ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

小鳥遊堂の戸を開いた途端にまぶしい朝の光が差し込んだ。

悠「学園の天気予報じゃ、荒れ模様ってなってたんだけどな。っか、荒れてたのは店の中か……」

結局明け方まで木偶人形分解しながらあーだこーいってて、誰も彼もいつのまにか居なくなってたし。片づけはおれがするんですかアレ……。

「おっす、悠!」

悠「あー……かね?」

朱金「なんだよ、その繋げたいい方は」

悠「すまん、つい」

朱金「まぁいいや、吉音と大江戸城に行くんだろ?」

悠「ああ、そうだけど……」

朱金「俺も行くぜ」

真留「私もご一緒します」

悠「いいけど……何のために?」

朱金「そりゃ助太刀に決まってるだろ」

真留「執行部の部隊が出てくることはないと仰いましたが、何かしら罠が張られている可能性は十分にあります」

朱金「詠美自身がやらなくても後ろにいる黒幕ってのは卑怯だとか構っちゃいないだろうしな」

悠「まぁ、確かにそうだけど」

朱金「そんくらいは俺らに助けさせてくれよ。前の恩返しをさせてくれよ。」

真留「悠さんと新さんは安心して詠美さんのところへ向かってください。」

悠「朱金、真留……」

「あれ?なんやもう集合してるん?」

悠「あれ、越後屋と佐東さん?」

朱金「お前らも悠達の助っ人に来たのか?」

越後屋「そんなとこですわ。借りを残したないさかいにな。ま、実際に働くんは、うちやのうてはじめなんですけどな、うふふ」

はじめ「……だったらわざわざついてこなけりゃいいのに」

越後屋「うるさいなぁ、うちはこういう派手な事に参加するのが好きやの!」

真留「あの……お祭りじゃないんですよ?」

越後屋「わ、分かってますわ」

久秀「雁首そろえてるわねぇ」

悠「久秀?!お前、なんで店の中から出てきた?帰ったんじゃなかったのか?」

久秀「は?久秀はずっと居たわよ。」

悠「どこで……」

久秀「悠を蹴飛ばして部屋で寝てたわ」

悠「そういえば……起きたら店側だったな。いや、だとしてもその後、部屋に入ったぞおれ」

久秀「シャワー浴びてたのよ。昨晩、ごちゃごちゃして汚れたからね。」

悠「あ、そっすか」

朱金「昨晩ごちゃごちゃ?」

真留「汚れた…」

悠「……いや、お前らが想像してるのとは違うから」

朱金「いやいや」

悠「いやいやいやいや」

久秀「激しかったわよね。あんなに刺したり抜いたり」

悠「ドライバーをな」

朱金「お前、どんなマニアックなことを……」

悠「だからちげぇっーの!木偶をばらしたりしてたの!」

久秀「まぁ、抜き差ししてきたあとだったものね」

悠「久秀!!」

吉音「あの……?」

悠「あ、吉音」

と、わいわいやっているところに、主役のはずの吉音が申し訳なさそうな表情で覗きこんできた。
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