ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:武家屋敷街ー
同じころ。とある武家屋敷の裏手、人通りのない薄暗い道。
「Kunt u dit verzoek te ondernemen?(この依頼をお引き受けいただけますか?)」
薄闇のなか、顔をヴェールで隠した女がシオンに話しかける。
その言葉はオランダ語であった。
シオン「Niet eens horen(聞くまでもない)」
「Dus de beloning(それでは報酬を)」
シオン「Er is geen reden te ontvangen(受け取る理由がないわ)」
女の差し出した報酬をシオンは突き返した。
「……」
シオン「桃子……お前、徳河の者だったのか……。ククク……ククックク……アハハハハハハハ!!」
含み笑いが哄笑へと変わった。
そして訪れる静寂。
「……」
シオン「月がまぶしい。気にいらんな」
リュウノスケ『ウウウウウゥゥ……』
ー大江戸学園:とある武家屋敷ー
由真「そんなっ!?」
猫目三姉妹の次女、由真は悲鳴を上げた。
四方の襖が次々に閉まり、彼女の逃げ場を塞いだ。
その客間自体が彼女を閉じ込めるための罠であったのだ。
剣魂のヒトミの尻尾のアンテナを通じて、ふすまの向こうから彼女に指示を送っているはずの姉と妹に問いかける。
ヒトミ『ミャ……ニャア!?』
しかし答えはない。まさかの圏外に剣魂すらも困惑していた。
由真「そんな……」
その夜、猫目は残る一刀を取り戻すべく最後の盗みへと赴いた。
ここまですべてが順調だった。
三姉妹は計画通りに行動を進めた。
結花が指示を出し、由比がサポートし、由真が刀を奪う。
最後の盗みにふさわしい、完璧なコンビネーションだった。
由真が刀に触れる、その瞬間までは……
由真は最後の一刀を抱きしめながら、部屋の真ん中にへたり込んだ。
突然、由真の後ろのふすまが開いた。そこには妹の姿があった。
唯「由真姉!大丈夫!?」
由真の傍へと駆け寄る唯。
由真「ねえ!これどうなってるの?」
唯「分かんない。突然通信ができなくなって、それで、結花姉や由真姉を探してたここの部屋に……」
由真「結花姉は!?」
唯「分かんないよぉ」
由真「……結花姉」
肩を寄せるふたり。
そのとき、今度は別のふすまが開いた。
果たしてそこに立っていたのは結花であった。
結花「由真、唯も!」
唯「結花姉、ボクた捕まっちゃったの?」
結花「そのようね……」
「子住さん、ひとまず部屋のなかにはいってくれないか?」
結花の後ろから声が響いた。
結花「はい……」
由真「だ、誰?」
「君らに少し力を貸してほしいことがあって集まってもらった。こちらの頼みはきっと君たちの父上も望んでいたことだ」
唯「父様が?」
「ああ。まさに君たちが父上の刀を集めなければならなかった理由だ」
結花「…………」
神妙な顔つきで話しを聞く結花。
由真「話は聞くわ。でも頼みごとをしたいってのに顔も見せないのは失礼じゃない?」
結花「由真」
「それはすまなかった。キミの言う通りだ」
声の主はそういうとゆっくりと部屋へと足を踏みいれた。
結花「えっ……あなたは!」
由真「うそ……」
現れたのは奉行所でも火盗でもなかった。
同じころ。とある武家屋敷の裏手、人通りのない薄暗い道。
「Kunt u dit verzoek te ondernemen?(この依頼をお引き受けいただけますか?)」
薄闇のなか、顔をヴェールで隠した女がシオンに話しかける。
その言葉はオランダ語であった。
シオン「Niet eens horen(聞くまでもない)」
「Dus de beloning(それでは報酬を)」
シオン「Er is geen reden te ontvangen(受け取る理由がないわ)」
女の差し出した報酬をシオンは突き返した。
「……」
シオン「桃子……お前、徳河の者だったのか……。ククク……ククックク……アハハハハハハハ!!」
含み笑いが哄笑へと変わった。
そして訪れる静寂。
「……」
シオン「月がまぶしい。気にいらんな」
リュウノスケ『ウウウウウゥゥ……』
ー大江戸学園:とある武家屋敷ー
由真「そんなっ!?」
猫目三姉妹の次女、由真は悲鳴を上げた。
四方の襖が次々に閉まり、彼女の逃げ場を塞いだ。
その客間自体が彼女を閉じ込めるための罠であったのだ。
剣魂のヒトミの尻尾のアンテナを通じて、ふすまの向こうから彼女に指示を送っているはずの姉と妹に問いかける。
ヒトミ『ミャ……ニャア!?』
しかし答えはない。まさかの圏外に剣魂すらも困惑していた。
由真「そんな……」
その夜、猫目は残る一刀を取り戻すべく最後の盗みへと赴いた。
ここまですべてが順調だった。
三姉妹は計画通りに行動を進めた。
結花が指示を出し、由比がサポートし、由真が刀を奪う。
最後の盗みにふさわしい、完璧なコンビネーションだった。
由真が刀に触れる、その瞬間までは……
由真は最後の一刀を抱きしめながら、部屋の真ん中にへたり込んだ。
突然、由真の後ろのふすまが開いた。そこには妹の姿があった。
唯「由真姉!大丈夫!?」
由真の傍へと駆け寄る唯。
由真「ねえ!これどうなってるの?」
唯「分かんない。突然通信ができなくなって、それで、結花姉や由真姉を探してたここの部屋に……」
由真「結花姉は!?」
唯「分かんないよぉ」
由真「……結花姉」
肩を寄せるふたり。
そのとき、今度は別のふすまが開いた。
果たしてそこに立っていたのは結花であった。
結花「由真、唯も!」
唯「結花姉、ボクた捕まっちゃったの?」
結花「そのようね……」
「子住さん、ひとまず部屋のなかにはいってくれないか?」
結花の後ろから声が響いた。
結花「はい……」
由真「だ、誰?」
「君らに少し力を貸してほしいことがあって集まってもらった。こちらの頼みはきっと君たちの父上も望んでいたことだ」
唯「父様が?」
「ああ。まさに君たちが父上の刀を集めなければならなかった理由だ」
結花「…………」
神妙な顔つきで話しを聞く結花。
由真「話は聞くわ。でも頼みごとをしたいってのに顔も見せないのは失礼じゃない?」
結花「由真」
「それはすまなかった。キミの言う通りだ」
声の主はそういうとゆっくりと部屋へと足を踏みいれた。
結花「えっ……あなたは!」
由真「うそ……」
現れたのは奉行所でも火盗でもなかった。