ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸学園:大江戸城門前ー
朱金「なんだ?えらくぬりぃ攻撃じゃねぇか」
大魔神が連撃を放つが、今までの猛攻に比べれば穏かなものだった。
真留「これってもしかして……」
朱金「ああ、間違いねえ。これならっ!」
詳しい原理は分からないが、伊都の呼びかけで大魔神の動きは完全に鈍くなっていた。
ついに訪れた好機。今までは回避に専念していた朱金が、臆すことなく振り下ろされる刀の前に飛び出した。
朱金「ハナサカぁぁ!」
桜色のフィールドが広がり、朱金の身体能力が限界を超えて引きあげられる。
大魔神の一太刀を、朱金は正面から受け止めた。
魁人「おぉ……凄い。」
少しずつ、本当に少しずつであるが朱金の刀が押し返し始める。
そして……
朱金「うおぉぉぉぉぉぉっ!さっきのお返しだあぁぁぁぁ!」
今度は大魔神の身体が弾き返され、大きくバランスを崩した。その懐に朱金が走り込む。
朱金の剛剣が大魔神の甲冑を粉々に叩き砕く。
地面に崩れ落ちる大魔神。その姿は壊れた人形のようで、二度と立ち上がることは無かった。
~~
耐久力に少しばかり難あり……と。なるほどなるほど。
全速力で逃げながらも、輝は今しがたの光景を思い浮かべてメモを取る。
発明の基本はトライ&エラーの繰り返し。失敗の数だけ成功に近くなるのだ。
要するに、比良賀輝はまったく諦めていなかった。
今回の失敗を参考に、次なる大魔神の設計図を頭の中で組み立てる。
輝「次はどうしょうかな~」
真留「残念ですが、あなたに次なんかありません!」
輝「ほえっ?」
真留「ガラッ八!シューート!」
輝「うぎゃぁぁぁぁぁ!」
突然の攻撃に地面をゴロゴロと転がる。
それでも慌てて立ち上がり、逃げ出そうとした輝の首筋に、ヒヤリと冷たい感覚が襲った。
はじめ「……動かないほうが身のためだよ」
輝「……もし動いたら、どうなるのかなぁ……なんて」
はじめ「……ざく」
輝「ひょええぇ~~!」
こうして、城門前の死闘は幕を閉じた。
ー大江戸城内ー
悠「なんだ……不気味なくらい静かだな」
吉音「うん……誰も居ないのかな」
久秀「今のうちに火でも放つ?」
悠「久秀!」
久秀「……冗談よ」
悠「その間が怖い…」
久秀「ふんっ」
門の前では輝と白フードと大魔神と木偶が防衛についていた。
しかし城内には人っ子ひとり見当たらず、こちらを迎撃してくる警備システムも特に作動している様子はない。
あれだけ大量にいたはずの執行部の私兵たちも何処にいったんだ……?
