ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ーかなうの養生所ー
かなう「お前さんに反乱を起こさせるように仕向けた大御所の目的ってのは結局何だったんだ?」
桃子「その口ぶりからすると、学園の改革ってわけじゃなかったみたいだが」
雪那「ええ。学園かいかくの理想への援助とは名ばかりでした。大御所の真の狙いはその真逆でした」
雷太郎&風太郎「「真逆?」」
雪那「そうです。大御所は改革など望んではいなかったのです。むしろ一部の特権階級による学園支配の絶対強化こそ彼の目的でした。彼が起こそうとしたのは単純なマッチポンプでした。何者かが引き起こした混乱を、治安の名の下に鎮圧する。そしてその事実により現体制の支配力を強固にするという自作自演なのです。五人組騒動も天狗党事件も同じ仕組みで学園は誘導されました。その結果はご存知の通りでしょう。大御所にとっては思想や改革の意思などどうでも良かったのです。お上に対して不満の声をあげているものならだれでも良かったのです。私でなくとも……」
かなう「そんでもって、散々利用されたあげくに口封じのために牢獄に閉じ込められたってわけだ」
雪那「ええ、愚かなことです……」
ー大江戸学園:城前広場ー
再び城前広場……
酉居「敵はたかが一騎だ。包囲して取り押さえろ!」
酉居の指示に執行部直属の精鋭が陣形を組みかえる。
悠「一騎当千ってことばを知らないのかあの老け顔は。吉音、このまま駆け抜けろ。陣形が完成する前に突破だ。いちいち全部相手してたら、あっという間に囲まれる。」
吉音「うん、分かった」
おれたちふたりを乗せた銀シャリ号は広場を真っ二つに割って、まるで白い軌跡となって酉居の陣へと疾駆する。
悠「酉居の側で飛び降りておれがアイツの相手をする。」
吉音「大丈夫?」
悠「なぁに、ここで頭を止めたら奴らは怯む。そして一度ひるんでしまって足を止めてしまったら斬攪出来る。」
吉音「わ、分かった。でもケガしちゃいやだよ?」
悠「骨折までは注意する」
酉居「かかれ、左右からはさみこめっ!」
陣はまだ完全ではないものの、左右から壁のように迫って進路を塞ごうとする。
吉音「やあああっ!!」
馬上で抜刀した吉音はそのまま刃を返し、迫る剣徒をなぎ払う。
剣徒「うわぁ……!」
銀シャリ号の加速分の威力が上乗せされているため、いつもより派手に吹き飛ぶ剣徒。
酉居「怯むな。数であたれ!」
その破壊力に顔を見合わせる剣徒たちに後ろからは檄を飛ばす酉居。
吉音「成敗だ、銀シャリ号っ!」
銀シャリ号『ヒヒーーーン!!』
剣徒B「ぐわぁぁ!」
剣徒C「ひいいいいっ!」
振り上げられた銀シャリ号の前脚が群がる剣徒をまとめてなぎ倒す。
酉居「くっ、この畜生めっ!」
憎々しげに吐き捨てる酉居の表情が分かるほどに敵陣は間近に迫っていた。
悠「うおしっ!突貫するっ!」
おれは鞘から刀を抜き、吉音の肩を借りで馬上に立つ。
吉音「行ってらっしゃい、悠っ!」
悠「シイィィィィィィッ!」
おれは猿叫びをあげて酉居に向かってダイブした。
酉居「なっ!?た、小鳥遊ぃっ!?」
落ちてくるおれの剣を受け止める酉居の剣がぶつかり悲鳴を上げて火花を散らした。
衝撃を支えきれず酉居は後ろに吹き飛び倒れる。
そしておれも勢いを殺せずにそのまま酉居を下敷きにする。
かなう「お前さんに反乱を起こさせるように仕向けた大御所の目的ってのは結局何だったんだ?」
桃子「その口ぶりからすると、学園の改革ってわけじゃなかったみたいだが」
雪那「ええ。学園かいかくの理想への援助とは名ばかりでした。大御所の真の狙いはその真逆でした」
雷太郎&風太郎「「真逆?」」
雪那「そうです。大御所は改革など望んではいなかったのです。むしろ一部の特権階級による学園支配の絶対強化こそ彼の目的でした。彼が起こそうとしたのは単純なマッチポンプでした。何者かが引き起こした混乱を、治安の名の下に鎮圧する。そしてその事実により現体制の支配力を強固にするという自作自演なのです。五人組騒動も天狗党事件も同じ仕組みで学園は誘導されました。その結果はご存知の通りでしょう。大御所にとっては思想や改革の意思などどうでも良かったのです。お上に対して不満の声をあげているものならだれでも良かったのです。私でなくとも……」
かなう「そんでもって、散々利用されたあげくに口封じのために牢獄に閉じ込められたってわけだ」
雪那「ええ、愚かなことです……」
ー大江戸学園:城前広場ー
再び城前広場……
酉居「敵はたかが一騎だ。包囲して取り押さえろ!」
酉居の指示に執行部直属の精鋭が陣形を組みかえる。
悠「一騎当千ってことばを知らないのかあの老け顔は。吉音、このまま駆け抜けろ。陣形が完成する前に突破だ。いちいち全部相手してたら、あっという間に囲まれる。」
吉音「うん、分かった」
おれたちふたりを乗せた銀シャリ号は広場を真っ二つに割って、まるで白い軌跡となって酉居の陣へと疾駆する。
悠「酉居の側で飛び降りておれがアイツの相手をする。」
吉音「大丈夫?」
悠「なぁに、ここで頭を止めたら奴らは怯む。そして一度ひるんでしまって足を止めてしまったら斬攪出来る。」
吉音「わ、分かった。でもケガしちゃいやだよ?」
悠「骨折までは注意する」
酉居「かかれ、左右からはさみこめっ!」
陣はまだ完全ではないものの、左右から壁のように迫って進路を塞ごうとする。
吉音「やあああっ!!」
馬上で抜刀した吉音はそのまま刃を返し、迫る剣徒をなぎ払う。
剣徒「うわぁ……!」
銀シャリ号の加速分の威力が上乗せされているため、いつもより派手に吹き飛ぶ剣徒。
酉居「怯むな。数であたれ!」
その破壊力に顔を見合わせる剣徒たちに後ろからは檄を飛ばす酉居。
吉音「成敗だ、銀シャリ号っ!」
銀シャリ号『ヒヒーーーン!!』
剣徒B「ぐわぁぁ!」
剣徒C「ひいいいいっ!」
振り上げられた銀シャリ号の前脚が群がる剣徒をまとめてなぎ倒す。
酉居「くっ、この畜生めっ!」
憎々しげに吐き捨てる酉居の表情が分かるほどに敵陣は間近に迫っていた。
悠「うおしっ!突貫するっ!」
おれは鞘から刀を抜き、吉音の肩を借りで馬上に立つ。
吉音「行ってらっしゃい、悠っ!」
悠「シイィィィィィィッ!」
おれは猿叫びをあげて酉居に向かってダイブした。
酉居「なっ!?た、小鳥遊ぃっ!?」
落ちてくるおれの剣を受け止める酉居の剣がぶつかり悲鳴を上げて火花を散らした。
衝撃を支えきれず酉居は後ろに吹き飛び倒れる。
そしておれも勢いを殺せずにそのまま酉居を下敷きにする。