ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂前ー

パシッャ!

往水「ん。何か光りました、よね?」

セン『ピョッ』

夜回り中の往水は小鳥遊堂の前で小さな光の瞬きを目にした。

リツ「ピョピョ!」

リツが鳴き声をあげる。

見れば小鳥遊堂の影から人影が走り去るのが見えた。

往水「あ。ホントだ、誰か逃げてきますねぇ」

セン『ピョピョー?』

往水「追いかけませんよ、めんどくさい。それに逃げていった方向はあたしの管轄外ですよ」

リツ『ピョー!』

往水はセン、リツの非難を無視して別の区画へと歩き出す。

往水「小柄な人影だ……どっかで見覚えある背格好の気もする」

独り呟く往水。





ー大江戸学園:久秀の隠れ家ー

久秀「さて……揃ったわね」

寅「……」

風太郎「……」

雷太郎「……」

久秀「まったく、せっかく久秀が招いてあげたのに仏頂面揃えて」

寅「招いたじゃねーだろ」

風太郎「今すぐに」

雷太郎「帰って来い」

風太郎「その一文だけ」

雷太郎「メール寄越した」

風太郎「んじゃないか」

久秀「煩わしいからどっちかがまとめて喋ってくれないかしら?」

雷太郎「貴様の」

風太郎「指図は」

雷太郎&風太郎「「受けない!」」

久秀「まったく、雇い主に対してどういう口の聞き方なのかしら。ねぇ、お寅ちゃん?」

寅「張り倒すぞ」

久秀「こっちはこっちで獣だったわ」

寅「いいから、とっとと用件を話せ」

久秀「用件もなにも貴方たちこの学園の生徒でしょ?」

寅「なにをいまさら……」

雷太郎「今さらもそうだし」

風太郎「島から離れてろっていたのは」

雷太郎「「お前だろ!!」」

久秀「まぁ、そうね。」

寅「そこは素直に認めるのか……」

久秀「非があったとはかけらほども思ってないわ。久秀に間違いは無いものあってたまるものですか!」

寅「……」

雷太郎「……」

風太郎「……」

久秀「コホン……私の調べが正しければそろそろ大きな動きがあるわ。アナタたたちは久秀の命令に従って忠実に動きなさい」

寅「なんっか癪に障るんだよな」

雷太郎「ひとつ聞くがお前はどの側についているんだ」

久秀「もちろん、久秀は久秀についているに決まってるじゃない。久秀は勝つ側につくのだから」

寅「アホらし」

久秀「ということで、釘をさしておくわ。事が終わるまで小鳥遊悠を狙うのはなしよ。アレは久秀の駒なんだから」

寅「ふざけんなっ!アレは俺の獲物だ!」

久秀「はいはい、分かっているわよ。ずっと手を出すななんて言っていないでしょ。事が終わったら殴り合いでも何でも好きにしなさい。死なない程度に」

寅「……いいだろう。その言葉忘れるなよ」

久秀「ええ、もちろんよ」

風太郎「ぼそぼそ(寅は久秀に約束してるけど悠本人にはまったく伝わってないよね)」

雷太郎「ぼそぼそ(いいように踊らされてるな)」
98/100ページ
スキ