ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】

ー大江戸学園:かなうの養生所ー

色々ぐちゃぐちゃになってしまった後始末をなんとか負え、由比さんと一緒に一息つく。

由比さんは少し疲れた、といって再び床に身を構えた。

怪我人に対していったいおれはなにを……。

一瞬また自己嫌悪に陥ってしまいそうになるがなんとか堪える。

そんな姿、由比さんに見せるわけにはいかないしな……。

雪那「小鳥遊さん、ありがとうございました」

悠「いやー、礼をいわれても困るんだけど……。それに、その台詞はおれの台詞だと思うんだけど……。」

穏かに微笑む由比さん。

なんとなく気恥ずかしく、うまく言葉が出てこない。

そんな気まずい空気を打ち破るように襖が開いた。

かなう「おい悠、そろそろ……って、なんだ、起きてたのか雪那」

悠「……」

かなうさんが室内に入ってくる。

……危、危っねぇ、あと少しかなうさんが早く帰ってきてたら。……想像すらしたくない。

かなう「んっ?なんだ少し顔色がよくなってるようじゃないか」

雪那「ええ。小鳥遊さんから、心の傷によく効くお薬を頂きましたから」

悠「ゆ、由比さん?!」

かなう「そいつはなによりだ。こりゃ二人にしてやった甲斐があるってもんだ」

悠「どーいう意味ッすか」

かなう「ん?なんだ悠?顔が少し赤いみたいだな。風邪か?診てやろうか?」

雪那「ふふふ」





ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

久秀「なるほど、寅と風雷コンビの世話をしていたのね。」

魁人「世話って言うか軽い鍛錬をね。若寅君もだけど雷君風君も優秀で将来が楽しみだ」

寅「ふん」

久秀「それで……左近は今どこに着いてるのかしら?」

左近「えー?なんのことですか?あっしはアレですよ。今フリーですから」

久秀「久秀に泣きついてこないでフリーなんてよく言えるわね。」

左近「いやー、久秀さんは最後の保険ですからねぇ。今すぐ頼るのはアレじゃないですか」

久秀「明日明後日にも最終決戦が起ころうとしてるのに最後もないでしょ。まぁ、左近が誰に着いてようがどうでもいいんだけど」

左近「あはは」

久秀「久秀が気になるのはそっち」

魁人「俺?」

久秀「えぇ、ただ挨拶に小鳥遊悠に会いに来たわけじゃないでしょ?」

魁人「お茶飲みに来ただけですよ。……っは、無理あるかな」

寅「大分な」

久秀「推理するなら、小鳥遊悠が関係していて、大江戸学園にも関係がでてきた。目的は不明、それを探るためにやってきたのが魁人。ここまでで悠が知らなく、魁人と悠の師たちが知っている共通がある人物……って所かしら。」

魁人「いやはや、まいったねぇ。こちらのお嬢さん、そうとうな人だ」

左近「えぇ」

寅「まぁ……人じゃない噂もあるからな」

久秀「あら、失礼ね。私は人間よ。クスクス」
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