ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー

左近「どーもー」

悠「ん?ああ、らっしゃい」

左近「お茶いただけます?熱めので」

悠「へいへい」

左近「いやー、もう冷たいのよりも暖かいのがいい季節ですねぇ」

悠「そーだな」

左近「って、いってもこの島に居ればほぼ常夏なんですけどねぇ」

悠「おれ……冬の間はずっとこっちに居ようかな」

左近「おや、小鳥遊さんは寒いのが苦手ですか?」

悠「致命的にな。ほい、お茶」

左近「どうもどうも。おやっ?」

悠「なんだ?茶にテラフォーマーでもはいってたか?」

左近「いえ、そんな得体の知れない物ははいってませんけどね。ズボン」

悠「あ?」

左近「そのズボン新品のようですねぇ」

悠「あぁ、卸したて新品だ」

左近「そうですか、そうですか。前の物は?」

悠「ん?」

左近「前の物はどうされたんです?」

悠「クリーニング中……?」

左近「ほう。ズズッ……ふぅ」

悠「なんだよ」

左近「いやー、いい味だ。あ、お団子ももらえますか?ょっと小腹がすきましてねぇ」

悠「あぁ…」

左近「そういえば小鳥遊さん」

悠「なんだよ」

左近「夜は何しています?」

悠「質問の意味が分からん」

左近「いやー、それがですねぇ。聞いてくださいよ。最近妙な通報がありましてねぇ」

悠「……」

左近「町はずれで妙な事件がありましてね。いや、事件というか事故というか自然現象とは思うんですけど」

悠「…………」

左近「何が原因であんなことになったのかはさっぱりなんですけどねぇ」

悠「へぇ」

左近「おや、聞かないんですか?あんなことがどんなことなのかを」

悠「……いや、別に興味ないし」

左近「そうですかー。なら、こういうのも興味は無いですかねぇ。」

パサッ

悠「なんだその袋に入ったゴミみたいなの」

左近「現場で拾ったゴミというか燃えカスなんですけどねぇ。ほら、これ全部が燃えてるわけじゃなくて……ほら、ここのところに燃え残りがあるんですよ……それも色は緑と茶色と黒の布なんですよねぇ。」

悠「…………」

左近「今、小鳥遊さんの履いてるズボンの柄みたいでしょう?」

悠「……なにが言いたい」

左近「いやいや、別に何でもありませんよ。ただ、この燃えカスしか残ってない現場でしてねぇ。やっぱり自然現象による事故なのかなぁ」

悠「……」

左近「ふぅ、ごちそうさまでした。お代置いときますね」

悠「あぁ…毎度」

左近「なにか困ったことがあったらいつでも連絡くださいね。それと申し訳ないんですがこのゴミはただのゴミだったようなので捨てておいてください。」

悠「……どーも」
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