ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】
ー大江戸学園:越後屋ー
越後屋「ほんまにかないませんわぁ」
それがおれたちの顔を見た途端の越後屋の第一声だった。
悠「はぁ……」
小鳥遊堂の営業再開のために越後屋に来ただけなのだが……。
越後屋「もちろんあんたらにいうても仕方ないのは分かってるんやけどね」
こちらがきょとんとしていると、越後屋はひとつため息をついた。
そして丁稚に声をかけて小鳥遊堂のいつもの仕入れを集めるように言いつけた。
悠「……」
越後屋「なんや面倒やったらしいなぁ。えらい心配したわ」
悠「それはごめん」
越後屋「でもまぁこうしてまた店をあけようって気になってるんやったら、ちょっと安心たわ」
悠「ただちょっといろいろあってね、開けてはみるけどどうなるか分からないんだよ」
越後屋「松永のお嬢ちゃんは?」
悠「えーと……会ってないな」
越後屋「ふぅん、そうなんやね。いうてもうちも苦しいわぁ」
悠「山吹も?」
越後屋「新しい執行部がめちゃくちゃやのよ」
吉音「めちゃくちゃ?」
越後屋「そうや。棄捐令なんか出したんよ。あんなん反則やわ」
吉音「きえんれい、って?」
越後屋「借金を棒引きするって言うむちゃくちゃなやり方やの」
悠「冗談だろ?」
越後屋「冗談やないよ。はぁ、うちら商売人は結構な額のお金を執行部に貸しとったんよ。こないだのどさくさに紛れてそれをなしにするっていうお達しがきたんや」
悠「で、それを黙って聞いたのか?」
越後屋「あほか、もちろん文句いうたわ!」
悠「だよな」
越後屋「でもあかんかった。」
悠「あ?」
越後屋「徳河様やら逢岡様が人気あるからな。みんなのためや言われて丸めこまれてしもたんよ。うちら商売人はこんなもんはめちゃくちゃやって分かってるけど、一般の生徒にはそれが分からへんねん」
悠「自分たちの借金が棒引きになったら嬉しいもんな」
越後屋「今だけはな。そのうちもっと辛なるのを分かってへん」
吉音「どうして?」
越後屋「またこうやって棒引きにされるかもしれんと思ったら、商売人はまた金を貸そうかと思うか?」
吉音「……貸してくれないと思う」
越後屋「そういうこっちゃ。目のまえの特に釣られて先のことを考えてへんのよ。それだけやあらへん。借金をチャラにされた上に儲け口までかっさらわれてもう散々やわ」
悠「どういうこと?」
越後屋「商品の取引の中で儲かりそうなところは全部執行部が押さえてしもたんよ。これまで商売人が一生懸命作ってきたものの流れを横取りや」
悠「ううん……そいつはきついな。」
番頭「山吹様、商品の準備が整いました」
越後屋「おおきに、品の準備ができたわ。今日は出所祝いに端数はサービスで4000円でええわ」
悠「出所って言うなよ。何も悪いことしてないんだから」
おれは文句を言いながら財布から代金を取りだす。
越後屋「はい、おおきに」
悠「じゃあな、お互い頑張ろう」
越後屋「そやねぇ。あ、そや。徳田さん、あんた執行部の徳河様と知り合いなんやろ?そやったら文句いうといてや。商人はみんな困ってますって」
吉音「え、あ、機会があれば……あは、あはは」
越後屋「ほんまにかないませんわぁ」
それがおれたちの顔を見た途端の越後屋の第一声だった。
悠「はぁ……」
小鳥遊堂の営業再開のために越後屋に来ただけなのだが……。
越後屋「もちろんあんたらにいうても仕方ないのは分かってるんやけどね」
こちらがきょとんとしていると、越後屋はひとつため息をついた。
そして丁稚に声をかけて小鳥遊堂のいつもの仕入れを集めるように言いつけた。
悠「……」
越後屋「なんや面倒やったらしいなぁ。えらい心配したわ」
悠「それはごめん」
越後屋「でもまぁこうしてまた店をあけようって気になってるんやったら、ちょっと安心たわ」
悠「ただちょっといろいろあってね、開けてはみるけどどうなるか分からないんだよ」
越後屋「松永のお嬢ちゃんは?」
悠「えーと……会ってないな」
越後屋「ふぅん、そうなんやね。いうてもうちも苦しいわぁ」
悠「山吹も?」
越後屋「新しい執行部がめちゃくちゃやのよ」
吉音「めちゃくちゃ?」
越後屋「そうや。棄捐令なんか出したんよ。あんなん反則やわ」
吉音「きえんれい、って?」
越後屋「借金を棒引きするって言うむちゃくちゃなやり方やの」
悠「冗談だろ?」
越後屋「冗談やないよ。はぁ、うちら商売人は結構な額のお金を執行部に貸しとったんよ。こないだのどさくさに紛れてそれをなしにするっていうお達しがきたんや」
悠「で、それを黙って聞いたのか?」
越後屋「あほか、もちろん文句いうたわ!」
悠「だよな」
越後屋「でもあかんかった。」
悠「あ?」
越後屋「徳河様やら逢岡様が人気あるからな。みんなのためや言われて丸めこまれてしもたんよ。うちら商売人はこんなもんはめちゃくちゃやって分かってるけど、一般の生徒にはそれが分からへんねん」
悠「自分たちの借金が棒引きになったら嬉しいもんな」
越後屋「今だけはな。そのうちもっと辛なるのを分かってへん」
吉音「どうして?」
越後屋「またこうやって棒引きにされるかもしれんと思ったら、商売人はまた金を貸そうかと思うか?」
吉音「……貸してくれないと思う」
越後屋「そういうこっちゃ。目のまえの特に釣られて先のことを考えてへんのよ。それだけやあらへん。借金をチャラにされた上に儲け口までかっさらわれてもう散々やわ」
悠「どういうこと?」
越後屋「商品の取引の中で儲かりそうなところは全部執行部が押さえてしもたんよ。これまで商売人が一生懸命作ってきたものの流れを横取りや」
悠「ううん……そいつはきついな。」
番頭「山吹様、商品の準備が整いました」
越後屋「おおきに、品の準備ができたわ。今日は出所祝いに端数はサービスで4000円でええわ」
悠「出所って言うなよ。何も悪いことしてないんだから」
おれは文句を言いながら財布から代金を取りだす。
越後屋「はい、おおきに」
悠「じゃあな、お互い頑張ろう」
越後屋「そやねぇ。あ、そや。徳田さん、あんた執行部の徳河様と知り合いなんやろ?そやったら文句いうといてや。商人はみんな困ってますって」
吉音「え、あ、機会があれば……あは、あはは」