ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸学園:???ー
文「あ……」
タマの光に照らされた前方を見た文は小さく声をあげた。
四人の視線の先には厳重な施錠をされた牢獄があった。ここが目的地だった。
桃子「もう戦う必要はないみたいだな」
文「それは何よりです」
雷太郎「……いくらなんでも警備が薄過ぎないか?」
風太郎「罠……はないだろうね。松永が下調べしているし。そうなると……」
雷太郎「ここはもはや重要じゃ無くなっているってことか?」
文「…………」
桃子「考えてても仕方がない。行こう。雪那はこの奥に居るはずだ。」
文「はい。」
先行するタマを追って、四人は牢獄へと踏み込んだ。
タマのはなっ光に照らされた牢獄の奥にかすかにうずくまった人影が見えた。
雷太郎「おい、由比雪那」
風太郎「そこにいるのか?」
返事はなく、人影の動く様子もなかった。
桃子「返事がない。ただの……」
文「冗談はやめてください。とにかく錠前をはずして中に入りましょう」
桃子「そうだな。じゃああたいが金棒で……」
大きく得物を振りかぶる桃子。
雷太郎&風太郎「「やめろっ!」」
文「だから!ジロウにやらせますから、下がっていてください。」
桃子「あ、うん」
文「ジロウ、錠前をはずして」
ジロウ『カァー』
ジロウは羽根の下から針金を取れ出すと錠前の鍵穴へと差し込んだ。そしてくちばしと足を上手に使って解錠に挑む。
桃子「へぇ……器用なもんだな」
ジロウ『カァア!』
硬質な金属音がして、ジロウが声をあげた。
文「開きました!」
桃子「よし、でかした」
雷太郎「開けるぞ」
錠前を取り外すと四人は牢獄の中へと飛び込んだ。
桃子「おい、生きてるか?」
桃子は雪那らしき人影の側へとしゃがみこんで声をかける。
雪那「う……ああ?」
文「由比さん?」
風太郎「随分とやつれるな」
雷太郎「衰弱してると言ってもいい」
淡い光の中に浮かび上がった雪那の姿は変わり果てたものだった。
力なく喘ぐ口元にあの凛とした尊厳はなく、ひび割れてかけた眼鏡の奥の目にもかつての鋭い叡智はない。
文「なんてひどい部屋……」
闇に目が慣れるにつれ、桃子たちは牢獄の悲惨な様子を目の当たりにすることになった。
部屋には何もなかった。窓もなくテーブルもベッドもない。
冷たいコンクリートの床にと例と皿が散らばっている。到底まともな食事が与えられていたようには思えない。
桃子「人間のやるこっちゃねぇ!」
獲物を握る手に力を込め、桃子は怒りに声を震わせた。
雷太郎「とても話せるような状態じゃないな。風、水を」
風太郎「うん、ほら、水だ。ゆっくり飲め。」
雪那「あぅ……。」
雷太郎「素人目にも脱水症状、栄養失調その他もろもろの合併症になってるな……」
風太郎「うん、これはまずいね。」
桃子「ひとまず養生所へ運ぼう」
そういうと桃子は刹那を担ぎあげた。
文「あ……」
タマの光に照らされた前方を見た文は小さく声をあげた。
四人の視線の先には厳重な施錠をされた牢獄があった。ここが目的地だった。
桃子「もう戦う必要はないみたいだな」
文「それは何よりです」
雷太郎「……いくらなんでも警備が薄過ぎないか?」
風太郎「罠……はないだろうね。松永が下調べしているし。そうなると……」
雷太郎「ここはもはや重要じゃ無くなっているってことか?」
文「…………」
桃子「考えてても仕方がない。行こう。雪那はこの奥に居るはずだ。」
文「はい。」
先行するタマを追って、四人は牢獄へと踏み込んだ。
タマのはなっ光に照らされた牢獄の奥にかすかにうずくまった人影が見えた。
雷太郎「おい、由比雪那」
風太郎「そこにいるのか?」
返事はなく、人影の動く様子もなかった。
桃子「返事がない。ただの……」
文「冗談はやめてください。とにかく錠前をはずして中に入りましょう」
桃子「そうだな。じゃああたいが金棒で……」
大きく得物を振りかぶる桃子。
雷太郎&風太郎「「やめろっ!」」
文「だから!ジロウにやらせますから、下がっていてください。」
桃子「あ、うん」
文「ジロウ、錠前をはずして」
ジロウ『カァー』
ジロウは羽根の下から針金を取れ出すと錠前の鍵穴へと差し込んだ。そしてくちばしと足を上手に使って解錠に挑む。
桃子「へぇ……器用なもんだな」
ジロウ『カァア!』
硬質な金属音がして、ジロウが声をあげた。
文「開きました!」
桃子「よし、でかした」
雷太郎「開けるぞ」
錠前を取り外すと四人は牢獄の中へと飛び込んだ。
桃子「おい、生きてるか?」
桃子は雪那らしき人影の側へとしゃがみこんで声をかける。
雪那「う……ああ?」
文「由比さん?」
風太郎「随分とやつれるな」
雷太郎「衰弱してると言ってもいい」
淡い光の中に浮かび上がった雪那の姿は変わり果てたものだった。
力なく喘ぐ口元にあの凛とした尊厳はなく、ひび割れてかけた眼鏡の奥の目にもかつての鋭い叡智はない。
文「なんてひどい部屋……」
闇に目が慣れるにつれ、桃子たちは牢獄の悲惨な様子を目の当たりにすることになった。
部屋には何もなかった。窓もなくテーブルもベッドもない。
冷たいコンクリートの床にと例と皿が散らばっている。到底まともな食事が与えられていたようには思えない。
桃子「人間のやるこっちゃねぇ!」
獲物を握る手に力を込め、桃子は怒りに声を震わせた。
雷太郎「とても話せるような状態じゃないな。風、水を」
風太郎「うん、ほら、水だ。ゆっくり飲め。」
雪那「あぅ……。」
雷太郎「素人目にも脱水症状、栄養失調その他もろもろの合併症になってるな……」
風太郎「うん、これはまずいね。」
桃子「ひとまず養生所へ運ぼう」
そういうと桃子は刹那を担ぎあげた。