ｰ新宿:茶屋小鳥遊堂ｰ

久秀「微妙に保険を賭けるわねぇ。」

悠「お前のスタンド……もとい、剣魂は危なすぎるんだよ」

久秀「安全にはちゃんと注意を払っているわよ。久秀の身の安全は」

悠「他!」

久秀「なに?」

悠「他の安全は!」

久秀「……久秀以外の何を安全にするのよ?」

悠「まさに梟英!」

久秀「まぁいいわ。これまでにも随分と恩は売ってきてるし……最悪揺すればいいのだから。クスクス」

悠「……ええと、それであと寅と大神に交渉する事になったんだけど、今どこに居るか知ってるか?」

久秀「知らないけど、右京山なら店開けてたらここにくるんじゃない?」

吉音「ナイトさんなら武道場に居たよ」

悠「へぇ。稽古中か?」

吉音「ちっちゃい子たちに教えてあげてた」

悠「……また妙な事を吹きこんでるんじゃないだろうな。まぁありがとう。行って来るよ」

吉音「えぇ～、またひとりで行くの?」

悠「新は南町の要なんだよ。何かあったときにすぐに動けるようにしておかないとダメなんだ」

吉音「それはわかってるけど……あ～つまんない。はやくこんな戦い終わらないかなー」

それには同意するけどな。

悠「って、ことで久秀。寅が来たら話しといてくれないか?」

久秀「仕方ないわね。店に居る間は承ってあげるわ」



ｰ大江戸学園:武道場ｰ

悠「ふぅ……ここかな?」

吉音から、大神さんは武道場にいるときいたものの、どの武道場か聞き忘れていた。

いくつか回って問い合わせてもらうとか、無駄足を使ってしまった。

伊都「はーい腕じゃないのよー。背中と肩で勢いをつけて振り下ろすの。さんはい」

平和「めーん!」

信乃「めーん!」

つばめ「つきー!」

伊都「ああんひよこちゃんは槍だものね。どうしようかしら」

つばめ「お気づかいなく～」

伊都「じゃあそうするわ～。はい次。さんはい」

……おゆうぎ会じゃないんだぞ。

しかし本当に大神が剣の指導をしているよ。探偵団の子たちと、他にいるみんな乙級のようだ。

悠「もしもし大神さん、ちょっとよろしいですかな?」

伊都「あらうっくん。いいですわよ。じゃあそこに並んで」

悠「えっ?いやおれは話したいことがあって……」

伊都「口のまえに身体を動かす。ほら身体のまえでまっすぐ構えて」

悠「いや、あの」

伊都「腕をあげて、足を一歩踏み出す。そうすると筋肉が勝手に動いて刀が落ちてくるから、それに勢いを乗せて、はいめーん」

悠「めーん!」

伊都「わぁ☆よくできました～♪」

悠「どうも、ありがとうございます。……じゃないからっ!だから話したいことがあるから、いつまでかかりそうなのかと質問を!」

なんでおれも乗せられてるんだ。芸人の性か……。

伊都「もう……そんなにふたりきりになりたいの?でも今はダメよ。この子たちに稽古つけているところだから、それが終わってからでお願いしますわ」

悠「……本当に本気の稽古なんだな」

伊都「もちろん。あなたも、よろしいんですのよ?」

悠「そうだな……ただぼんやりと待つのもアレだし、よろしくお願いいたしますか」

伊都「まぁ良い子ね。なでなで」

大神は、まるでおれまで乙級の子を扱うように、頭を撫でてくる……。