ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】

ー大江戸学園:執行部室ー

エヴァ「うふふ……こうして胸を開くと楽ですわ~」

悠「なんだ!?」

エヴァ「……擬・態・解・除♪」

エヴァが髪を湯を得ていたリボンをはずした途端、髪が舞い上がった。そして全身の輪郭が滲み揺れた。

飛鳥鼎の髪の色が、羽織りの色がみるみる変わっていく。

悠「っ……」

エヴァ「あははははっっ!!」

高らかな嘲笑が執行部室に響き渡った。

穏かな飛鳥鼎の姿がかき消える。其処に立っていたのは金色の髪を波打たせ、燃える炎のような瞳をした白人女性だった。

銀次「……剣魂システムの応用か?」

確か吉音のマゴベエも同じ能力を持っていたはずだ。しかし髪の色を含めて、ここまでの変化はしない。

光姫「それがお前の本性だな、エヴァ・ヨーステン」

エヴァ「そーよ、こっちのが全然いけてるでしょ?さっはまでの真面目な眼鏡は飛鳥鼎の真似よ。あんなだっさい格好、変装でもなきゃ絶対にやんないわ」

姿だけではなく表情も口調も元の飛鳥鼎の面影はなかった。

悠「……」

エヴァ「あんたたちといい、十兵衛といい、ほんっと『バカ』よねぇ」

悠「……師匠がどうしたっていうんだ」

エヴァ「あんたの師匠の十兵衛さんはねぇ……さっきやっつけちゃいましたぁ♪」

エヴァはしれっと答えた。

悠「……笑えない、冗談だな」

エヴァ「ま、残念ながらとどめを刺す寸前で逃げられちゃったんだけどねぇ」

詠美「馬鹿な……あの指南役が敗れるだなんて」

エヴァ「あれで学園最強なんだったら、それ以下のあんた達が勝てるわけないじゃ~ん♪」

悠「信じられるか!」

エヴァ「信じるも信じないもそれは勝手なんだけどさぁ。とりあえずかかって来てみれば?ホントかウソかすぐに分からせてあげるから」

悠「はっ、やっすい挑発だな……乗ってやるよ!」

吉音「だめ……なんかすごく危ない雰囲気がしてる」

不安そうな顔をした吉音がおれの服の裾を掴む。

悠「罠だろうが、なんだろうが、それ諸共叩き伏せたらいい!」

光姫「あやつの自信、もしや……」

悠「離せっ!」

吉音「悠っ!」

吉音の手を振り切り、おれはエヴァへと殴りかかった。

エヴァ「ふふふ」

それでもエヴァはにやりと笑うだけでかわそうともせず待ち構える。

悠「はぁぁぁぁ!」

エヴァ「出でよ……キュウビ」

あと数歩に迫ったとき、エヴァはぼそりとつぶやいた。

悠「オラアァァァ!」

おれは構わず拳を突き放つ!

キュウビ『コーー!』

悠「何ッ!?」

エヴァに達する前に拳は停止した。

おれとエヴァの間には白い行者のような姿が浮かんでいた。そいつは片手で容易におれの拳を受け止めていた。

キュウビ『コーーーンン!』

悠「ぐ、なろっ!!」

そいつは掴んだ拳をひねり、おれは前転よろしく地面にたたきつけられかけたが何とか受け身を取った。

吉音「悠っ!」

悠「大丈夫だ……けど、受け止めやがった。」

エヴァ「これがあたしの剣魂、キュウビよ♪ちょーカッコいいでしょ?」

キュウビ『コーー!』

光姫「これがアウトリミットの剣魂か。やはり、すでに完成していたか」

確かにそいつは異様な雰囲気を持っていた。

しかし細身で大きさもそれほどではない。雪那のヨリノブに比べれば迫力に欠けるような気がする。
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