ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園ー
数日後。
先日の執行部会の場で老中酉居から提出された証拠に基づき、徳河吉彦と水都光姫による執行部費の横領事件が学内に発表された。
同時に身柄拘束のため執行部直属の部隊が光姫の屋敷に向かうものの、すでに光姫一行は姿を消していた。
光姫不在のまま、家宅捜査が行われ、横領の証拠が押収された。
また程なくして、増税が発表される。
さらに執行部は本土からの物資輸送の滞りを理由に物資を完全に管理かに入れ、食料・日常品を配給制に移行させた。
これは日常品を人質に取った言論の封じ込めであった。
執行部に批判的な生徒はリストアップされ、配給を減らすなどの差別がおこなわれることになる。
その効果はてきめんであり、反抗すれば配給を減らされ瞬く間に困窮する。口をつぐむ生徒たちも少なくなかったが、同時に暫定執行部の高い支持率を依拠した政策の限界を露呈するものであった。
ー大江戸学園:執行部室ー
想「やはり証拠が完璧にそろい過ぎている。」
執行部室では逢岡想いが光姫の部屋から押収された横領の証拠を改めて確認していた。
もう一度調べてみる必要がある……と
鼎「あら、逢岡さん。遅くまで頑張っているのね~。調べもの?」
想「え、ええ。少し気になったことがあったので」
鼎「仕事熱心もいいけれど、あまり根をつめてはだめですよぉ」
想「ありがとうございます。もうそろそろ帰ろうと思っていましたので」
鼎「ご苦労様。逢岡さんみたいな真面目な生徒がいてくれるなら先生は安心です!大江戸学園のみんなのために頑張ってね!」
想「は、はい」
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
桃子「あたいは気にいらないね!」
鬼島の叩いた縁台は大きくたわんだ。
悠「……うーむ」
桃子「将軍様にしろ、光姫にしろ。本人がいないってのに勝手に決め付けるなんておかしいだろ!あたいはどんなに黒に見えていようと本人が認めるまでは信じてやりたい」
吉音「あたしもそう思う」
吉音のヤツも同意して大きく頷いている。
桃子「何か都合が悪いことがあるたびに全部前のヤツのせいにするのも気にくわないしな」
悠「まぁ、確かにこのタイミングはちょっと不自然だな」
増税や配給制など、生徒の不満が高まるところに悪役をつくる。
これってまさに光姫さんから教わったこと、そのままじゃないか。そう考えると、ますます光姫さんがこんな無様な羽目に陥るわけがないと感じる。
桃子「今回はとにかく腹にすえかねているんだ!」
そういって鬼島は茶碗の茶をぐっと一気に飲み干した。
悠「……」
桃子「あたいがふたりの汚名をそそいでやろうじゃないか!」
そして立ち上がる。
悠「どうやって?あてはあるのか?」
桃子「ない!」
悠「お、おう…」
桃子「分かってんだよ、あたいにだって。無謀だってのは重々承知さ。だけどよぉ、このまま黙ってはいられねぇのさ。光姫は由佳里や銀次がいるからまだいい。けど将軍はひとりぼっちなんだぜ?」
吉音「モココさん……」
桃子「そいじゃあな!この舞台の裏に隠れてやがる本物の鬼を引っ張り出してやらぁ!」
悠「あ、鬼島、待って!」
桃子「鬼も泣いて謝る、鬼退治の桃子さんだ。心配すんなって!」
鬼島はそういって真っ白な歯を見せると、爽快に駆けていってしまった。
悠「いや……お代を」
数日後。
先日の執行部会の場で老中酉居から提出された証拠に基づき、徳河吉彦と水都光姫による執行部費の横領事件が学内に発表された。
同時に身柄拘束のため執行部直属の部隊が光姫の屋敷に向かうものの、すでに光姫一行は姿を消していた。
光姫不在のまま、家宅捜査が行われ、横領の証拠が押収された。
また程なくして、増税が発表される。
さらに執行部は本土からの物資輸送の滞りを理由に物資を完全に管理かに入れ、食料・日常品を配給制に移行させた。
これは日常品を人質に取った言論の封じ込めであった。
執行部に批判的な生徒はリストアップされ、配給を減らすなどの差別がおこなわれることになる。
その効果はてきめんであり、反抗すれば配給を減らされ瞬く間に困窮する。口をつぐむ生徒たちも少なくなかったが、同時に暫定執行部の高い支持率を依拠した政策の限界を露呈するものであった。
ー大江戸学園:執行部室ー
想「やはり証拠が完璧にそろい過ぎている。」
執行部室では逢岡想いが光姫の部屋から押収された横領の証拠を改めて確認していた。
もう一度調べてみる必要がある……と
鼎「あら、逢岡さん。遅くまで頑張っているのね~。調べもの?」
想「え、ええ。少し気になったことがあったので」
鼎「仕事熱心もいいけれど、あまり根をつめてはだめですよぉ」
想「ありがとうございます。もうそろそろ帰ろうと思っていましたので」
鼎「ご苦労様。逢岡さんみたいな真面目な生徒がいてくれるなら先生は安心です!大江戸学園のみんなのために頑張ってね!」
想「は、はい」
ー新宿:茶屋小鳥遊堂ー
桃子「あたいは気にいらないね!」
鬼島の叩いた縁台は大きくたわんだ。
悠「……うーむ」
桃子「将軍様にしろ、光姫にしろ。本人がいないってのに勝手に決め付けるなんておかしいだろ!あたいはどんなに黒に見えていようと本人が認めるまでは信じてやりたい」
吉音「あたしもそう思う」
吉音のヤツも同意して大きく頷いている。
桃子「何か都合が悪いことがあるたびに全部前のヤツのせいにするのも気にくわないしな」
悠「まぁ、確かにこのタイミングはちょっと不自然だな」
増税や配給制など、生徒の不満が高まるところに悪役をつくる。
これってまさに光姫さんから教わったこと、そのままじゃないか。そう考えると、ますます光姫さんがこんな無様な羽目に陥るわけがないと感じる。
桃子「今回はとにかく腹にすえかねているんだ!」
そういって鬼島は茶碗の茶をぐっと一気に飲み干した。
悠「……」
桃子「あたいがふたりの汚名をそそいでやろうじゃないか!」
そして立ち上がる。
悠「どうやって?あてはあるのか?」
桃子「ない!」
悠「お、おう…」
桃子「分かってんだよ、あたいにだって。無謀だってのは重々承知さ。だけどよぉ、このまま黙ってはいられねぇのさ。光姫は由佳里や銀次がいるからまだいい。けど将軍はひとりぼっちなんだぜ?」
吉音「モココさん……」
桃子「そいじゃあな!この舞台の裏に隠れてやがる本物の鬼を引っ張り出してやらぁ!」
悠「あ、鬼島、待って!」
桃子「鬼も泣いて謝る、鬼退治の桃子さんだ。心配すんなって!」
鬼島はそういって真っ白な歯を見せると、爽快に駆けていってしまった。
悠「いや……お代を」