ｰ大江戸学園:日本橋ｰ

詠美「由比雪那も、此処で決着をつけるつもりでいるのは間違いない。最悪、どちらかが全滅するまでの長い戦いになるかもしれない。それでももう引き返せないわ。最後まで全力で押し切るしかない……頼むわよ」

吉音「任せてっ!今日はもう思いっきりやっちゃうからねっ!」

桃子「大将は寝ててもいいぜ。あたしたちで全部終わらせてやるさ」

正面から当たるのは、朱金に加えて吉音と鬼島。

平良「奇策を弄しても無駄だという事を教えてやる。」

はじめ「近づいてくるものは、誰であっても斬らせてもらうよ」

長谷河や佐東たちが奇襲に備えて両翼に開く。

由真「私たちは好きにやらせてもらうわ。思いっきり引っかき回して混乱させてやるんだから。」

往水「やぁれやれ、みなさん真面目なことですよ」

真留「仲村様も真面目にするんですっ!決戦なのですよ!」

そして後ろは、仲村さんや真留、それに逢岡さんたちが固める。

すこし不安が無いわけではないけれど、ここまで危険が及ぶようじゃ、この作戦は失敗だ。

朱金「よくもまぁこれだけ頭を揃えたもんだぜ」

悠「その分学園の他のところは無防備状態だけどな」

朱金｢気にしても仕方がない。あいつよりやべぇ敵なんてそうそういねぇよ……ん?ありゃなんだ｣

目をすがめ、大通りの先を眺める朱金。

それによく見てみると、確かに道の向こう側で、小さな影がいくつもうごめいているのが見える。

吉音「うわ～、いっぱいいるね。雪那さんのところってまだこんな人が居たんだ。」

そうだよな、この状況でぞろぞろ出てくるなんて、それ以外に考えられない。

詠美「ヨリノブの脅威を見て帰服した者も多いのでしょう。でも向こうからも出てきてくれるなんて、ますます都合がいいわ。各個撃破が可能になる。……始めるわよ、決戦を」

吉音「よぉ～し、成敗しちゃうぞっ!」

朱金「野郎どもいくぜ!気合入れろ!ザコのチビどもに時間かけてんじゃねぇぞ!」

朱金の号令一下、矢が放たれるように連合軍が突撃していく。

向こう側の由比軍もまた歓声を上げながら向かってくる。

自然と拳に力が入いる。ここに来たばかりの時には、まさかこんな戦いに自分が参加するとは思わなかった。

ただ不思議と、充実感がある。まだ勝ったわけでもないのに。

吉音「行って、マゴベエ!」

マゴベエ『ピィイーッ!』

吉音「てぇやーっ!それそれそれぇ!」

男子生徒A「うわぁ……ッ!」

マゴベエがオプションビットを伴って掻き回す所へ吉音が切り込み、手当たり次第に打ち倒す。

竜巻のような剣さばき、体さばきは何度見ても圧倒される。

桃子「こっちも負けてられないなっ!花火上げるぞタマ!おぉぉらぁぁああああっ!」

タマ『フンゴオーッ!』

鬼島さんの金棒に弾き飛ばされたタマが、彗星のような勢いで敵中に突っこんでいく。

男子生徒B「わぁぁあああっ!」

タマに触れた生徒から、次々に吹き飛ばされて宙を舞う。

ひしめく敵軍の中、タマが通った後だけはぽっかりと穴が空いたようになる。

吉音「すごーい。ボーリングみたい」

桃子「気を抜くんじゃねーぞ。まだ次々来てるんだからな!」

吉音「おうっ!てぇーいっ!」

さすがというべきか。吉音と鬼島さんは次々に敵を蹴散らしながら、一直線に突き進んでいく。

おれたちも即座にそれに続き、敵軍のまっただ中へと踊りこんでいく。