ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
吉音「えっと……なんでみんな集まってるの?」
悠「前の恩返しに助っ人をしてくれるんだとさ」
吉音「そ、そうなんだ。でも……」
朱金「安心しな。詠美との決着に水を差そうだなんて思っちゃいねぇよ」
吉音「う、うん……」
朱金「そいつを邪魔しようって奴らは俺たちに任せなってこった」
悠「どうする?」
吉音「えっと、えっと……」
朱金「断られたって付いてくけどな」
越後屋「うちらもな」
悠「選択の余地なしじゃないか」
久秀「そんなものが有ったことあった?」
悠「おれにはなかったかな」
吉音「わかった……おねがいします」
越後屋「任せといてくんなはれ。はじめに。」
はじめ「うん」
朱金「よおし、そうとくりゃ早速、大江戸城に向かって出発だ!」
悠「……なんで朱金が先頭切ってんだよ」
ー大江戸学園:広場ー
朱金「どうなってんだ、こりゃ……」
おれと吉音と久秀、朱金と真留、越後屋とはじめの七人だったはずの大江戸城への道行き。
それがいまや数百人単位の行進となっていた。
真留「告知もしてないのにどうしてこんなにたくさんのひとが?」
真留のいうとおりだった。
確かに吉音は徳河さんから江戸城への登城を呼び掛けた。以前、広場でそれを聞いたものもあるだろう。
それにしてもこの人数はそれだけの数ではない。
吉音が大江戸城へと向かっていることを聞きつけた生徒たちが、次々と行進へと合流してきているのだ。
吉音「ど、どうしよう、悠?」
一番慌てているのは吉音本人だった。
悠「これだけの人数だからな。おかしな勢いがついたら大事になる。一度お前から皆に説明した方が良い」
吉音「え!な、何を話したらいいのか分かんないよ?」
悠「とにかく配給所の時みたいな暴動になるのが何よりマズイ。城への殴り込みに行こうとしてるわけじゃないことを伝えるんだ」
吉音「わ、分かった」
久秀「久秀がしてあげてもいいわよ」
悠「何言い出すか分かんないから却下。とりあえずこの行列を止めなきゃな。手伝ってくれ、真留」
真留「はい!」
吉音「ストップ!ストーーップ!!」
吉音は列に向かい、左右に手を大きく広げて呼びかける。
真留「止まってくださーい!行列を止めてくださーい!」
悠「止まれー!新から話しが有る、聞いてくれー!」
おれと真留も列の横をかけながら声をあげる。
波が静まるように行列はゆっくり動きを止めた。
吉音「あの、あたしたちはこれからお城を攻めに行くんじゃありません。だからもしそのつもりであたしたちに付いてきたのなら……」
男子生徒A「そんなこた分かってるよ。執行部の徳河詠美と話しあいに行くんだろ?」
吉音「はい」
男子生徒B「新さん、あんた実は徳河の人間なんだろ?」
吉音「え……」
固まる吉音。
いろいろあって完全に隠しているわけじゃない。そもそもおれも吉音って呼んじゃってるしな。
男子生徒B「徳河の娘なら楽しようと思えばいくらでも楽できるじゃないか。あんたがそうしようとしないのはなぜだい?」
吉音「あ、あたしは……」
男子生徒B「俺たちだって徳河や執行部の人間が優秀なのはわかってるさ。けど同じ生徒じゃないか、あんまり見下されりゃ俺たちだって頭にも来る」
男子生徒A「特権ばっか振り回す連中の中にあんたみたいな人がいてくれるのは俺たちの救いだ」
男子生徒B「新さん、いや、吉音さん。俺たちはアンタに将軍様になってほしいんだよ。吉音さん……あんたはいつも俺たちのことを助けてくれたよな。今度は俺たちがあんたを応援したいんだ」
男子生徒A「ああ。瓦版や何かでいろいろ書かれてたけど、嘘っぱちだって俺たちはちゃんとわかってたからよ」
吉音「みんな……」
