ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸城:執行部室ー
その頃、生徒執行部室では詠美と鼎のふたりが向き合っていた。室内に他の生徒の姿は見えない。
詠美は静かに目を閉じて微動だにしない。
その顔は青白く張り詰めて見えるが凛として美しい。
鼎「それで、徳河さんはこれからどうするつもりですかぁ」
詠美「どうするとは、何がですか?」
詠美が閉じていた目をスッと開く。
何処までも透き通っていそうな両の瞳には、不思議な落ち着きが浮かんでいる。
それでいて、力強いある種の覚悟が見てとれて、鼎をたじろがせる。
鼎「え~っと、例えばほら、徳田さんのこととか……今回の件でも分かったように、あの子は危険ですよ。何か行動を起こされる前に、正式な反乱分子として討伐隊を組織したほうが良いんじゃないでしょうかぁ」
詠美「必要ありません」
鼎「えっ?ですけどぉ……」
詠美「彼女は必ず、自分の意思でここにやってきます。大袈裟に騒ぎたて、わざわざ学園に無駄な混乱を引き起こす必要なんてありません。それとも……先生は、故意に混乱を起こしたいのですか?」
詠美の目が鋭く細く細められ、鼎の顔を正面から見つめる。
鼎「そ、そんなことあるわけないですよ」
詠美「そうですか。とにかく、吉音さんに関してはなにもする必要はありません」
鼎「……わかりましたぁ。では、わたしまだお仕事が残っているので先行きますね」
鼎はこころなしいつもより早足で執行部室を後にした。
その後ろ姿を見送りながら、詠美がポツリとつぶやく。
詠美「彼女との決着がつけば、あとは好きにすればいい……、でもそれまでは……っく」
ひとりになった執行部室で、詠美は胸を抑える。
時折漏れる苦悶だけが、静かに空気へと溶けていった。
ー大江戸学園:とある武家屋敷ー
その頃、とある武家屋敷の一室。そこにはしばらく姿を消していた子住三姉妹の姿があった。
よく見るとここは以前に彼女らが猫目として忍び込み、罠にかかり捕えられたあの屋敷である。
「ご苦労だったな」
三姉妹と向かい合うように座っていたその人物は彼女らに向かい、頭を下げた。
その人物とはあの日、子住三姉妹を捕らえ、協力を要請した人物である。
唯「どういたしまして♪」
由真「こらっ!調子に乗らないの」
「はっはっ、構わん。今日はどうかゆっくりとくつろいでくれ」
みれば彼女らのまえには豪華な食前が並べられている。
唯「わ~い♪」
「君たちの協力に心から感謝する。」
結花「いいえ、私たちこそお礼をいわなくてはいけません。父の刀の正しい使い方を教えていただいたのですから」
由真「そうですよ、気にしないでください。あなたを通じてお父さんの頼みを聞いてるようなものですから」
唯「うん。お父さんのことが聞けてうれしかった」
「そういってくれるとありがたいのだが」
由真「お店のほうはちょっとだけ気になりますけど。でもこの事件さえ解決したらすぐに再開できますからね」
「ぜひそうしてくれ。その時は私も店を覗かせてもらおう」
由真「はい、ぜひ!それにしてもあなたがこうして私達の力になってくれるなんて驚きました」
唯「最初は敵だと思ってたもんね?」
由真「唯!」
「そうだな。そう思われても仕方がないことをしてきたからな」
結花「全てが終わればきっと分かってくれるはずです」
由真「そうですよ!」
「ふふ、君らは優しいな」
その頃、生徒執行部室では詠美と鼎のふたりが向き合っていた。室内に他の生徒の姿は見えない。
詠美は静かに目を閉じて微動だにしない。
その顔は青白く張り詰めて見えるが凛として美しい。
鼎「それで、徳河さんはこれからどうするつもりですかぁ」
詠美「どうするとは、何がですか?」
詠美が閉じていた目をスッと開く。
何処までも透き通っていそうな両の瞳には、不思議な落ち着きが浮かんでいる。
それでいて、力強いある種の覚悟が見てとれて、鼎をたじろがせる。
鼎「え~っと、例えばほら、徳田さんのこととか……今回の件でも分かったように、あの子は危険ですよ。何か行動を起こされる前に、正式な反乱分子として討伐隊を組織したほうが良いんじゃないでしょうかぁ」
詠美「必要ありません」
鼎「えっ?ですけどぉ……」
詠美「彼女は必ず、自分の意思でここにやってきます。大袈裟に騒ぎたて、わざわざ学園に無駄な混乱を引き起こす必要なんてありません。それとも……先生は、故意に混乱を起こしたいのですか?」
詠美の目が鋭く細く細められ、鼎の顔を正面から見つめる。
鼎「そ、そんなことあるわけないですよ」
詠美「そうですか。とにかく、吉音さんに関してはなにもする必要はありません」
鼎「……わかりましたぁ。では、わたしまだお仕事が残っているので先行きますね」
鼎はこころなしいつもより早足で執行部室を後にした。
その後ろ姿を見送りながら、詠美がポツリとつぶやく。
詠美「彼女との決着がつけば、あとは好きにすればいい……、でもそれまでは……っく」
ひとりになった執行部室で、詠美は胸を抑える。
時折漏れる苦悶だけが、静かに空気へと溶けていった。
ー大江戸学園:とある武家屋敷ー
その頃、とある武家屋敷の一室。そこにはしばらく姿を消していた子住三姉妹の姿があった。
よく見るとここは以前に彼女らが猫目として忍び込み、罠にかかり捕えられたあの屋敷である。
「ご苦労だったな」
三姉妹と向かい合うように座っていたその人物は彼女らに向かい、頭を下げた。
その人物とはあの日、子住三姉妹を捕らえ、協力を要請した人物である。
唯「どういたしまして♪」
由真「こらっ!調子に乗らないの」
「はっはっ、構わん。今日はどうかゆっくりとくつろいでくれ」
みれば彼女らのまえには豪華な食前が並べられている。
唯「わ~い♪」
「君たちの協力に心から感謝する。」
結花「いいえ、私たちこそお礼をいわなくてはいけません。父の刀の正しい使い方を教えていただいたのですから」
由真「そうですよ、気にしないでください。あなたを通じてお父さんの頼みを聞いてるようなものですから」
唯「うん。お父さんのことが聞けてうれしかった」
「そういってくれるとありがたいのだが」
由真「お店のほうはちょっとだけ気になりますけど。でもこの事件さえ解決したらすぐに再開できますからね」
「ぜひそうしてくれ。その時は私も店を覗かせてもらおう」
由真「はい、ぜひ!それにしてもあなたがこうして私達の力になってくれるなんて驚きました」
唯「最初は敵だと思ってたもんね?」
由真「唯!」
「そうだな。そう思われても仕方がないことをしてきたからな」
結花「全てが終わればきっと分かってくれるはずです」
由真「そうですよ!」
「ふふ、君らは優しいな」