ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

悠「ん?ただいま。なんだ、店主がいないのにあがりこみやがっ……」

吉音「……」

久秀「……」

寅「……」

左近「……」

魁人「……」

悠「てぇー……多いな?!」

吉音「悠、おかえり。どこいってたの?」

悠「え……あー、かなうさん所だ由比さんのお見舞いにな」

寅「ほらな。やっぱり女のところだっただろ」

左近「いやー、当たってましたねぇ」

久秀「店番をさせたら女をひとり、買い出しにいかせてまたひとり、帰りしなにまたひとり……気がついたら女だらけ。」

悠「おれは人攫いかなんかか!」

寅「人蕩しだろ」

悠「がるるるっ!」

吉音「悠、お客さんだよ」

悠「見たら分かる。いや、客でもねーだろコイツらは」

左近「いやいや。ほら、よく見てくださいよ」

悠「あー……そういえばアンタは見ない顔だな」

魁人「あ、漸く気がついてもらえたようですね。」

久秀「申し訳ないわね。女の胸と尻しか見ない奴だから」

悠「もっと他にも見るよ!うなじとか足首とか」

寅「キメェ」

悠「むしろ見ない方が失礼だろ?」

寅「……」

左近「ねっ、いった通りのお人でしょう?」

魁人「確かに」

悠「だから、あんた誰だよ」

魁人「姫川魁人、百目鬼氏を師としている。者です。」

悠「…………百目鬼のおっさんの弟子?」

魁人「はい」

悠「……風雷コンビより?」

魁人「歴は長いです」

悠「当然…鬼状態は?」

魁人「使えます」

悠「お、おれをどうする気だ!」
バッ!

魁人「……ええと、なぜいきなり距離を取られて警戒され出したのでしょうか?」

寅「知らん」

久秀「大方、百目鬼武門の人間=自分を襲撃に来た相手だと思ってるんでしょう」

悠「風雷コンビといい、百目鬼のおっさんの関係者はなんでおれを狙ってくる!」

魁人「いや、あの二人が百目鬼武門だったのは偶然であって私たちはそんな襲撃なんて必要な時以外はしませんよ」

左近「必要があったらするんですね。」

魁人「まぁ、鬼ですから」

悠「鬼関係ない!」

魁人「では、武人として、で」

悠「……それで何なんだよ。」

魁人「ふむ…。何、といいますか。ねぇ」

悠「……おれと二人で話したいのか?」

魁人「できれば」

悠「んー……聞かれちゃまずいのか?」

魁人「私の判断ではそこまででは、しかし……」

悠「じゃあ、話してくれていい。アンタの判断でアンタの言葉を聞きたいし」

魁人「ほほう。なるほど、わかりました。では、単刀直入に……九頭竜天がこの島に潜伏している可能性が高いです」

悠「九頭竜……天だって?」
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