多くの生徒たちの拍手が響きと歓声があがった。
吉音「えっと……なんでみんな集まってるの?」
悠「前の恩返しに助っ人をしてくれるんだとさ」
吉音「そ、そうなんだ。でも……」
朱金「安心しな。詠美との決着に水を差そうだなんて思っちゃいねぇよ」
吉音「う、うん……」
朱金「そいつを邪魔しようって奴らは俺たちに任せなってこった」
悠「どうする?」
吉音「えっと、えっと……」
朱金「断られたって付いてくけどな」
越後屋「うちらもな」
悠「選択の余地なしじゃないか」
久秀「そんなものが有ったことあった?」
悠「おれにはなかったかな」
吉音「わかった……おねがいします」
越後屋「任せといてくんなはれ。はじめに。」
はじめ「うん」
朱金「よおし、そうとくりゃ早速、大江戸城に向かって出発だ!」
悠「……なんで朱金が先頭切ってんだよ」
ー大江戸学園:広場ー
朱金「どうなってんだ、こりゃ……」
おれと吉音と久秀、朱金と真留、越後屋とはじめの七人だったはずの大江戸城への道行き。
それがいまや数百人単位の行進となっていた。
真留「告知もしてないのにどうしてこんなにたくさんのひとが?」
真留のいうとおりだった。
確かに吉音は徳河さんから江戸城への登城を呼び掛けた。以前、広場でそれを聞いたものもあるだろう。
それにしてもこの人数はそれだけの数ではない。
吉音が大江戸城へと向かっていることを聞きつけた生徒たちが、次々と行進へと合流してきているのだ。
吉音「ど、どうしよう、悠?」
一番慌てているのは吉音本人だった。
悠「これだけの人数だからな。おかしな勢いがついたら大事になる。一度お前から皆に説明した方が良い」
吉音「え!な、何を話したらいいのか分かんないよ?」
悠「とにかく配給所の時みたいな暴動になるのが何よりマズイ。城への殴り込みに行こうとしてるわけじゃないことを伝えるんだ」
吉音「わ、分かった」
久秀「久秀がしてあげてもいいわよ」
悠「何言い出すか分かんないから却下。とりあえずこの行列を止めなきゃな。手伝ってくれ、真留」
真留「はい!」
吉音「ストップ!ストーーップ!!」
吉音は列に向かい、左右に手を大きく広げて呼びかける。
真留「止まってくださーい!行列を止めてくださーい!」
悠「止まれー!新から話しが有る、聞いてくれー!」
おれと真留も列の横をかけながら声をあげる。
波が静まるように行列はゆっくり動きを止めた。
吉音「あの、あたしたちはこれからお城を攻めに行くんじゃありません。だからもしそのつもりであたしたちに付いてきたのなら……」
男子生徒A「そんなこた分かってるよ。執行部の徳河詠美と話しあいに行くんだろ?」
吉音「はい」
男子生徒B「新さん、あんた実は徳河の人間なんだろ?」
吉音「え……」
固まる吉音。
いろいろあって完全に隠しているわけじゃない。そもそもおれも吉音って呼んじゃってるしな。
男子生徒B「徳河の娘なら楽しようと思えばいくらでも楽できるじゃないか。あんたがそうしようとしないのはなぜだい?」
吉音「あ、あたしは……」
男子生徒B「俺たちだって徳河や執行部の人間が優秀なのはわかってるさ。けど同じ生徒じゃないか、あんまり見下されりゃ俺たちだって頭にも来る」
男子生徒A「特権ばっか振り回す連中の中にあんたみたいな人がいてくれるのは俺たちの救いだ」
男子生徒B「新さん、いや、吉音さん。俺たちはアンタに将軍様になってほしいんだよ。吉音さん……あんたはいつも俺たちのことを助けてくれたよな。今度は俺たちがあんたを応援したいんだ」
男子生徒A「ああ。瓦版や何かでいろいろ書かれてたけど、嘘っぱちだって俺たちはちゃんとわかってたからよ」
吉音「みんな……」
多くの生徒たちの拍手が響きと歓声があがった。