ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました

ー北町奉行所ー

新「なんだって!こっちはしっかりと覚え……てない」

悠「いいんだ、いいんだ。昨夜は向こうは面をつけてたんだから仕方がない。お前がバカなんじゃない、安心しろ。バカなんじゃないからな」

新「う、うん。……バカにしてない?」

悠「……」

北町奉行「ふむ…随分と証言が食い違っておるな。お白州において嘘偽りを申せばそれだけで厳刑に値するぞ?そなたら、存じておろうな?」

孝岡「も、もちろんです」

新「あたしは嘘なんかつかない!」

悠「……(すません。おれは嘘つきです)」

北町奉行「そうか。全てはその「ゴリラのような女」という金さん次第ということになるな」

孝岡「僭越ながら申し上げますが、素性の分からぬ遊び人の証言など取られましても証拠になりますまい」

北町奉行「ほぉ」

孝岡「そもそも、その金さんとやらは一体どこにおるのでしょう。我々から訴えて治療費をもらいたいくらいですよ」

金津「そうだ、金さんを出してくれ!」

新「このっ」

北町奉行「孝岡!そのほう、この遠山に会うのは初めてか?見覚えはないか?」

孝岡「え……は、初めてでございますが」

北町奉行「では、お前たちはどうだ?」

金津「いえ…お会いしたことはないと思いますが」

孝岡「遠山様、これは厳粛なお白州でこのようなおふざけはおよしください」

北町奉行「うるせえや!」
孝岡「な…!?」

北町奉行「厳粛なお白州でふざけているのはどっちのほうでい!あんとき、オレはいったよな。花も見頃の桜吹雪、こいつはお前らにやるオレからの選別だ。しっかり目に焼き付けた奴から、かかって来やがれ……ってな」

新「う、うそっ!?」

悠「(あれ、皆さん素で気づいてなかったのか?)」
北町奉行「どいつもこいつもバカばっかだなぁ。頭数ばかり揃えやがってよぉ。しかたがねえ、どんなバカでも一発で思い出せる、決定的な証拠ってのを見せてやろうじゃねぇか!」

孝岡「な…!?」

お奉行は勢いよく足を踏み出すと、右の腕をぐっと袖の中に引き込み、勢いよく合わせを開き右肩をむき出しにした。

朱金「この桜吹雪に見覚えがねぇとはいわせねぇぜ!」

新「金ちゃんだ!」

朱金「おうおうおう!こいつを見てもとぼけられるもんなら、とぼけてみやがれい!」

孝岡「あ…あぁ…」


朱金「お前らの悪事はこの桜吹雪がみんな見てたんだよ!くだらねぇ猿芝居もここまでにしやがれ。天狗党幹部孝岡八郎。郎党を率いての坂下英恵誘拐と元部下城島永太への乱暴狼藉。大江戸学園剣徒として誠に遺憾な振る舞い。よって帯刀権の剥奪と半年の奉仕労働を申し渡す。またみだりに暴力沙汰を起こして治安を乱したその郎党の罪も許しがたし、同じく帯刀権の剥奪と三ヶ月の奉仕労働を申し渡す。ただしこの沙汰は誘拐と暴行についてのみへの言及だ。この後、天狗党としての吟味は継続。追って取り調べを受けてもらう。」

孝岡「は、ははぁ…」

朱金「ひったて!」

沙汰を言い渡し、朱金が命じると棒を持った役人達が天狗党たちを引き立てていく。
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