ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
左近「それじゃまぁ、私は失礼しますよ。まだ仕事が有るんでね。」
魁人「ご苦労様。俺はもう少し小鳥遊さんの警護をしていきますので。」
左近「えぇ、頑張ってください。他の皆さんも」
吉音「ばいばーい」
久秀「次は手土産くらいもってきなさい」
寅「ふん」
悠「……」
魁人「そう怖い顔をしないでください。私だって無闇矢鱈に被害を出したいわけじゃないんです。敵の居場所が分かれば出向くんですけど……」
悠「ちげぇよ。その事を考えてたんじゃない」
魁人「え?あぁ、明日の戦いのことですか。」
吉音と徳河詠美さんとの対話。出来れば叶えてやりたい。
そうはいっても徳河さんは城から出てこないだろうしな。
結局明日は総力戦になってしまうことは避けられないだろう。
正直なところ、執行部に反感を買っている人間は想像していたより遥かに多かった。
本来、自ら望んでこの学園に入ってくるようなものは、何かしらの野望に燃え、血気盛んなのが多いのかもしれない。
悠「ふぅぅ……」
あの人は大丈夫だろうか重圧に押しつぶされていないだろうか。長谷河さんがいるとは言え、徳河さんがひとに弱音を打明けて頼ったりしないだろうし……。
吉音「心配してる?」
悠「あー、そりゃ大一番のまえだし、緊張はするさ」
吉音「違うよ。詠美ちゃんのことだよ」
悠「詠美……なんで、今徳河さんのことを?」
久秀「むしろ、気がついてないと思ってたの?あれだけ逢い引きを繰り返しておいて」
吉音「悠と詠美ちゃん仲良しだもんね」
悠「あ、いや……」
まさか度々呼び出されていたのがバレていたなんて。それも吉音にまで……。
これまで全然気づいた素振りなんて見せて来なかったのに。
魁人「へぇ、敵味方に分かれてのロマンスなんて、胸が熱くなるね」
悠「別に、そういう理由で会ってたわけじゃ」
久秀「だったら、スパイかしら?だったら、遠山の山猿にでもきつーく絞めてもらう?」
悠「勘弁してくれ。」
そうだよな……今更だけれど徳河さんは敵のトップだ。その彼女と秘かに会うというのは、情報を流して自軍に不利を呼んでいたと責められても、仕方のない行動だ。
やれやれ、おれの頭の中も吉音のことを笑えないくらいお花畑だったらしいな……。
久秀「徳河嬢の顔が見たいなら、会ってくればいいじゃない。」
吉音「うんうん」
悠「うんうんって、吉音……」
寅「後ろ暗いことはねぇんだろ?」
悠「それはそうだが……。」
寅「ついでにお前が出歩いたら敵が釣れるかもしれないしな」
魁人「それは大いにあるね。」
悠「…………」
吉音「ねぇ悠。あたしは今でも詠美ちゃんのことが好きだよ。でもダメな事はダメだって言わなきゃならない。それで分かってもらえなかったら戦わなきゃって覚悟してたんだ。そういうの、多分悠も詠美ちゃんもおんなじだよね。」
おれにも覚悟を決めて来いというのか。
確かに吉音がここまで腹をくくっているのに、おれひとりがこうして気もそぞろとなれば、それは叱咤もされるよな。
吉音にまで言われてしまうようじゃ、相当おれは頼りなく見えていたんだろうな。
悠「わかった。徳河さんと話してくる。」
吉音「頑張ってきてね。えへへ」
悠「ありがとう、吉音」
おれだけじゃない、もし徳河さんが苦しんでいるなら勇気づけてあげたいと思う。
例えその後、剣を交えることになるのだとしても。
魁人「一応、ついてはいきますけど……ちゃんと最低限に動ける範囲までしかいきませんから。そこは安心してください」
悠「ついては来るんだな…」
魁人「こればっかりはね。」
吉音「あ、でも悠…その。」
悠「……約束はちゃんと守るよ。そのまぁ、吉音が嫌じゃないならだけど」
吉音「あっ……うん///」
久秀「チッ」
寅「チッ」
魁人「あぁ、そういう……チッ」
悠「全員で舌打ちしてんな!っか、魁人!なにがそういうだよ!畜生!」
寅「いいからさっさとしろボケ」
店の外に出て、携帯電話を取り出す。
