ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

悠「はぁぁぁ……おー痛い。格好つけて帰ってきたはいいが……痛い。こういう時は寝て回復だ。」

久秀「RPGのキャラクターかなにかなの?」

悠「その声は……松永久秀!」

久秀「なんでフルネームで呼んだのよ」

悠「特に意味はないさ、無事だったんだな」

久秀「久秀は逃げ脚にも定評があるのよ。ただ、無事だったっていうセリフはそっくりそのままお返しするわ」

悠「何処をみたら無事に見える」

久秀「無謀にも柳宮に挑んで帰ってきているところ」

悠「……そりゃ確かに」

久秀「まぁ、なんにしても現状じゃあ何も手出しできなくなったけどね。いや、もしかしたらそれ以上に悪いかもしれないわね。」

悠「あの剣魂と十兵衛……」

久秀「最強の矛と盾で矛盾なんていうけれどアレは矛と矛かしら」

悠「笑えないな」

久秀「笑わせるつもりならもっとウイットにとんだ事を言うわよ」

悠「このままじゃいかんってことは分かってるが……なんとも歯がゆいな」

久秀「今の悠はそれ以前の問題でしょう」

悠「何を言う、バリバリだぞおれは」

久秀「……」

ゲシッ!
悠「ぉぉおおぉぉぉお?!」

久秀「バリバリねぇ…」

悠「何してくれちゃってんの?!全身打撲まみれのひとになに蹴りかましちゃってくれちゃってんの?!」

久秀「バリバリなんでしょ?」

悠「ば、バリバリだ!」

久秀「えいっ」

ゲシッ!
悠「いぎぃー!」

久秀「お礼いなさいよ。ありがとうございます、久秀様って」

悠「なんのプレイだよ!」

久秀「……あぁ、ついスイッチが入っちゃったわ」

悠「なんのだよ……。ああ、ドSスイッチか」

久秀「ハイヒールかブーツで踏んであげてもいいのよ?」

悠「我々の業界ではご褒美です……っていうか!」

久秀「なるほど、馬鹿をいう元気はあるのね。」

悠「乗せといてバカ扱いかい…」

久秀「えぇ♪」

悠「天使のような悪魔の笑顔」

久秀「ん?」

悠「いえ、久秀さんは見目麗しゅうごじゃります。」

久秀「あら、ありがとう。でも、本当のことをいってもお世辞にはならないのよ。」

悠「……」

久秀「ん?なにかいいたそうね?」

悠「いえ、別に……」

久秀「冗談は置いといて……動けるの?」

悠「三日……いや、二日あればなんとか」

久秀「ま、向こうもしばらくは拠点潰しにかかるだろうから三日、四日は寝てても平気でしょう。」

悠「あまり平気な状況ではないよな」

久秀「だからと言ってアナタがじたばたして何か状況が変わるものでも無し」

悠「……」

久秀「あら、怒った?」

悠「いや……その通りだと思っただけだ」

久秀「なんだ、つまらない」

悠「お前はおれをどうしたいんだよ…」