ー茶屋ー小鳥遊堂はじめました【9】

ー大江戸学園:張孔堂前ー

桃子「邪魔する奴はケガしてもしらねーぞっ!」

吉音「あたしたちが狙ってるのは雪那さんだけ!近づかなければ何もしないから!」

伊都「じゃあ遊びたいひと、稽古つけてほしいひとはこっちへいらっしゃい。心ゆくまであそんでさしあげますわ」

寅「……俺は手加減しねぇ。向かってくるなら骨の一本や二本は覚悟してかかって来い!」

久秀「トラウマを刻みつけてあげるわ。力なきものが刃向かうことがどれだけ愚かなことなのかを!」

由比軍男子A「うあぁぁああっ!!」

この荒い学園の波で揉まれたせいか、五人とも人間離れした強さだ。

斬りかかる殆どの敵は、一合もかなわず返りうちにされていく。

乙級男子A「な、なんなんだこの人たちの強さは……迎え撃つには、数が少な過ぎてっ……」

わき目もふらず張孔堂目指し突っ走る。

敵陣の中とは言え、奇襲にまだ対応しきれていないようだ。

悠「これなら、行けるぞッ!」

「随分と騒がしいですね」

この声は……

桃子「ようやくお出ましか雪那!観念したか!?」

想「このような無意味な暴動は即刻中止してください!」

雪那「無意味かどうかは私が決めます。あなた方こそこの狼藉はなんですか?頭を下げて、痛い目を見ないうちに引き返してはどうです?」

悠「引きかえすかどうかはこっちが決める。お前こそ状況が見えてないのか?追い詰められてるのはそっちだぞ。」

ここは本陣、まだまだ敵は集まってくるだろう。

しかし総大将の由比雪那は目のまえであり、その彼女が剣術に優れているなど聞いたことがない。今有利なのはこちらの方だ。

雪那「取得権益を当然のものと考え、そしてその有力者に当然のように尻尾を振る……醜いですね。それでも大江戸学園の生徒ですか?」

吉音「大江戸学園とか、そんなの関係ないよ。乱暴な事をするひとは悪い人だ」

雪那「……ここであえて時間を稼いでもいいのですが、それではこちらり被害も広がってしまいますし。あなた方は目に見える絶対的な力で、叩き潰さなければならないようですね」

吉音の言葉に気分を害したが、由比の声のトーンが下がる。

すらりと、腰の洋剣が抜き放たれた。

由真「あっ?あの剣は……?」

桃子「お前の腕でやれるつもりかい?あたいがひとりで相手になってやるよ!」

雪那「相手の能力も分からないうちから大きな口を叩く……頭の悪い人ですね」

桃子「な、なんだとォ!?」

雪那「いでよ、ヨリノブ!」

由比の掲げる剣が輝き、放たれた光が宙に複雑な文様を描く。

悠「なんだ……?」

ヨリノブ『ジャァアアアアーッ!!』

悠「り、龍……?!」

桃子「バカでけぇ龍が……こ、これも剣魂なのかっ?」

吉音「ヨリノブって……こんなにちっちゃな蛇だったはずなのに!」

唯「知らない……こんな剣魂、残してあったデータの中にはっ……!」

雪那「遊ぶ必要はありません。ヨリノブ、一気に叩き潰してしまいなさい」

由比の命令で、ヨリノブの尾が振り上げられる。

桃子「うお……おおやべぇ!下がれぇーっ!」

鬼島が危ういところで回避し、激しく地面がうたれる。

その威力は本物で、少し離れたところに居るおれまで地響きが伝わってきた。

伊都「まぁ……こんな剣魂もあるのねぇ。わたくしはちっちゃなヨリノブの方が好きですけれど」

雪那「ヨリノブは喜んでますよ。すべてを凌駕する力が手に入ったとね。」

ヨリノブ『ジャアッ!』

伊都「わお、やんちゃさんね……」

地を撫でるようななぎ払いを、飛びあがって回避する大神。身軽な動きだが、ヨリノブに迫ることはできない。
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