ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:とある境内ー
「待たせたかの?」
想「み、光姫さん?」
逢岡想が声に振り返ると行方をくらませているはずの水都光姫の姿があった。
由佳里「お久しぶりです、逢岡様」
想「八辺さん」
光姫「お前がここにやってきたということは、無事に手紙は届いたようだな」
想「これが……あっ?」
銀次「返してもらうぜ」
手紙が巻いてあった風車を懐から差し出すと、いつの間にか現れていた銀次がひょいとつまみ上げた。
想「こんなところに現れて大丈夫なのですか?」
銀次「あんたが黙っててくれればな」
想「それはもちろんですが」
光姫「逢岡、前執行部の金のこと、いろいろと調べておるらしいな」
想「え、どうしてそれを?」
光姫「ふふ、わしを誰だと思うておる」
銀次「学園が俺たちを見失っても、俺たちは学園のことを全て把握してるさ」
光姫「で、なぜじゃ?」
想「どうしても納得がいかなくて。光姫さんがあんなことをするようには私らはおもえません」
光姫「ありがたいの」
銀次「ホントはそんなにいい人じゃねぇけどな」
由佳里「あはは、はは……」
想「は、はぁ……」
光姫「安心せい、逢岡。わしはやっておらんよ。それで、調査は進んでおるか?」
想「それが……」
光姫「じゃろうな。データはすべてロックがかかっていて将軍か校長でなければ解除できん」
想「それなら……どうすれば?」
光姫「わざわざロックのかかった場所にファイルをアクセスする必要はない。データなら別の場所にある。」
想「えっ?」
光姫「こいつの頭の中じゃ」
由佳里「はう」
光姫は由佳里の頭をこつんとこづいた。
光姫「少なくともわしが大老職についてからの出納については全て由佳里が記憶していて、いつでも引き出せる。」
想「そんなことが……」
由佳里「はい、お任せください!」
銀次「ま、乳と頭だけが取り柄だからな」
由佳里「うぐぐ……ぎ、銀次さん!」
光姫「そんなわけであんなものはすぐに論破できるのじゃ」
想「だったら、潔白を証明して現場に……」
光姫はすっと手をあげて想の言葉を制した。
光姫「もう少し待ってくれんか?別に少々知らべたいことがあってな。それで身を潜めておるのじゃ」
想「ですが、執行部は今……」
光姫「分かっておる。しかし今調べておるのは執行部のメンツやわしの進退のようなちっぽけな問題ではない。学園の、いや日本の未来に関わる重大な問題なのじゃ」
想は光姫の目にいつもの冗談めいたものを感じなかった。
想「分かりました。お帰りをお待ちしています。」
光姫「なあに、もうすぐだ。全ての黒幕をあぶり出してやる。それまで、お前には少々苦労をかけると思うが……」
想「いえ、そんなこと。私のことは気になさらないでください」
光姫「うむ。ならば早速じゃがひとつ頼みたいことがある。」
光姫は想を近くへと呼びよせた。光姫の傍らで身をかがめる想。
想「はい……分かりました」
身を起こし頷く想。
銀次「お嬢、そろそろ時間が……」
光姫「分かった。ふふ、身を隠している割に忙しくてな」
想「お気をつけて」
光姫「お主もな」
想「ありがとうございます」
光姫「逢岡」
想「はい」
光姫「吉音の両親のことお前の責任ではない」
想「えっ……!?」
電気に痺れたように身をこばわらせる想。
光姫「そいつも合わせて証明してやる。待っておれ」
想「光姫さん、それは……」
光姫「ではの」
想「…………」
想は三人に深々と頭を下げた
「待たせたかの?」
想「み、光姫さん?」
逢岡想が声に振り返ると行方をくらませているはずの水都光姫の姿があった。
由佳里「お久しぶりです、逢岡様」
想「八辺さん」
光姫「お前がここにやってきたということは、無事に手紙は届いたようだな」
想「これが……あっ?」
銀次「返してもらうぜ」
手紙が巻いてあった風車を懐から差し出すと、いつの間にか現れていた銀次がひょいとつまみ上げた。
想「こんなところに現れて大丈夫なのですか?」
銀次「あんたが黙っててくれればな」
想「それはもちろんですが」
光姫「逢岡、前執行部の金のこと、いろいろと調べておるらしいな」
想「え、どうしてそれを?」
光姫「ふふ、わしを誰だと思うておる」
銀次「学園が俺たちを見失っても、俺たちは学園のことを全て把握してるさ」
光姫「で、なぜじゃ?」
想「どうしても納得がいかなくて。光姫さんがあんなことをするようには私らはおもえません」
光姫「ありがたいの」
銀次「ホントはそんなにいい人じゃねぇけどな」
由佳里「あはは、はは……」
想「は、はぁ……」
光姫「安心せい、逢岡。わしはやっておらんよ。それで、調査は進んでおるか?」
想「それが……」
光姫「じゃろうな。データはすべてロックがかかっていて将軍か校長でなければ解除できん」
想「それなら……どうすれば?」
光姫「わざわざロックのかかった場所にファイルをアクセスする必要はない。データなら別の場所にある。」
想「えっ?」
光姫「こいつの頭の中じゃ」
由佳里「はう」
光姫は由佳里の頭をこつんとこづいた。
光姫「少なくともわしが大老職についてからの出納については全て由佳里が記憶していて、いつでも引き出せる。」
想「そんなことが……」
由佳里「はい、お任せください!」
銀次「ま、乳と頭だけが取り柄だからな」
由佳里「うぐぐ……ぎ、銀次さん!」
光姫「そんなわけであんなものはすぐに論破できるのじゃ」
想「だったら、潔白を証明して現場に……」
光姫はすっと手をあげて想の言葉を制した。
光姫「もう少し待ってくれんか?別に少々知らべたいことがあってな。それで身を潜めておるのじゃ」
想「ですが、執行部は今……」
光姫「分かっておる。しかし今調べておるのは執行部のメンツやわしの進退のようなちっぽけな問題ではない。学園の、いや日本の未来に関わる重大な問題なのじゃ」
想は光姫の目にいつもの冗談めいたものを感じなかった。
想「分かりました。お帰りをお待ちしています。」
光姫「なあに、もうすぐだ。全ての黒幕をあぶり出してやる。それまで、お前には少々苦労をかけると思うが……」
想「いえ、そんなこと。私のことは気になさらないでください」
光姫「うむ。ならば早速じゃがひとつ頼みたいことがある。」
光姫は想を近くへと呼びよせた。光姫の傍らで身をかがめる想。
想「はい……分かりました」
身を起こし頷く想。
銀次「お嬢、そろそろ時間が……」
光姫「分かった。ふふ、身を隠している割に忙しくてな」
想「お気をつけて」
光姫「お主もな」
想「ありがとうございます」
光姫「逢岡」
想「はい」
光姫「吉音の両親のことお前の責任ではない」
想「えっ……!?」
電気に痺れたように身をこばわらせる想。
光姫「そいつも合わせて証明してやる。待っておれ」
想「光姫さん、それは……」
光姫「ではの」
想「…………」
想は三人に深々と頭を下げた