ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【10】
ー大江戸学園:執行部室ー
執行部員A「銭方真留率いる北町第一分隊及び、酉居様率いる執行部直属部隊が暴徒を鎮圧。首謀者遠山朱金の身柄を拘束し、現在大江戸城地下牢に収容中。以上、元北町奉行遠山朱金による北地区第八配給所襲撃の続報となります」
詠美「他の配給所からの報告は?」
執行部員A「他の、ですか?私の手元にある報告書はこの一通だけですが」
きょとんとする執行部員。
詠美「そう。ならすぐに別の者が持って来るわ」
執行部員A「はぁ」
執行部員B「失礼いたします!ご報告があります」
詠美「お願いします」
詠美は報告を促した。
執行部員B「はっ。南地区の第四配給所にて襲撃事件が発生しました」
執行部員A「なんと……」
詠美「……」
報告を聞いても詠美は眉ひとつ動かさなかった。
執行部員B「目下、南町の部隊を急きょ派遣しており、全軍を持って鎮圧に当たる予定です。」
詠美「駄目。兵力を集中させないで」
執行部員B「え?」
詠美「配給所への襲撃は必ず学園中に飛び火します。南北ともに部隊を三つに分けて当たらせて執行部の部隊と火盗を遊撃として配置、臨機応変に対応させます」
執行部員A「そのようなことが……」
詠美「即、各部隊に連絡を。すぐにでも各地から続報が入るわ」
執行部員たち「「「はっ」」」
執行部員C「失礼いたします!ご報告が……」
執行部員D「失礼いたします!」
最初のふたりが出ていくのと入れ替わりに別の執行部員が飛びこんでくる。
詠美「報告は配給所の襲撃について?」
執行部員C「は、はい。なぜそれを?」
詠美「そちらも?」
執行部員D「はい」
詠美「私への報告は事後で構いません。入れ違いに出ていった者を追いかけて、情報を統合して各部隊に連絡をお願いします」
執行部員C「承知しました」
執行部員D「はっ」
続いて二人とも執行部室を出ていく。
詠美「…………これは本当に正しいことなのか?こうなることは最初から分かっていた。けれど私はこの道を選んだ、いったい何のために?私は将軍にならなくてはならないから」
執行部室に取り残された詠美は自問自答する。
執行部員E「失礼いたします!ご報告申し上げます」
詠美の思索を打ちきるように新たな報告が飛びこんできた。
詠美「何か?配給所への襲撃の報告なら……」
執行部員E「いえ。詠美さまに面会を申し出ている者が居りまして」
詠美「このタイミングでいったい誰が……はっ!」
言葉の途中で自ら答えを見つける詠美。
執行部員E「徳田新と名乗っております。遠山朱金の拘束について詠美様と話したいと……」
詠美「吉音……」
執行部員E「いかがいたしましょう?追い返しますか?」
詠美「そうね。でも私が直接伝えるわ。城門と回線をつないで」
詠美はそういってテーブルのうえの受話器をとった。
しばらくの間をおいて受話器からは屋外のノイズが流れ込んできた。
執行部員A「銭方真留率いる北町第一分隊及び、酉居様率いる執行部直属部隊が暴徒を鎮圧。首謀者遠山朱金の身柄を拘束し、現在大江戸城地下牢に収容中。以上、元北町奉行遠山朱金による北地区第八配給所襲撃の続報となります」
詠美「他の配給所からの報告は?」
執行部員A「他の、ですか?私の手元にある報告書はこの一通だけですが」
きょとんとする執行部員。
詠美「そう。ならすぐに別の者が持って来るわ」
執行部員A「はぁ」
執行部員B「失礼いたします!ご報告があります」
詠美「お願いします」
詠美は報告を促した。
執行部員B「はっ。南地区の第四配給所にて襲撃事件が発生しました」
執行部員A「なんと……」
詠美「……」
報告を聞いても詠美は眉ひとつ動かさなかった。
執行部員B「目下、南町の部隊を急きょ派遣しており、全軍を持って鎮圧に当たる予定です。」
詠美「駄目。兵力を集中させないで」
執行部員B「え?」
詠美「配給所への襲撃は必ず学園中に飛び火します。南北ともに部隊を三つに分けて当たらせて執行部の部隊と火盗を遊撃として配置、臨機応変に対応させます」
執行部員A「そのようなことが……」
詠美「即、各部隊に連絡を。すぐにでも各地から続報が入るわ」
執行部員たち「「「はっ」」」
執行部員C「失礼いたします!ご報告が……」
執行部員D「失礼いたします!」
最初のふたりが出ていくのと入れ替わりに別の執行部員が飛びこんでくる。
詠美「報告は配給所の襲撃について?」
執行部員C「は、はい。なぜそれを?」
詠美「そちらも?」
執行部員D「はい」
詠美「私への報告は事後で構いません。入れ違いに出ていった者を追いかけて、情報を統合して各部隊に連絡をお願いします」
執行部員C「承知しました」
執行部員D「はっ」
続いて二人とも執行部室を出ていく。
詠美「…………これは本当に正しいことなのか?こうなることは最初から分かっていた。けれど私はこの道を選んだ、いったい何のために?私は将軍にならなくてはならないから」
執行部室に取り残された詠美は自問自答する。
執行部員E「失礼いたします!ご報告申し上げます」
詠美の思索を打ちきるように新たな報告が飛びこんできた。
詠美「何か?配給所への襲撃の報告なら……」
執行部員E「いえ。詠美さまに面会を申し出ている者が居りまして」
詠美「このタイミングでいったい誰が……はっ!」
言葉の途中で自ら答えを見つける詠美。
執行部員E「徳田新と名乗っております。遠山朱金の拘束について詠美様と話したいと……」
詠美「吉音……」
執行部員E「いかがいたしましょう?追い返しますか?」
詠美「そうね。でも私が直接伝えるわ。城門と回線をつないで」
詠美はそういってテーブルのうえの受話器をとった。
しばらくの間をおいて受話器からは屋外のノイズが流れ込んできた。