのままだった。
その後、工作員として様々な諜報活動を行っていたエヴァ。彼女はあるときとある財閥と大江戸学園のシステム侵入の指令を受ける。
しかし学園側はそれはこれまで彼女が当たったどんなシステムよりセキュリティが固く、外部からの侵入は不可能だった。逆に財閥側はシステムに侵入できても其処に辿りついたあとの内部が危険すぎてこれまた不可能だった。
そのことでエヴァは、大江戸学園に強い興味を持つ。エヴァは学園の歴史や徳河家について調べるうちに、学園を通じて日本を支配するという野望に取りつかれる。
その頃からエヴァは徐々に軍の四例から離れて独自の行動を取り始め。
悠「まるで侵略だな」
銀次「この程度の情報戦なら国同士じゃよくある話しだぜ。情報ってのはその後に続くテーブル上の駆け引きを有利に進めるためのもんだ。だからこっそりと一線を踏み越えないようにやんのがお約束なのさ。派手にやらかしゃ、お前の言う通り侵略になっちまう」
久秀「さっきから気になっているんだけど、大江戸学園と拮抗している財閥とひとりの男って誰なのよ?そいつは敵?」
光姫「んー……その話をするとなると少々まだ話が長くなるんじゃが」
久秀「じゃあ、端的かつ分かりやすく説明しなさい」
悠「お前なぁ…」
光姫「わかった。その財閥の名は小鳥遊コンチェル。男の名は……小鳥遊弥一じゃ」
悠「……はいっ?」
光姫「それは置いといてわしが大江戸学園に入学する前じゃからな。もう十年近くになるかの。付き合いの長さだけなら幼なじみといってもいいのかも知れんな」
詠美「ですが、光姫さんと指南役は偶に執行部で顔を合わせられてもいつも素っ気なく……」
光姫「あれは互いに申し合わせてのことじゃ真の敵を見極められるまではわしらの繋がりを気とられるわけにはいかんかったのでな。わしと十兵衛はそれぞれ別方向から学園に入り込んだ邪悪を追っておった。しかし大御所の正体を突き止めることができたのはつい最近のことじゃ。大御所の正体を教頭だと気付いたのは十兵衛じゃった。しかし吉彦と将軍の剣を人質にとられていることで自由には動けぬ。そこで十兵衛は野望を演じて大御所へと接近したのじゃ。学園のためにはあえて汚名を被ることもいとわなかった奴こそ侍。真に忠義の士じゃよ」
悠「師匠……」
吉音「ホントは仲が良かったんだね」
光姫「戦友じゃからな。わしと十兵衛の歳月は全てエヴァとの戦いのなかにあった。今、このとき、エヴァと戦うため、あの日わしらは引き合わされたのじゃ。父親に伴われて現れたあやつと初めて顔を合わせたのは大江戸学園入学の直前じゃった。お父上はわしに協力を求めた。それも大人が幼い子供に対等に手を差し出してくれたのじゃ。わしが本来の姿を偽っていることも見抜かれておったのじゃろう。わしは申し出を受け、十兵衛を紹介された。あやつはわしと同じ年じゃったが、すでに多くの修羅場をくぐり抜けてきておった。そしてあやつはわしにとって初めての友となった。」
詠美「なんて長い戦い……」
光姫「大江戸学園のみならず、いずれ日本をも手中に収めんとする恐るべきエヴァの野望。あの女はその実現のため長い時間をかけて狡猾な策を学園に張り巡らせてきたのじゃ」
詠美「エヴァとは一体何者なのですか?」
詠美の声は心なしか震えているように聞こえた。
光姫「うむ。今こそお主らも知るべきじゃろう。全ての災いの元凶。学園の……いや、日本の敵の正体を……」
西欧諸国は戦後も日本に対して水面下で様々な工作活動を仕掛けていた。
それは世界大戦での経験、そして猛烈な速度で進む戦後復興への脅威とある人物の存在から、日本が力をつけすぎるのを避けたいという思惑があったからである。
バブル崩壊も西欧諸国の工作がその一因となったといわれている。しかしバブルが崩壊、そのまま弱体化すると思われた日本だが、ある財閥の本格始動と大江戸学園が建設されたことで再び勢いを取り戻す。
このことが再び西欧諸国の危機感を刺激した。
当然学園とある財閥への工作活動が行われたが、初代将軍出雲と柳生家とひとりの男の活躍により防がれた。
中でも日本の力に恐れを抱いていたのが西欧の技術立国オランダであった。
世界有数の文化・技術先進国であるオランダは、大戦後17世紀以来の黄金時代を迎えていた。
同じく技術立国である日本とは交流の深い国でありライバルでもある。オランダは技術立国であると同時に世界トップレベルの情報立国でもあった。
強大な軍事力を持たない代わり、優秀な諜報機関を運用して他の国と張り合っているのだ。
エヴァは元々はそのオランダのスパイだった。オランダ人の技師の娘として生まれたエヴァ・ヨーステンは、素行は悪かったものの知能の高さとクラック技術を買われてオランダ政府のスカウトを受ける。
諜報機関でさらに技術を学んだ彼女は優秀な工作員となるが自己中心的な性格はそのままだった。
その後、工作員として様々な諜報活動を行っていたエヴァ。彼女はあるときとある財閥と大江戸学園のシステム侵入の指令を受ける。
しかし学園側はそれはこれまで彼女が当たったどんなシステムよりセキュリティが固く、外部からの侵入は不可能だった。逆に財閥側はシステムに侵入できても其処に辿りついたあとの内部が危険すぎてこれまた不可能だった。
そのことでエヴァは、大江戸学園に強い興味を持つ。エヴァは学園の歴史や徳河家について調べるうちに、学園を通じて日本を支配するという野望に取りつかれる。
その頃からエヴァは徐々に軍の四例から離れて独自の行動を取り始め。
悠「まるで侵略だな」
銀次「この程度の情報戦なら国同士じゃよくある話しだぜ。情報ってのはその後に続くテーブル上の駆け引きを有利に進めるためのもんだ。だからこっそりと一線を踏み越えないようにやんのがお約束なのさ。派手にやらかしゃ、お前の言う通り侵略になっちまう」
久秀「さっきから気になっているんだけど、大江戸学園と拮抗している財閥とひとりの男って誰なのよ?そいつは敵?」
光姫「んー……その話をするとなると少々まだ話が長くなるんじゃが」
久秀「じゃあ、端的かつ分かりやすく説明しなさい」
悠「お前なぁ…」
光姫「わかった。その財閥の名は小鳥遊コンチェル。男の名は……小鳥遊弥一じゃ」
悠「……はいっ?」