ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
吉音「悠はあたしと一緒に居るの迷惑?」
悠「そんなことはないけど」
吉音「いつもあたしのせいで悠に迷惑ばかりかけちゃってるよね。目安箱だとかはしゃいじゃって。お奉行でもないのにいろんな事件に首を突っ込んで」
悠「まぁ……そりぁ時には困ることもあるけど。でも楽しいことだっていっぱいあったしさ」
吉音「それに、あたしが徳河の娘のせいでいろんなことに巻きこんじゃう」
悠「お前が徳河の家に生まれたのはお前のせいじゃないだろ?それにお前が徳河の人間じゃなきゃ出来なかった事だってあるだろ?」
吉音「……でも、あたしは逃げてるだけじゃないかな……詠美ちゃんに全部押し付けて」
悠「誰かに何か言われたのか?」
吉音「……ううん」
吉音は、隠した。
悠「どうしたんだよ?今日の吉音、ちょっとおかしいぞ」
吉音「悠、みんなが離れて言っちゃう気がする。」
悠「あー?おれがいるだろ。」
吉音「……今夜はずっとここにいてもいい?」
悠「あー?」
吉音「ひとりで眠りたくないんだ」
潤んだ瞳がおれを見上げていた。
悠「……」
おれはごくりとつばを飲み込んだ。
吉音「今夜は……一緒に、寝て?」
悠「一緒に……」
吉音「……悠の好きにしていいよ」
悠「いきなり何を……。お前、それ、意味分かっていってるのか?」
吉音「んと……よく分かんない。けど男の人はそういうものだって聞いたよ?」
悠「……」
誰だ、コイツにそんなことを教えたのは……。
吉音「でもあたし、悠だったら本当に……」
おれはおれを見つめる潤んだ瞳とかすかに開かれた濡れた唇に抗えず、吸いこまれるように顔を近づけていく。
ピィィィィィ!
悠「うわっ!」
唇が触れるかどうかギリギリで、けたたましくケトルが鳴った。
おれは我に返って、吉音の身体をゆっくりと離した。
吉音「あ……」
悠「お茶淹れるよ。部屋に戻って待ってな」
おれはコンロの火を止めて、茶筒を手に取る。
吉音「うん……」
吉音のほうはまだぼんやりとしているようで差の場でゆらゆらしていた。
悠「……」
吉音「悠……やっぱりあたとのこと、迷惑?」
吉音は迷子のような顔をしていた。
悠「なぁ、吉音」
吉音「……はい」
悠「やっぱり、らしくねぇって、今日の吉音は」
吉音「…………」
悠「こんな成り行きでどうこうなるのはやっぱりよくない。えーと……あれだ、一時のさみしさなんかで自分を粗末にするんじゃない」
吉音「どうこうなっちゃう?粗末?」
悠「ほら、やっぱり分かってないだろ」
吉音「う、うん……よく分からない」
悠「そんな程度で好きにしていいなんて言うなよょ。おれ、もうちょっとで本気にしちまうところだっただろうが……」
吉音「え?あたし……悠のこと本気で好きだよ?」
悠「……だったら、おれもいってやるけど、おれも吉音のこと大事に思ってる。だから、今夜はいっしょに寝てやる。ただし、一緒に布団に入る……それだけだ」
吉音「うん……」
悠「ほら、わかったら部屋に戻ってろ。お茶を飲んで、落ちつこうぜ、ふたりとも」
吉音「はい……。悠、ありがとう」
悠「ああ……」
ふたりの夜はぎくしゃくと更けていく。
吉音「悠はあたしと一緒に居るの迷惑?」
悠「そんなことはないけど」
吉音「いつもあたしのせいで悠に迷惑ばかりかけちゃってるよね。目安箱だとかはしゃいじゃって。お奉行でもないのにいろんな事件に首を突っ込んで」
悠「まぁ……そりぁ時には困ることもあるけど。でも楽しいことだっていっぱいあったしさ」
吉音「それに、あたしが徳河の娘のせいでいろんなことに巻きこんじゃう」
悠「お前が徳河の家に生まれたのはお前のせいじゃないだろ?それにお前が徳河の人間じゃなきゃ出来なかった事だってあるだろ?」
吉音「……でも、あたしは逃げてるだけじゃないかな……詠美ちゃんに全部押し付けて」
悠「誰かに何か言われたのか?」
吉音「……ううん」
吉音は、隠した。
悠「どうしたんだよ?今日の吉音、ちょっとおかしいぞ」
吉音「悠、みんなが離れて言っちゃう気がする。」
悠「あー?おれがいるだろ。」
吉音「……今夜はずっとここにいてもいい?」
悠「あー?」
吉音「ひとりで眠りたくないんだ」
潤んだ瞳がおれを見上げていた。
悠「……」
おれはごくりとつばを飲み込んだ。
吉音「今夜は……一緒に、寝て?」
悠「一緒に……」
吉音「……悠の好きにしていいよ」
悠「いきなり何を……。お前、それ、意味分かっていってるのか?」
吉音「んと……よく分かんない。けど男の人はそういうものだって聞いたよ?」
悠「……」
誰だ、コイツにそんなことを教えたのは……。
吉音「でもあたし、悠だったら本当に……」
おれはおれを見つめる潤んだ瞳とかすかに開かれた濡れた唇に抗えず、吸いこまれるように顔を近づけていく。
ピィィィィィ!
悠「うわっ!」
唇が触れるかどうかギリギリで、けたたましくケトルが鳴った。
おれは我に返って、吉音の身体をゆっくりと離した。
吉音「あ……」
悠「お茶淹れるよ。部屋に戻って待ってな」
おれはコンロの火を止めて、茶筒を手に取る。
吉音「うん……」
吉音のほうはまだぼんやりとしているようで差の場でゆらゆらしていた。
悠「……」
吉音「悠……やっぱりあたとのこと、迷惑?」
吉音は迷子のような顔をしていた。
悠「なぁ、吉音」
吉音「……はい」
悠「やっぱり、らしくねぇって、今日の吉音は」
吉音「…………」
悠「こんな成り行きでどうこうなるのはやっぱりよくない。えーと……あれだ、一時のさみしさなんかで自分を粗末にするんじゃない」
吉音「どうこうなっちゃう?粗末?」
悠「ほら、やっぱり分かってないだろ」
吉音「う、うん……よく分からない」
悠「そんな程度で好きにしていいなんて言うなよょ。おれ、もうちょっとで本気にしちまうところだっただろうが……」
吉音「え?あたし……悠のこと本気で好きだよ?」
悠「……だったら、おれもいってやるけど、おれも吉音のこと大事に思ってる。だから、今夜はいっしょに寝てやる。ただし、一緒に布団に入る……それだけだ」
吉音「うん……」
悠「ほら、わかったら部屋に戻ってろ。お茶を飲んで、落ちつこうぜ、ふたりとも」
吉音「はい……。悠、ありがとう」
悠「ああ……」
ふたりの夜はぎくしゃくと更けていく。