ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】

ー大江戸学園:とある借家ー

左近「どうぞ、此処を自由に使ってください……って、あれ?」

魁人「こんな立派な拠点を助かります」

左近「いや、それはちゃんともらうものをもらってるから良いんですけど……伊万里さんは?」

魁人「あぁ、あのバカならどっか行きましたよ。多分、小鳥遊悠の様子を見た後に我々の敵を探すつもりでしょう」

左近「敵ですか……。この島にそう何人も外の人間は入れないはずなんですけどねぇ」

魁人「そんなことをいったら私たちは?」

左近「あはは、ソレはソレってことで」

魁人「責めてるわけじゃないですよ。むしろ感謝しています。こうしてちゃんと上陸、そして拠点まで用意してもらえているのですからね」

左近「ちゃんとオゼゼの分は働くのが私の信条ですからねぇ。九頭竜さんも百目鬼さんも気風がよくてたすかってますよ。はっはっ。」

魁人「どうやら……アナタは相当頭が切れるようで」

左近「そんな、まさか、私なんてしょぼい小役人ですよ。」

魁人「あはは。では、小役人さん、お願いがあります」

左近「んー、まぁとりあえず話しを聞いてみてからでねぇ」

魁人「はい、判断はそちらに任せます。直球に言うと協力してください」

左近「ほう、これはまた本当に直球ですねぇ。」

魁人「えぇ、俺は伊万里のように無駄にバタバタして失敗するのはごめんですからね。ただアレでも言われたことは理解してるはずなので余計なことをせずに小鳥遊悠の警護だけをしたらいいんですけど……おっと、話がそれましたね。」

左近「ですねぇ」

魁人「まぁ、ということでアナタが今着いている一番偉い人を紹介してください」

左近「いやー、それが今私フリーでして」

魁人「とりあえず、紹介料に一万円。話しを今すぐつけて下さるのなら前金に五、会わせてくれたならさらに五万出します」

左近「ちょっと私のボスに電話しますんで、ここでゆっくりしていてください。あ、冷蔵庫に入っているものは好きに飲んでくださいね。」

魁人「ありがとうございます。アナタとは良いお友達になれそうです」



~数十分後~


左近「ええと、一応連絡はできたんですが」

魁人「はい」

左近「なんていうか、その人は本当にエライ人でしてねぇ。失礼のないように願いたいんですよ。本当に」

魁人「心得ています」

左近「なら、顔は伏せさせてもらうってことでもいいですね?」

魁人「こちらが呼び付けたので、そちらの意を受け入れますよ。」

左近「じゃあ、隣にいらっしゃってるんで襖越しに話ししてもらえますか」

魁人「コホン、えー、まずは突然のおよび立てに来ていただけて感謝しています。」

『うむ、それでわしらを呼んだ理由はなんじゃ?』

魁人「はい、私は九頭竜道玄そして百目鬼雲水のお二方からある男の詳細を確かめる依頼でここへやって来ています。そしてそのある男がもし本当にこの島に居て何かをしているのだとしたら……その危険度は計り知れない。」

『ふむ。それで……わしらにその男を探してほしいということか?』

魁人「少しだけ違います。左近殿から少し話しを聞いたのですが今この島は何やらゴタゴタの最中らしいですね。もし、そのゴタゴタの原因がその男にも関係あるとしたら……取り返しがつかないことになるかもしれないのです。ですので、情報の共有、私が動いた先でそちらが必要とするまたは何か必要なことがあればお手伝いします。逆に、そちらが行動した先に私が探している男の情報が入れば即座に連絡していただきたいのです」

『ふむ……お主の名は?』

魁人「魁人、姫川魁人です」

魁人が名乗ると静かに襖が開いた。

そして、そこに鎮座していた少女がいう。

光姫「水都光姫じゃ。魁人とやらもう少し詳しい話しを聞かせてもらえるか?わしらのことも話すゆえ」

魁人「もちろんです。」
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