ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー日本橋ー

悠「変わってるよな、この学校って」

新「ん、どうして?」

悠「普通の学校だったら生徒はみんな平等だって教えるもんだろ」

新「あの、えっと……ホントは上も下もないんだよ?」

悠「でも実際にはその徳河家ってのが学園を牛耳ってるわけなんだろ?」

新「それは……あの……」

悠「おれなんて……いや、いいか。そういや、新。お前の家はどうなんだ?」

新「う、うち?うちは貧乏だよ?」

悠「その割には銀シャリ号とか乗ってるじゃん」

新「ぎ、銀シャリ号は特別。そ、そう。昔、昔はおかね持ちだったの。だけど急に貧乏になっちゃったの!」

悠「そ、それは大変だな…」

新「あははは…。悠は?」

悠「あー?」

新「悠はどうなの?」

悠「おれは……うーんどういったらいいかな。」

新「はにゃ?」

悠「おれ自身は貧乏かな。」

新「悠は?…ってことは家はお金持ちとか?」

悠「話してなかったかな。おれ、親居ないんだ。」

新「え…」

悠「あー、すまん。いまの言い方は悪いな。母親は幼くして無くして親父とはちょっと距離がある。生活していくための貯蓄は保険金なんかがあるけどおれ自身は貧乏ってことな。」

新「そんな風に見えなかった」

悠「はは、まぁそれは誉め言葉と受け取っておくとしよう。」

新「お父さんと仲悪いの?」

悠「良くはないな。昔よりはマシになったとは思うけど一度開いた溝はなかなか埋まらないのさ。」

新「……」

悠「なに?」

新「えっと…寂しかったりする?」

悠「全然。のびのびと好き勝手してるのは事実だし。家に帰れば居候やなんやかんやで賑やか。外に出ても心許せるツレもいる。おれは結構幸せもんなんだ。女が居ないことと金がないことを除けばな。」

新「悠って極楽とんぼな感じかするしね。」

悠「うわついたのんき者といいたいのかこの野郎。」

新「あはは。」

悠「ったく…。」

新「でも、悠ってもっとガツガツしてるイメージがあったんだけどなぁ。」

悠「おれがぁ?」

新「うん。なんか無駄を許さない!って雰囲気?」

悠「無駄を許さなかったら無駄の塊みたいなおれが消失しちゃうだろ。っか、そんなどっかのジャリガキみたく守銭奴でもねぇよ。」

新「ジャリガキ?」

悠「いや、なんでもない。っか、あれだぞ。金がなくても困らないコツはな。」
新「うんうん!」

悠「欲望に財布の中身をあわせるんじゃなく、財布の中身に欲望をあわせるんだよ。まぁ、新なら財布の中身に腹の虫をあわせるってことかな。」

新「え~」

悠「え~って…」

新「あはは。まぁお互いに普通の家の子同士、頑張ろうね」

悠「はぁ」

新「よおし!小鳥遊堂まで競争だ。」

悠「おいおい…」

新「あははは。」

悠「なんだあいつ…」
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