ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸学園:城前広場ー
吉音「金ちゃん……」
はじめ「旦那……」
この現場の指揮を執っているらしい役人が何やら命令を出すと、生徒たちが数名がかりで磔台を引っ張り出してきた。
悠「ちょっと待て、磔かよ!」
吉音「!?」
はじめ「!?」
思わず呻く。
ここは中世じゃない、現代の学園だぞ。どう考えたってこりゃやり過ぎだろ。
悠「いくぞ。こんなの見てられるか!」
吉音「うん!」
おれは吉音の顔を覗きこむ。吉音も同じ思いだったらしく大きく頷いた。
悠「はじめ、そっちは頼んだぞ」
はじめ「うん、分かってる」
悠「よし、作戦開始だ!」
吉音「はい!ハッ!!」
銀シャリ号『ヒヒーーンッ!!』
吉音が踵で彼の脇腹に合図を送ると、銀シャリ号は高く劈き、駆けだした。
吉音「金ちゃんや越後屋を返せーーっ!」
吉音は吶喊し、銀シャリ号は刑場めがけて広場を突進していく。
そして、吉音の背中にしがみつくおれ。
役人生徒「来たぞ!出あえ、出あえー!!」
案の定だ。こっちが現れるのを待ち構えてやがった。
役人の号令一下、守備隊が刑場を守るように陣を組む。
そして……
酉居「来たな、徳田新、小鳥遊悠!飛んで火にいる夏の虫とはお前達のことだ!」
刑場の傍に張られていた天幕が払われると、そこには酉居が率いる執行部直属部隊が待ち構えていた。
悠「な、なんて、お約束な台詞を。恥ずかしいヤツ!」
吉音「どうする、悠!?」
悠「構わん、このまま突撃だ、吉音!」
吉音「わ、分かった!ハッ!」
銀シャリ号『ヒヒーーンッ!!』
吉音はさらにあぶみを深く踏み込んだ。
ー大江戸学園:かなうの養生所ー
雪那「う……うぅ……」
由比雪那は見知らぬ床で目を覚ました。
かなう「お、気がついたか」
雪那「ここは?たしか私は牢獄に……」
かなう「ここは養生所だ」
雪那「……ぐ!」
床から身を起こそうとした雪那だったが、途中で崩れ落ちてしまう。
かなう「おい、無茶するな。ヤクロウのメディカルビームで応急処置はしたが、まだ動ける状態じゃない」
ヤクロウ『メェェ』
同意の鳴き声をあげるヤクロウ。
桃子「そうだぜ。今はゆっくり休みな」
雪那「鬼島……さん?」
桃子「おす、久しぶりだな」
かなう「こいつがお前さんを抱えて、ここまで運んできたんだ」
雪那「……一体、なぜ?」
桃子「んっと。いろいろ聞きたいことがあったんでな」
雪那「…………」
桃子「でもまぁ、そいつはお前さんが元気になってからでいいや。構わんよな」
文「は、はい、もちろん」
雷太郎「……」
風太郎「……」
風雷コンビも頷いた。
かなう「そういうことだ。しばらくはここで匿ってやるから安心しな。とにかく今は体力を回復させろ。それからだ」
雪那「…………聞きたいことは、なんですか?」
桃子「いや、だから今はいいって……」
雪那「話すぐらいなら……大丈夫ですから」
桃子「うーん、頑固なヤツだなぁ」
頬を指でかきながらかなうの表情を窺う桃子。
かなう「本人が話すってんなら聞いてやれ。きつくなったらやめりゃいい」
桃子「そういうことなら……」
雪那「このような格好でお話しするのは、心苦しいのですが……」
桃子「構うなって。楽な格好で話してくれよ」
雪那「……ありがとう」
雪那は軽く頭を下げると桃子達に身体を向けた側臥の姿勢を取った。
吉音「金ちゃん……」
はじめ「旦那……」
この現場の指揮を執っているらしい役人が何やら命令を出すと、生徒たちが数名がかりで磔台を引っ張り出してきた。
悠「ちょっと待て、磔かよ!」
吉音「!?」
はじめ「!?」
思わず呻く。
ここは中世じゃない、現代の学園だぞ。どう考えたってこりゃやり過ぎだろ。
悠「いくぞ。こんなの見てられるか!」
吉音「うん!」
おれは吉音の顔を覗きこむ。吉音も同じ思いだったらしく大きく頷いた。
悠「はじめ、そっちは頼んだぞ」
はじめ「うん、分かってる」
悠「よし、作戦開始だ!」
吉音「はい!ハッ!!」
銀シャリ号『ヒヒーーンッ!!』
吉音が踵で彼の脇腹に合図を送ると、銀シャリ号は高く劈き、駆けだした。
吉音「金ちゃんや越後屋を返せーーっ!」
吉音は吶喊し、銀シャリ号は刑場めがけて広場を突進していく。
そして、吉音の背中にしがみつくおれ。
役人生徒「来たぞ!出あえ、出あえー!!」
案の定だ。こっちが現れるのを待ち構えてやがった。
役人の号令一下、守備隊が刑場を守るように陣を組む。
そして……
酉居「来たな、徳田新、小鳥遊悠!飛んで火にいる夏の虫とはお前達のことだ!」
刑場の傍に張られていた天幕が払われると、そこには酉居が率いる執行部直属部隊が待ち構えていた。
悠「な、なんて、お約束な台詞を。恥ずかしいヤツ!」
吉音「どうする、悠!?」
悠「構わん、このまま突撃だ、吉音!」
吉音「わ、分かった!ハッ!」
銀シャリ号『ヒヒーーンッ!!』
吉音はさらにあぶみを深く踏み込んだ。
ー大江戸学園:かなうの養生所ー
雪那「う……うぅ……」
由比雪那は見知らぬ床で目を覚ました。
かなう「お、気がついたか」
雪那「ここは?たしか私は牢獄に……」
かなう「ここは養生所だ」
雪那「……ぐ!」
床から身を起こそうとした雪那だったが、途中で崩れ落ちてしまう。
かなう「おい、無茶するな。ヤクロウのメディカルビームで応急処置はしたが、まだ動ける状態じゃない」
ヤクロウ『メェェ』
同意の鳴き声をあげるヤクロウ。
桃子「そうだぜ。今はゆっくり休みな」
雪那「鬼島……さん?」
桃子「おす、久しぶりだな」
かなう「こいつがお前さんを抱えて、ここまで運んできたんだ」
雪那「……一体、なぜ?」
桃子「んっと。いろいろ聞きたいことがあったんでな」
雪那「…………」
桃子「でもまぁ、そいつはお前さんが元気になってからでいいや。構わんよな」
文「は、はい、もちろん」
雷太郎「……」
風太郎「……」
風雷コンビも頷いた。
かなう「そういうことだ。しばらくはここで匿ってやるから安心しな。とにかく今は体力を回復させろ。それからだ」
雪那「…………聞きたいことは、なんですか?」
桃子「いや、だから今はいいって……」
雪那「話すぐらいなら……大丈夫ですから」
桃子「うーん、頑固なヤツだなぁ」
頬を指でかきながらかなうの表情を窺う桃子。
かなう「本人が話すってんなら聞いてやれ。きつくなったらやめりゃいい」
桃子「そういうことなら……」
雪那「このような格好でお話しするのは、心苦しいのですが……」
桃子「構うなって。楽な格好で話してくれよ」
雪那「……ありがとう」
雪那は軽く頭を下げると桃子達に身体を向けた側臥の姿勢を取った。