ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸学園:執行部室ー
吉音「詠美ちゃんはずるい!自分ばっかり大変だった、悪くなかったみたいにいって!あたしはそんなことしたくなかったっていったでしょ?詠美ちゃんと遊ぶ時間を減らされて、毎日毎日難しい勉強ばっかりして、そんなのちっとも楽しくないのに、皆が徳河の子だからやれってばっかりいってくるんだよ?それが詠美ちゃんにわかるの!?」
詠美「光栄なことでしょ?喜べばいいじゃないっ!」
吉音「いやだ!詠美ちゃんと遊んでるほうがいいっ!」
詠美「どうしてそんなワガママばっかりいうの!」
吉音「いやなものはいやだから!詠美ちゃんだって、体にイイっていわれても牛乳飲まなかったでしょ!」
詠美「今それが関係あるの?あんたなんて食べ過ぎって言われてても食べ続けてたくせに!そうだ、私の取っておいた生クリームプリンだって食べてしまったでしょう!?覚えてるわよ!」
吉音「詠美ちゃんだってあたしの買ったマンガ、先に読んじゃったじゃない!しかも内容までしゃべって!」
詠美「いつもお菓子食べながら読んでるからその後が油だらけになってるのよ!」
吉音「だったらもう一冊自分のを買ってくればいいでしょー!お小遣い、いっぱいもらってたのにー!」
……なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。
久秀「……帰っていい?」
悠「も、もうちょっと待とうよ」
学園の治め方や、徳河としてのあり方の議論だったはずなのに……なんというかまるで、子供の喧嘩のような。
吉音「わからずやの石頭1」
詠美「トウフ頭よりはマシよ!」
吉音「トウフだったら食べられるし!美味しいし!」
詠美「食べ物のことばっかり!石にぶつかってつぶれれば良いのよ!」
吉音「あっ、ひどーい!食べ物を粗末にするのは悪党だ!」
詠美「もう……なんい頭が悪いのっ!?いつもいつもこれだからイライラするのよ!」
吉音「あたしは詠美ちゃんとお話しできるの楽しいよ!うれしいよ!大好きだもん!」
言われれば言われただけ、いやそれ以上に言いかえしていた詠美が、初めて言葉に詰まった。
詠美「うぐっ……どうしてあなたは、そんなに簡単に好きだなんていえるのよ……」
それでも吉音の剣幕は止まらない。
吉音「本当のことだもん!」
詠美「もう、やめてよ……あなたを憎んでないと、私は……っ」
吉音「詠美ちゃんは子供だっ!今やってる事なんてただの八つ当たりだっ!昔……寂しかったのは分かったよ。その原因があたしだったのもわかったよ。でも誰かを見返すためにみんなを利用したり、乱暴したりするのは間違ってる!詠美ちゃんは徳河じゃなかったら何もできなかったの?違うでしょ!?詠美ちゃんは、詠美ちゃんで他の誰かなんて関係ない!」
詠美「そんなっ……正論を……わかりきったことをっ……そうよ、そんなこと私だってわかってるわよ!だからって簡単に割り切れることじゃないでしょう!?」
いつの間にか、ふたりとも刀を交えることはなくなっていた。
もしかするとふたりは、これまでまともに喧嘩したことがなかったのかもしれない。
話を聞く限り、境遇は違えど、互いに互いを必要としていた……依存に近い関係だった。
だからこそ本気でぶつかり合う事ができず、反動で妬みが奥深くへと根付いていったんだろう。
久秀「ねぇ、ホント帰っちゃ駄目?もしくは今から裏切っていい?」
悠「どっちも駄目…。」
このタイミングで久秀に飽きが来ているのが怖い…。コイツの場合、裏切りがステータスみたいなものだから本気で裏切りかねないし……。あー、怖い怖い。
吉音「それじゃあ詠美ちゃんは、自分でも正しくないと思ってることを続けるの?そんなことをして、誰に褒めてもらえるの?叱られるだけなんじゃないの?」
詠美「だ……誰か、に……」
その相手が、仮に徳河家の一員で、それも父親である秀忠さんだとして。
そんな人物が、詠美のしていることが良いことか、悪いことか、見ぬけないとは思えない。