そういえば、おれから連絡を取るのは初めてだな。そのこと、徳河さんはどうおもっていたんだろう……
左近「それじゃまぁ、私は失礼しますよ。まだ仕事が有るんでね。」
魁人「ご苦労様。俺はもう少し小鳥遊さんの警護をしていきますので。」
左近「えぇ、頑張ってください。他の皆さんも」
吉音「ばいばーい」
久秀「次は手土産くらいもってきなさい」
寅「ふん」
悠「……」
魁人「そう怖い顔をしないでください。私だって無闇矢鱈に被害を出したいわけじゃないんです。敵の居場所が分かれば出向くんですけど……」
悠「ちげぇよ。その事を考えてたんじゃない」
魁人「え?あぁ、明日の戦いのことですか。」
吉音と徳河詠美さんとの対話。出来れば叶えてやりたい。
そうはいっても徳河さんは城から出てこないだろうしな。
結局明日は総力戦になってしまうことは避けられないだろう。
正直なところ、執行部に反感を買っている人間は想像していたより遥かに多かった。
本来、自ら望んでこの学園に入ってくるようなものは、何かしらの野望に燃え、血気盛んなのが多いのかもしれない。
悠「ふぅぅ……」
あの人は大丈夫だろうか重圧に押しつぶされていないだろうか。長谷河さんがいるとは言え、徳河さんがひとに弱音を打明けて頼ったりしないだろうし……。
吉音「心配してる?」
悠「あー、そりゃ大一番のまえだし、緊張はするさ」
吉音「違うよ。詠美ちゃんのことだよ」
悠「詠美……なんで、今徳河さんのことを?」
久秀「むしろ、気がついてないと思ってたの?あれだけ逢い引きを繰り返しておいて」
吉音「悠と詠美ちゃん仲良しだもんね」
悠「あ、いや……」
まさか度々呼び出されていたのがバレていたなんて。それも吉音にまで……。
これまで全然気づいた素振りなんて見せて来なかったのに。
魁人「へぇ、敵味方に分かれてのロマンスなんて、胸が熱くなるね」
悠「別に、そういう理由で会ってたわけじゃ」
久秀「だったら、スパイかしら?だったら、遠山の山猿にでもきつーく絞めてもらう?」
悠「勘弁してくれ。」
そうだよな……今更だけれど徳河さんは敵のトップだ。その彼女と秘かに会うというのは、情報を流して自軍に不利を呼んでいたと責められても、仕方のない行動だ。
やれやれ、おれの頭の中も吉音のことを笑えないくらいお花畑だったらしいな……。
久秀「徳河嬢の顔が見たいなら、会ってくればいいじゃない。」
吉音「うんうん」
悠「うんうんって、吉音……」
寅「後ろ暗いことはねぇんだろ?」
悠「それはそうだが……。」
寅「ついでにお前が出歩いたら敵が釣れるかもしれないしな」
魁人「それは大いにあるね。」
悠「…………」
吉音「ねぇ悠。あたしは今でも詠美ちゃんのことが好きだよ。でもダメな事はダメだって言わなきゃならない。それで分かってもらえなかったら戦わなきゃって覚悟してたんだ。そういうの、多分悠も詠美ちゃんもおんなじだよね。」
おれにも覚悟を決めて来いというのか。
確かに吉音がここまで腹をくくっているのに、おれひとりがこうして気もそぞろとなれば、それは叱咤もされるよな。
吉音にまで言われてしまうようじゃ、相当おれは頼りなく見えていたんだろうな。
悠「わかった。徳河さんと話してくる。」
吉音「頑張ってきてね。えへへ」
悠「ありがとう、吉音」
おれだけじゃない、もし徳河さんが苦しんでいるなら勇気づけてあげたいと思う。
例えその後、剣を交えることになるのだとしても。
魁人「一応、ついてはいきますけど……ちゃんと最低限に動ける範囲までしかいきませんから。そこは安心してください」
悠「ついては来るんだな…」
魁人「こればっかりはね。」
吉音「あ、でも悠…その。」
悠「……約束はちゃんと守るよ。そのまぁ、吉音が嫌じゃないならだけど」
吉音「あっ……うん///」
久秀「チッ」
寅「チッ」
魁人「あぁ、そういう……チッ」
悠「全員で舌打ちしてんな!っか、魁人!なにがそういうだよ!畜生!」
寅「いいからさっさとしろボケ」
店の外に出て、携帯電話を取り出す。
そういえば、おれから連絡を取るのは初めてだな。そのこと、徳河さんはどうおもっていたんだろう……