悠「まるで奥へ呼び込まれているみたいだな」
おれも吉音も久秀も城内の構造に明るいわけではない。
執行部室は上階にあることだけ聞いているので、ひたすら階段を上がり、上を目指している。
聞こえるのは自分たちの足音と息遣いばかり。その静けさが逆に神経を過敏にし、精神力をすり減らしていく。
吉音「もしかしたら本当にそうなのかも」
悠「あ?」
吉音「あたしたちが乱戦の中で倒されたら、ニュースにならない、詠美ちゃんが直接勝った方が宣伝になるから」
珍しく鋭いことをいうな、吉音。
悠「……これまでの行動を考えれば、否定はしきれないな。」
詠美も直接対決を宣下していた。
そうなれば残る敵は徳河詠美、長谷河、酉居、それに十兵衛師匠だ。
仮に万が一にもその四人で待ち構えていたとしたら、まともに考えればおれたちに勝ち目はない。
だがそれがわかりきっていても、今はいくしかない。むしろそこに至る障害がないのなら好都合だと思わなければ。
朱金「なんだ?えらくぬりぃ攻撃じゃねぇか」
大魔神が連撃を放つが、今までの猛攻に比べれば穏かなものだった。
真留「これってもしかして……」
朱金「ああ、間違いねえ。これならっ!」
詳しい原理は分からないが、伊都の呼びかけで大魔神の動きは完全に鈍くなっていた。
ついに訪れた好機。今までは回避に専念していた朱金が、臆すことなく振り下ろされる刀の前に飛び出した。
朱金「ハナサカぁぁ!」
桜色のフィールドが広がり、朱金の身体能力が限界を超えて引きあげられる。
大魔神の一太刀を、朱金は正面から受け止めた。
魁人「おぉ……凄い。」
少しずつ、本当に少しずつであるが朱金の刀が押し返し始める。
そして……
朱金「うおぉぉぉぉぉぉっ!さっきのお返しだあぁぁぁぁ!」
今度は大魔神の身体が弾き返され、大きくバランスを崩した。その懐に朱金が走り込む。
朱金の剛剣が大魔神の甲冑を粉々に叩き砕く。
地面に崩れ落ちる大魔神。その姿は壊れた人形のようで、二度と立ち上がることは無かった。
~~
耐久力に少しばかり難あり……と。なるほどなるほど。
全速力で逃げながらも、輝は今しがたの光景を思い浮かべてメモを取る。
発明の基本はトライ&エラーの繰り返し。失敗の数だけ成功に近くなるのだ。
要するに、比良賀輝はまったく諦めていなかった。
今回の失敗を参考に、次なる大魔神の設計図を頭の中で組み立てる。
輝「次はどうしょうかな~」
真留「残念ですが、あなたに次なんかありません!」
輝「ほえっ?」
真留「ガラッ八!シューート!」
輝「うぎゃぁぁぁぁぁ!」
突然の攻撃に地面をゴロゴロと転がる。
それでも慌てて立ち上がり、逃げ出そうとした輝の首筋に、ヒヤリと冷たい感覚が襲った。
はじめ「……動かないほうが身のためだよ」
輝「……もし動いたら、どうなるのかなぁ……なんて」
はじめ「……ざく」
輝「ひょええぇ~~!」
こうして、城門前の死闘は幕を閉じた。
ー大江戸城内ー
悠「なんだ……不気味なくらい静かだな」
吉音「うん……誰も居ないのかな」
久秀「今のうちに火でも放つ?」
悠「久秀!」
久秀「……冗談よ」
悠「その間が怖い…」
久秀「ふんっ」
門の前では輝と白フードと大魔神と木偶が防衛についていた。
しかし城内には人っ子ひとり見当たらず、こちらを迎撃してくる警備システムも特に作動している様子はない。
あれだけ大量にいたはずの執行部の私兵たちも何処にいったんだ……?
悠「まるで奥へ呼び込まれているみたいだな」
おれも吉音も久秀も城内の構造に明るいわけではない。
執行部室は上階にあることだけ聞いているので、ひたすら階段を上がり、上を目指している。
聞こえるのは自分たちの足音と息遣いばかり。その静けさが逆に神経を過敏にし、精神力をすり減らしていく。
吉音「もしかしたら本当にそうなのかも」
悠「あ?」
吉音「あたしたちが乱戦の中で倒されたら、ニュースにならない、詠美ちゃんが直接勝った方が宣伝になるから」
珍しく鋭いことをいうな、吉音。
悠「……これまでの行動を考えれば、否定はしきれないな。」
詠美も直接対決を宣下していた。
そうなれば残る敵は徳河詠美、長谷河、酉居、それに十兵衛師匠だ。
仮に万が一にもその四人で待ち構えていたとしたら、まともに考えればおれたちに勝ち目はない。
だがそれがわかりきっていても、今はいくしかない。むしろそこに至る障害がないのなら好都合だと思わなければ。