結果、詠美は意地を張って我を通せば通すほど、評価は下がっていくことになってしまう。
吉音「詠美ちゃんはずるい!自分ばっかり大変だった、悪くなかったみたいにいって!あたしはそんなことしたくなかったっていったでしょ?詠美ちゃんと遊ぶ時間を減らされて、毎日毎日難しい勉強ばっかりして、そんなのちっとも楽しくないのに、皆が徳河の子だからやれってばっかりいってくるんだよ?それが詠美ちゃんにわかるの!?」
詠美「光栄なことでしょ?喜べばいいじゃないっ!」
吉音「いやだ!詠美ちゃんと遊んでるほうがいいっ!」
詠美「どうしてそんなワガママばっかりいうの!」
吉音「いやなものはいやだから!詠美ちゃんだって、体にイイっていわれても牛乳飲まなかったでしょ!」
詠美「今それが関係あるの?あんたなんて食べ過ぎって言われてても食べ続けてたくせに!そうだ、私の取っておいた生クリームプリンだって食べてしまったでしょう!?覚えてるわよ!」
吉音「詠美ちゃんだってあたしの買ったマンガ、先に読んじゃったじゃない!しかも内容までしゃべって!」
詠美「いつもお菓子食べながら読んでるからその後が油だらけになってるのよ!」
吉音「だったらもう一冊自分のを買ってくればいいでしょー!お小遣い、いっぱいもらってたのにー!」
……なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。
久秀「……帰っていい?」
悠「も、もうちょっと待とうよ」
学園の治め方や、徳河としてのあり方の議論だったはずなのに……なんというかまるで、子供の喧嘩のような。
吉音「わからずやの石頭1」
詠美「トウフ頭よりはマシよ!」
吉音「トウフだったら食べられるし!美味しいし!」
詠美「食べ物のことばっかり!石にぶつかってつぶれれば良いのよ!」
吉音「あっ、ひどーい!食べ物を粗末にするのは悪党だ!」
詠美「もう……なんい頭が悪いのっ!?いつもいつもこれだからイライラするのよ!」
吉音「あたしは詠美ちゃんとお話しできるの楽しいよ!うれしいよ!大好きだもん!」
言われれば言われただけ、いやそれ以上に言いかえしていた詠美が、初めて言葉に詰まった。
詠美「うぐっ……どうしてあなたは、そんなに簡単に好きだなんていえるのよ……」
それでも吉音の剣幕は止まらない。
吉音「本当のことだもん!」
詠美「もう、やめてよ……あなたを憎んでないと、私は……っ」
吉音「詠美ちゃんは子供だっ!今やってる事なんてただの八つ当たりだっ!昔……寂しかったのは分かったよ。その原因があたしだったのもわかったよ。でも誰かを見返すためにみんなを利用したり、乱暴したりするのは間違ってる!詠美ちゃんは徳河じゃなかったら何もできなかったの?違うでしょ!?詠美ちゃんは、詠美ちゃんで他の誰かなんて関係ない!」
詠美「そんなっ……正論を……わかりきったことをっ……そうよ、そんなこと私だってわかってるわよ!だからって簡単に割り切れることじゃないでしょう!?」
いつの間にか、ふたりとも刀を交えることはなくなっていた。
もしかするとふたりは、これまでまともに喧嘩したことがなかったのかもしれない。
話を聞く限り、境遇は違えど、互いに互いを必要としていた……依存に近い関係だった。
だからこそ本気でぶつかり合う事ができず、反動で妬みが奥深くへと根付いていったんだろう。
久秀「ねぇ、ホント帰っちゃ駄目?もしくは今から裏切っていい?」
悠「どっちも駄目…。」
このタイミングで久秀に飽きが来ているのが怖い…。コイツの場合、裏切りがステータスみたいなものだから本気で裏切りかねないし……。あー、怖い怖い。
吉音「それじゃあ詠美ちゃんは、自分でも正しくないと思ってることを続けるの?そんなことをして、誰に褒めてもらえるの?叱られるだけなんじゃないの?」
詠美「だ……誰か、に……」
その相手が、仮に徳河家の一員で、それも父親である秀忠さんだとして。
そんな人物が、詠美のしていることが良いことか、悪いことか、見ぬけないとは思えない。
結果、詠美は意地を張って我を通せば通すほど、評価は下がっていくことになってしまう。